さうすぽー

流浪の月のさうすぽーのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.4
自己満足点 67点

皆さんがこぞって絶賛している中、個人的には傑作というほどではありませんでした。

「怒り」や「フラガール」の李相日監督が本屋大賞を獲得した同名小説を映像化した本作。


確かに絶賛されてる理由は解ります。
「パラサイト 半地下の家族」や「バーニング」の撮影監督であるホン・ギョンピョの映像は非常に美しく、登場人物の心情をとてもよく現されていて秀逸でした。
特に、水の描写は登場人物の心情を上手く表現してたと思います。

キャストの演技も良かったです。
広瀬すずの悲観的な表情の演技や松坂桃李の複雑な心情やどこか壊れそうなくらい儚げな演技を魅せてくれました。
中でも、横浜流星はDV男の役を繊細かつ狂気的に演じていてアイドル俳優の脱却が見事に脱却出来てました。


この作品は「事実と真実の矛盾」や「社会的に排除される人々の苦しみ」等、考えさせられるテーマを様々扱っていました。
主人公の世間における心苦しさや悩みもすごくよく描かれていました。

そして、この映画は「性愛ではない"愛"の形」を描いていました。
恐らく原作はその側面が強いのだと思います。
ただ、その「愛の形」を描くのなら、果たして広瀬すずと横浜流星の濡れ場、松坂桃李と多部未華子のキスシーンを長く映した事にだいぶ違和感を感じます。
劇中の登場人物の事を描くなら、さらっと渇いた感じに描いた方が良かったと思うのですが、あの感じではただの観客のサービスシーンという薄い感じが否めないです。

あと、松坂桃李の秘密については濁すような形で描写してましたが、原作は明確に病気について触れてるようです。
正直あの程度の描き方だと解りにくいし勘違いする人はいるかと思います。


それと全体的にまったりとしてて重く描きすぎてるように感じて、後半くらいから若干胃もたれしてしまいました。

とは言え、内容は考えさせられるものだったので、きっと原作は面白いのだろうと思います。
時間があったら読んでみようかなと思います。