ゆめちん

リバー・ランズ・スルー・イットのゆめちんのレビュー・感想・評価

5.0
リバー・ランズ・スルー・イット
 
"完全に理解する事はできなくても、完全に愛することはできる"
 
1993年の公開時に映画館で鑑賞。ブラッド・ピットを初めて映画館で観たのが本作で、彼の放つ魅力に衝撃を受けたのを今でも覚えている。再びスクリーンで観ることができ、改めて "午前十時の映画祭" に感謝。
 
厳格な牧師の家庭で育てられた、兄ノーマンと弟ポール。父に習ったフライフィッシングで結ばれる2人は、やがてそれぞれの道を歩み始める。
 
アカデミー賞の撮影賞に選ばれた本作。まずは、美しく壮大なモンタナの大自然に心奪われる。派手さはないけれど丁寧な描写に徐々に引き込まれ、観終わると川の流れと人生を重ねたタイトルが深く心に沁みる。
 
堅実で内向的な兄と自由で活発な弟。そんな対象的な兄弟の幼少期からの行動が、良くも悪くも大人になり集約されていく構成は見応えあり。

フライフィッシングを通して深まる兄弟の絆や関係性が心地よく、二人がリズムよく軽快に竿とリールを操る姿はまさに芸術的で、渓流釣りのシーンだけでもずっと観ていたい。
 
台詞だけではなく、俳優陣の演技力で心の変化と成長を繊細に表現しているのも見どころ。牧師である父親の最後の説教にこの作品のすべてが詰まっているのも印象に残る。

個人的にブラッド・ピットの出演作では、主役ではないがこの作品がベスト。
ゆめちん

ゆめちん