へたれ

最後の決闘裁判のへたれのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.3
良かったとこ1 演出と編集で見せる心境の違い
親愛のキスの長さや、靴を脱いだのか脱げたのか、と言った些細な違いで、同じようなシーンにもニュアンスの違いを生ませるのは効果的だった。

良かったとこ2 アダム・ドライバーとジョディ・カマーの佇まい
シェイクスピア劇風なセリフは避けて現代劇のセリフにしているので、中世の雰囲気は俳優たちのルックスと演技によるところが大きい。その点で、アダム・ドライバーとジョディ・カマーの二人は、コスプレ芸でもなく、この映画が設定した中世という世界観にすんなり入っているのがよかった。

ダメだったとこ1 ストーリー構成が成功していない
3部構成にして同じ事件を異なる人物の観点で描くという意味では、黒澤明の「羅生門」を思わせる構成になっているものの、全然違うアプローチでしかも成功もしていない。
「羅生門」やその原作の「藪の中」で描いたことが、「何が起きたのか」を曖昧にすることだとすると、本作がやっていることは、「何故行われたのか」を曖昧にしているという違いがあった。面白そうな目論見にも感じるけれど、映画にしてみると大違い。普段僕たちは、映画を見ながら、登場人物が何を考えているのかを常に想像し続けているので、「何故行われたか」という疑問は、どんな映画にもつきまとっている。それをあらためて3部構成で異なるアングルから描いても、単に冗長に感じるだけ。おかげで映画が進行しているように感じず、単にループしているようにすら感じてしまった。

ダメだったとこ2 マットデイモンとベンアフレックのアメリカ人らしさ
現代風のセリフとアクセントにしているのは見やすくて良いけれど、その結果マット・デイモンとベン・アフレックはアメリカ人のコスプレ演技にしか見えなかった。特にベン・アフレックは、金髪にしている効果も特になく、キャラにも一貫性が感じられなかった。
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