#イノセンツ 観賞。
ノルウェー産ジュブナイルサイキックホラー映画。
純粋無垢な子供たちが"力"を持ってしまう恐怖。
ほぼ原案と言ってもいいらしい大友克洋『童夢』は未読。
【あらすじ】
緑豊かな郊外の団地に引っ越してきた9歳の少女イーダと自閉症で口のきけない姉のアナは、同じ団地に暮らす不思議な力を持つベンとアイシャと親しくなる。
夏休み中の4人は大人の目が届かないところで、魔法のようなサイキックパワーを徐々に高めていく。そして、単なる遊びだった"力"は次第にエスカレートし、取り返しのつかない事態に発展していく…
胸糞悪く万人にはオススメできないが、傑作だった。
注意喚起として、劇中に小動物(猫)に対する暴力シーンがあるので猫好きの方はマジで要注意。フィクションでもダメな人はトラウマになるかも。
ただ、このショッキングシーン含め、子供達が"何をしでかすのか分からない恐怖"がこの作品のキモでもある。
ハリウッド映画ならここまでは描く、邦画ならここまで描く、韓国映画ならここまで描く…ではノルウェー映画は?
映画における残虐表現のラインが分からないという恐怖が映画全体を支配し、それが無垢ゆえの善悪の判断がつかない子供の"衝動"と合わさり、最高に居心地悪い&素晴らしいホラー効果を生み出していた。
そして注目すべきは本作で主演の子供達4人全員がノルウェーのアカデミー賞的なアマンダ賞の俳優部門にノミネートされたという点。それぞれが結構繊細な演技が要求される役どころなのにマジでありえんくらい子供達全員演技上手かった。
引越し、きょうだい児、虐待、差別…
それぞれが家庭環境に悩みや問題を抱えた子供達。
夏バカンス中の団地は大人の監視がなく、既存の子供グループにも入れず、団地の中で孤立する中で自然に仲良くなっていく4人。
でもそれが彼らの最悪の出会いとなってしまう悲しさ…
危うい子供達を繊細に描いた素晴らしい脚本、的確かつお見事な子供怖い演出、アーティスティックな撮影、編集、北欧っぽい無機質感漂う最高のロケーション、そして最後はもちろんサイキックパワーバトル!
猫ショッキングシーンだけ注意すれば、個人的には今年下半期ベスト級で超オススメ。