ひろぽん

名探偵コナン ベイカー街の亡霊のひろぽんのレビュー・感想・評価

4.0
劇場版『名探偵コナン』6作目

ゲーム業界の新作発表会に招待されたコナン達は体験型ゲーム「コクーン」のイベントに参加する。だが、ゲームでは発達した人工知能であるノアズ・アークがゲームを支配し、もし誰か1人でもゲームにゴールしなければ参加者全員の脳を破壊すると宣告する。それと同時に現実の世界でも殺人事件が起こり、工藤優作が解決のために捜査していく。コナンと工藤優作がノアズ・アークの事件に挑む物語。


現実世界の大きな会場の中で起こる殺人事件と、ゲームの中の仮想空間で起こる殺人事件が同時進行で進んでいき、やがて一つの出来事に繋がっていくという、パズルが完成するかのような推理が醍醐味の本作。

珍しく最初から犯人が分かっているという構成がこれまでになく斬新で面白い。

VRゲームの中には4種類のゲームがあり、コナンたち少年探偵団が挑むのは100年前のロンドンを舞台にした
「オールド・タイム・ロンドン」

実在した殺人鬼のジャック・ザ・リッパーを捕まえればゲームクリアとなる。お助けキャラであるシャーロック・ホームズの不在や、阿笠博士のメカが使えないといった不利な状況で、ホームズの様に知恵を絞り、華麗に謎を解いていくコナンの鮮やかな推理ショーが最大の見どころ。ホームズ愛の凄いコナンが生き生きとしながら語るシーンがとても魅力的。

財界、政界、芸能界で活躍する大物たちや、その子どもたちを批判する灰原の台詞がとても印象的で核心をついていた。

VRやAIといった現代にも通ずるものをテーマとして扱っている点が面白い。

10歳の天才プログラマー・ヒロキが日本の個性を潰す教育についての生きづらさを批判しているが、20年以上経った現在も大きく変化していないのがとても残念。また、ろくでもない政治家に育てられた子どもが、将来ろくでもない政治家になるという負の連鎖の政治問題についての灰原の批判も同様。

100年前のロンドンを舞台にコナンとシャーロック・ホームズが共演を果たすという夢のような回でもある。

少年探偵団たちがコナンを何がなんでも生き残らせようと必死に守ろうとする熱い絆にグッときた。

新一と優作の親子愛も感じれる素敵な作品。
モリアーティ教授や彼の右腕であるモラン大佐などが登場するから『シャーロック・ホームズ』好きにはたまらない1作となっている。


新一が嫌いになれないモリアーティ教授の言葉が記憶に残る。

“君を確実に破滅させることができれば、公共の利益のために僕は喜んで死を受け入れよう。”
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