SAVE

LAMB/ラムのSAVEのネタバレレビュー・内容・結末

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アダが可愛い。気味が悪いと思う人もいるだろうが、私にはとにかく可愛く思えた。

頭と右腕は羊、ほかは人。半獣半人のアダは、言葉を話すことは出来ないが、育ての母とお風呂で戯れたり、育ての父に朝食を用意してあげたり、優しい良い子だ。親とは違う自分の姿を鏡で眺め不思議そうにしていたりもして、無口でも感情表現豊か。愛おしい。アダを育てる夫婦にこちらも感情移入して、この幸せな日々がずっと続けば良いのにと思ってしまう。

だが育ての母、マリアの行動には常に人間の傲慢さが表れていた。母羊からアダを取り上げて作り上げた家庭は、幸せながらも終始不穏な空気が漂う。このままでは終わらない。台詞もほとんど無く、日常をゆったりと過ごしていくだけの映画なのにこの家族の行く末が気になって、最後まで夢中で鑑賞した。

ラストシーンはきっと、マリアの犯した罪への罰なのだろう。罰を受け、どこか覚悟を決めたようなマリアの表情で締めくくる。多くは語らず、観客の想像を膨らませるラストシーンはなかなかに私好みでした。
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