コンテナ店子

ブルー・バイユーのコンテナ店子のレビュー・感想・評価

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)
3.5
 何も知らないで、ただタイミングが合ったからという理由でこの映画を見てきましたが、予想外に中々良かったです。問題点もちょいちょいありますが、それを覆い隠せるぐらいいい所が多くて、見ごたえがあるいい人間ドラマでした。

 何よりキャラクターが好きでした。主人公のキャラクターに降りかかる災難は、なんでそれから逃れたいと思っているのがちゃんと伝わってきたので、応援したいと思いましたし、それが中々上手く行かずにギリギリなんとか戦いを続けられてる接戦くらいを低空飛行しているのが、かなり緊張感ありましたし、ギリギリだからこそ、彼の行動1つ1つに説得力がありました。
 また、その中身にも喜怒哀楽がはっきりと描かれていて良かったです。苦しい状況でも誰かと親密になったり好機を見つけられたりしたら幸せそうにしている様子を見せたり、逆にそこから転落する時には怒りをあらわにしたりと、普段クールそうにしている一方で、感情が高ぶるとそれを露わにする様子が、とても生々しい人間らしさを感じられました。

 それ以外だと、演技が良かったです。特に主人公の子供役を演じたシドニー・コワルスケが好きでした。かなり子供が子供らしい一面を見せるところも多々見られましたし、その一方で様々な感情を表現している様子を見ることも出来て、主人公にとって一番大事な存在であることを強く共感を持ちました。その一挙一動に主人公が振り回されるのに納得が出来るようになっていたと思います。

 好きじゃなかった所もあげておくと、ちょっと物語の終盤になっていきなり心変わりするキャラクターがいました。理解できないと言うほどではないのですが、ちょっとあまりにも急に立場を入れ替えすぎていて、正直見てる側として困惑してしまいました。主人公に話の焦点を絞っているから仕方がないのかもしれませんが、もう少し周辺人物にもフォローが欲しかったです。

 主人公のキャラクター性や演技が素晴らしかったし、個人的に関心のあるテーマ性だったこともあり、かなり見入ってしまいましたし、見終わった後の感動はかなり大きかったです。人間ドラマが好きな人は一見の価値ありな作品だと思います。
コンテナ店子

コンテナ店子