great兄やん

女神の継承のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
4.8
【一言で言うと】
「“女神”のいけにえ」

[あらすじ]
タイ東北部、イサーン地方。その小さな村に暮らす女性ミンが突如体調不良に陥り、それまでの彼女からは想像できない凶暴な言動を繰り返す。ミンの豹変になす術もない母親は、祈祷師をしている妹ニムに救いを求める。ニムは、ミンが祈祷師を受け継いできた一族の新たな後継者として何者かに目され、取りつかれたために苦しんでいるとにらむ。ミンを救おうと祈祷を始めるニムだが...。

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のハシゴとして鑑賞。

最高。『哭声』の時もそうだったが、ナ・ホンジン監督は得体の知れない恐怖を描かせたらマジでピカイチだと思っている。
今作ではプロデューサーという形での関わりだが、タイの山奥というロケーションも相まってか、彼ならではの“じっとり”と纏わりつく恐怖を存分に味わうことができましたね(・・;)...

とにかく恐れるものの“矛先”が分からないからこそ感じる“恐怖”というのがもう凄まじくて、恐怖心が増大していくと共に精神的な“逃げ場”がどんどん狭まっていくという相反した怖さに終始支配されてしまう😰

確かに前半はスローペースでこれといった怖さは感じないが、それはただの“萌芽”に過ぎず、ストーリーが進むにつれ徐々に狂気が“開花”していくこのスピード感というのがマジで絶妙。
最初っから振り切れて怖いシーンが続くよりも、こういったゆっくりと“恐怖”が近寄ってくる方が何十倍も怖いし、ある意味精神的にも気が狂いそうになる笑

それにミンを演じたナリルヤ・グルモンコルペチの怪演っぷりはもう言葉を失いますし、取り憑かれる前と後での様相といい、実際マジで取り憑かれてるんじゃね?(゚o゚;;…って思っちゃうほど。

それからモキュメンタリー形式で描かれるからこそ感じる生々しい“手触り”も良い意味で最悪ですし、何よりも『パラノーマル・アクティビティ』のような“誤魔化し”が目立ったような感じではなく、ちゃんと見せるところは克明に“見せちゃう”というのがマジでタチ悪い😱

他にも挙げれば挙げるほどキリがないくらいヤバさが充満した映画ではありますが、ここから先は劇場で体感して存分に慄いて欲しい限りです!!

足掻けば足掻くほど見えてくるのは“解決”ではなく“絶望”という救いの無さ。そしてあらゆる狂気が集約されたラスト30分の“地獄絵図”はまさに必見。

祈りの先にあるものとは...果たして“救済”なのか、それとも…

ていうか同じ月にR18ホラーを2作も観れるなんて、なんだか嬉しいようなしんどいような(^_^;)...