ギルド

ユニのギルドのレビュー・感想・評価

ユニ(2021年製作の映画)
4.2
【通過儀礼の結婚は自由を奪い去ってしまう】【東京フィルメックス】
ムスリム社会でお見合い結婚を受けた女子高生ユニを描いたヒューマンドラマ映画。

現地で人気のポエム「6月の雨」や紫色の物を盗む癖を持つ友人や10代で結婚したメイドから着想を得て作られた本作。

大学進学を夢見る女子高生ユニは奨学金制度を利用する際に成績上位・素行不良なきこと、、と同時に未婚であることを告げられ、そこから結婚に関する様々な負の側面を目撃する。

紫を個性とするユニが詩を紐解く過程を通じて、個性の紫が赤色と青色に分けられたり、要所要所にプチ三角関係を描くシーンが展開されていくのはどこか皮肉じみてて面白かったです。

結婚することが全てという慣習へのアンチテーゼみたいな作品と言われればそれまでであるけど、面白いのは「自由」を空想で描く所にあると思います。
大学に行く事は何かを達成するのを意味するけど、本作はそういった描写は存在しない。
漠然とした「自由・解放」であり、それが観測した範囲で空想の「自由」が破壊される恐怖を描いているのが面白かったです。
心の拠り所である紫に雁字搦めされる姿と見合い結婚で自由を奪われる雁字搦めが本質的に同じである事を描いている寓話的な姿を含めて、ラストの悲愴感ある着地になったのかなと思う。
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