『タイラー・レイク -命の奪還-2』
原題 Extraction II
製作年 2023年。上映時間 123分。
クリス・ヘムズワース扮する凄腕の傭兵タイラー・レイクの過酷な戦いをリアルなアクション演出で描き、Netflixで大ヒットを記録した『タイラー・レイク 命の奪還』の続編。
前作のラストでかろうじて命を取り留めたオーストラリア人の傭兵タイラー・レイクが、刑務所に監禁されているジョージアの残忍なギャングの家族を救出するという新たな任務に就き、再び命をかけた危険な戦いに身を投じていく。
『アベンジャーズ エンドゲーム』などでスタントコーディネーターを務め、前作で長編初メガホンをとったサム・ハーグレイブが今作でも監督を務め、ヘムズワースと再タッグ。
同じく前作から引き続き、『キャプテン・アメリカ』『アベンジャーズ』シリーズや『グレイマン』を手がけたアンソニー＆ジョー・ルッソ兄弟が製作、ジョー・ルッソが脚本を担当。共演は前作から続投のゴルシテ・ファラハニのほか、アダム・ベッサ、オルガ・キュリレンコら。Netflixで2023年6月16日から配信。
Prepare for the ride of your life.
(人生を賭けた旅に備えよ。)
サム・ハーグレイヴ監督による今作品は、ガチガチ手に汗握る、アドレナリン全開のエンターテインメントの限界に挑むハイテンション・アクション・スリラーでした。
大成功を収めたオリジナル映画『タイラー・レイク -命の奪還』の続編となる今作品では、クリス・ヘムズワース演じる不敵な闇傭兵タイラー・レイクの過酷な旅が描かれてます。
ハっラハラドっキドキのシークエンス、息をのむようなスタント、感情的な深みが詰まった『タイラー・レイク -命の奪還-2』は、観る者をハラハラドキドキさせる爽快な映画体験だと思います。
余談ながら、第1幕のワンテイク・アクションシークエンスは21分の長さで、リハーサルに4～5ヶ月、撮影に29日を要しただけあり圧巻。
映画は前作の続きから始まり、タイラー・レイクが犯罪の裏社会における腐敗と暴力の複雑な網の目をくぐり抜けようとする。
ヘムズワースは再び力強い演技を披露し、レイクというキャラに無骨な弱さをもたらしている。
彼の肉体美とスクリーンでの存在感はこの役にぴったりで、その大きな肩で映画の重みを難なく担っていた。
ホント、今作品のアクション・シーンは度肝を抜くものばかり。
爆発的なカーチェイスから白兵戦まで、どのシーンも綿密に振り付けされ、実行されていた。
監督のサム・ハーグレイブは、スタント・コーディネーターとして知られ、その専門知識を前面に出して、リアルで視覚的に見事な、内臓を刺激する骨太のアクションを作り出してた。
アクション・シーンの間断のない長いテイクは、アドレナリンの分泌を促し、多くの人に没入感を与えるに違いない。
また、今作品が一般的なアクション映画と一線を画しているのは、キャラの育成と感情的なストーリーテリングへのこだわりがあると思います。
今作品では、アドレナリンが噴出するような場面もかなり用意されているが、登場人物のより深い感情や動機も探求している。
レイクの旅は、彼が身を置く危険な世界を生き延びるためだけのものではなく、贖罪と個人的成長のためでもある。
映画は彼の過去を掘り下げ、彼の弱点や内なる悪魔の囁く自身の罪を明らかにすることで、彼のキャラに複雑な層を加えている。
ホンでもっての、ヘムズワースの魅惑的な演技に加え、は強力な脇役陣を誇ってるかな。
イドリス・エルバが参加するのも嬉しかった。
今作品の撮影とプロダクション・デザインは、その卓越したクオリティにおいて特筆に値すし、硬質で雰囲気のある映像は、登場人物たちの厳しい現実をとらえ、観てる側を物語の暗い裏側へといざなう。
実用的なエフェクトと実際のロケ地を使用することで、映画に信憑性を与え、観客をさらに危険な世界に没入させてくれた。
ただ、長所が多いとは云え、今作品にはちょっとした欠点もある。
プロットは魅力的ではあるが、時折、予測可能な領域に入り込み、おなじみのアクション映画の型にはまる。
しかし、これは映画の強力な実行力と魅力的な演技によってバランスが取れており終始夢中にさせる。
まぁ、結論としては、今作品はスリリングで感情に響くアクション映画であり、個人的には多くの点で前作を凌駕していた。
息をのむようなアクションシーン、魅力的なキャラ造形、そして見事な映像美で、回作を待ち望ませる強烈な映画体験を提供している。
今作品が2023年6月中旬に公開された頃、『タイラー・レイク -命の奪還-3』製作を発表された。
第3弾の詳細は不明だけど、今作品でイドリス・エルバが何やら面倒なことを投げ掛けてたし、新たな救出作戦が描かれるものと思われます。
クリス・ヘムズワースの圧倒的な演技と、この映画の綿密な職人技が相まって、今作品はアクション映画ファンにとっても、手に汗握るストーリーテリングのファンにとっても必見の作品となってると思います。
とても面白い作品でした。
