創

パリ13区の創のネタバレレビュー・内容・結末

パリ13区(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

浮遊感のようなものが案外心地良くて自分でも意外なほど癒された。
うーん。R18かぁ。しかも性的な方のR指定だよなぁ。という懸念は杞憂だった。

無職だったり、休職中だったり、登校拒否中?だったり、人気商売だったり、
30歳を超えてこれから人生どうするの?という人生そのものの不安定感自体が、
むしろ自由に漂いながら着地点を探してる浮遊感みたいで羨ましかった。

MDMAキメて、超好き!本当好き!!だからダッシュで帰っちゃうよ!!な浮遊感も、
一度は流そうとしつつやっぱり追いかけて一発キメた後のやった!!やってやった!!な浮遊感も、
なんだかガッツリしたセックスシーンの対局にあるような微笑ましさですごく良かった。
とくにMDMAってそのままのタイトルの劇伴がもう可愛すぎる。

エミリーは自分の性格とおばあちゃん、カミーユは亡くなった母や妹との関係、
ノラにもおじさんとの関係やそもそもルイーズとの出会いのきっかけになる大学での事件、
唯一、ルイーズだけが何故アンバースウィートになったのかに触れられないけど、
みんな何かを抱えてみんな何かに悩んでるのにそれはそれとしてるのが逞しくて良い。
問題の大小関係なく、限りある人生なんとか楽しいもの良いものにしていきたいよね。

エミリーとカミーユよりノラとルイーズの方が魅力的に見えたのは、
エミリーのカミーユへの執着は独占欲に見えて、ノラのルイーズへの執着は恋に見えたからかもしれない。
あんな風に自分に会えたからって失神されたらどうしたら良いか分からん…。

とはいえ、根底にあるのは、え?なんで好きじゃないのにセックスしたの?セックスしたのになんでそんな冷たくなれるの?という疑問で、
これはもう生き方というか、考え方というか、文化というか、たぶん一生よく分からないところだろうからたぶん分かる日は来ないな。
好きじゃないけどとりあえずヤっちゃう!ヤったけど恋人ヅラしないで!!って世界観は理解と共感が難しいなぁ。

音楽がすごく好きだった。
白黒にこの音楽だからこその浮遊感だった。
カラーにこの音楽でも、白黒に違う音楽でもなんか違ったと思う。
白黒だから、現実感というか生々しさが緩和されて、夢みたいな感じがして浮遊感も増したのかもしれないな。
白黒じゃなかったら、セックスシーン多くてウゲッてなってたかもしれないし、これは良いあえての白黒であった。
創