ユニの作品情報・感想・評価

「ユニ」に投稿された感想・評価

pherim

pherimの感想・評価

3.9
紫色に憑かれ、人の物でも盗んでしまう少女を描くカミラ・アンディニ長編第3作。

女の幸福を結婚にのみ見いだす世間、処女信仰を疑わない求婚者達、奨学金の条件などの狭間で揺れるユニの心は紫への執着を強め、やがて紫に囚われゆく。外見上の優美さや詩性の底で渦巻く激しさに眩暈する。
東京フィルメックス オンラインにて。

フィルメックス期間中、好評の噂を聞いていた本作。「13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。」の広告を思い出した…。映画としてはまあまあだったかな…

時よりビジュアルはよかった。なんで紫好きなんだろ? なんか意図があるのかな?
自分を単純に扱うことからも、扱われることからも超えていく
繊細だけど力強い歩みに心動かされた
honobon

honobonの感想・評価

3.4
東京フィルメックスオンライン配信にて。

薄い青色まで紫っぽく見えてしまう錯覚。
世界的な流れと言っても、女性が社会に出るということは伝統を重んじたり理解や寛容ではない。結婚というものは開放なのか、閉ざされるものなのかが見えてきてしまう。
映像的に優しいタッチの内容かと思ったら意外と辛い生かされ方の作品だった。

東京国際映画祭のユース部門で見そうな感じはしたけれど。
メラ

メラの感想・評価

4.2
【通過儀礼の結婚は自由を奪い去ってしまう】【東京フィルメックス】
ムスリム社会でお見合い結婚を受けた女子高生ユニを描いたヒューマンドラマ映画。

現地で人気のポエム「6月の雨」や紫色の物を盗む癖を持つ友人や10代で結婚したメイドから着想を得て作られた本作。

大学進学を夢見る女子高生ユニは奨学金制度を利用する際に成績上位・素行不良なきこと、、と同時に未婚であることを告げられ、そこから結婚に関する様々な負の側面を目撃する。

紫を個性とするユニが詩を紐解く過程を通じて、個性の紫が赤色と青色に分けられたり、要所要所にプチ三角関係を描くシーンが展開されていくのはどこか皮肉じみてて面白かったです。

結婚することが全てという慣習へのアンチテーゼみたいな作品と言われればそれまでであるけど、面白いのは「自由」を空想で描く所にあると思います。
大学に行く事は何かを達成するのを意味するけど、本作はそういった描写は存在しない。
漠然とした「自由・解放」であり、それが観測した範囲で空想の「自由」が破壊される恐怖を描いているのが面白かったです。
心の拠り所である紫に雁字搦めされる姿と見合い結婚で自由を奪われる雁字搦めが本質的に同じである事を描いている寓話的な姿を含めて、ラストの悲愴感ある着地になったのかなと思う。
koki

kokiの感想・評価

3.4
ラストの選択は型からズラしているが主人公の周りのキャラクター描写は薄い。(ストーリーの方向性の乱れを恐れて衝突を避けているようにも)

誰もが気になる主人公のこだわる色にも、思っていたような重なる意味があるわけではなく。

過去の作家の引用だが、詩が作品全体を救っている。

東京国際映画祭と東京フィルメックスの両者が揃って注目するほどの魅力を感じない。

今年の東京フィルメックスのコンペ
Q&A視聴済み
Terrra

Terrraの感想・評価

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FILMeX2021 10本目

イラン、インド、アフガニスタン、イスラエル、クロアチア、メキシコ…政治/経済/歴史/文化など国の基盤による濃淡はあれど、世界中に巣食うクソオヤジと彼らに搾取されモノとして扱われるオンナコドモを次々と見せつけられゲンナリ。防衛反応で神経回路がシャットダウンされているのか、良いショットやストーリー展開もあったはずなのに、あぁインドネシアの地方ではこの段階か…程度の感想しか出ないのが悲しい。

今年の映画祭ラインナップが世界的なコロナ禍で生き難さが極まった状況下に生まれたことを差し引いても、『駆ける少年』や『友だちのうちはどこ?』から30年以上の時間を経て、主人公が少年から少女に変わったくらいの牛歩。

フィルメックスの〈映画の未来へ〉という、プログラミングの根幹をなすキャッチフレーズを来年は信じられるだろうか。
菩薩

菩薩の感想・評価

3.9
紫と聞くと欲求不満の色だと感じてしまうのは安直な結びつけかもしれないが、本作に於いてはあながち見当はずれでも無い様に思える。勿論性的にと言う意味合いもあるが、何よりユニが不満に感じているのは自分の決断で自分の将来を決められない現実に対してと、そうまでして決めたいとお思える将来が無い現実との間の葛藤だろう。ここでは無いどこかへとか、何者でもない自分になんて主題は既に擦り倒されていると思うが、モラトリアムを謳歌する時間的・経済的余裕があった自分達がそれに対していちゃもんを付けるのはお門違いであり、女子には教育よりも結婚をとの「常識」が当然の様に罷り通る社会の中で、現代的な価値観を持ち始めた彼女達に覆い被さる抑圧は尚の事熾烈な物になって行く。突然舞い込んで来る三件の求婚も全てが彼女の選択では勿論無く、いや…急に言われても…は本来であれば当然の反応であるし、それこそ二人目のおっさんに関しては第二夫人目当て、かつ「処女」である事に価値を見出してくる始末。結婚が即妊娠→出産と結びつけられてしまえば尚の事ユニの将来に対する選択肢は狭められる事になるし、その期待に応えられなければ「嫁として失格」の地獄の様な烙印を押される事になる、その決断をまだ10代後半の少女の手に委ねる(中にはそれすらも奪われる)のは残酷でしか無い(あくまで自分の価値観に基づけば、であるが)。男性優位の社会構造を維持する為に教育を取り上げ家の中に押し込める手段を取り続ける社会に対する反抗、実際に現代を生きる若い世代への可能性の提示、と言う意味ではあのラストも致し方無いように思う。映画に関係ないがこれを観た今日、マララ・ユスフザイさんの結婚が報じられたのは何かの縁のような気がする、どうぞお幸せに。
[インドネシア、全ての自由を奪いさる"結婚"]

大傑作。バイクもノートもヘルメットもファイルもなんなら下着まで紫で、他人の紫の私物を見ると手が動いてしまうという高校生ユニの物語。成績優秀な彼女は女性教師リリス先生から大学進学を勧められるが、併せて勧められた奨学金制度について成績上位を維持すること、紫への執着をある程度諦めて素行不良を治すこと、そして未婚であることが条件であることを知る。成績に関して、文系科目が苦手なユニは国語の点数を伸ばすのが課題だが、若干の思いを寄せるジャマール先生が担当なので、そこまで苦ではなさそう、というより寧ろ楽しそう。また、ユニに思いを寄せる年下のヨガという青年が、それを利用されるような形で詩作を手伝うことで、緩い三角関係が形成される。後述の通り、結婚こそ女の全てみたいな世界にあって、ナヨナヨしたヨガ青年はその規範から外れているように見え、一瞬ながら心の拠り所になるという展開は物悲しく、彼が成長してしまってその規範に飲み込まれていくのは更に心を抉ってくる(正直あれはヨガ青年として最善手だったと思うが、ユニが求めていたのはそれじゃなかった)。勿論、紫への執着は全く捨てられない。ユニが映画内の紫を吸い寄せるブラックホールみたいな役目をしているのは、ある種彼女が自身の人生を自分でコントロール出来ていたことの象徴でもあるのだが、最終的に家中が紫になることでコントロール不能に陥ってしまうのは皮肉がキツすぎる。

未婚であることは、本作品のグロテスクなブラックコメディのような展開の中心となる。いきなり"イスラムクラブ"なる団体が体育館に生徒を集めて"女子の処女検査をします"と言い始めるのも既にヤバいが、親世代の娘たちへの願いが基本的に"進学より結婚"であり、しかも"結婚は祝福、断ると悪運が云々、二回断ると二度と求婚されない"などという伝統が彼女たちを雁字搦めにし、高校生なのに次々と求婚が舞い込み、実際に結婚に"追い込まれた"同級生も描かれている。また、ユニが親しくなる美容師の女性からは、中学生の頃に結婚したが流産を繰り返し、夫に暴力を受けるも家族からは"子供を産めないお前を守る夫偉い"と言われて離婚したというエピソードが語られ、"結婚は祝福"などという文言が完全なるまやかしであることが示唆される。本作品がグロテスクなのは、合計三回ある求婚がそれぞれ別の形状をした気持ち悪さを持っているからだろう。一回目は(観客が)知らん人から、二回目は久々に行ったプールの管理人のジジイから第二夫人として、そして三回目はダマール先生の"趣味"を見てしまった口封じとして。特に三回目の幻滅は激しいものだっただろう。憧れていたあの人ですら、というか彼が一番、この制度を暴力的に享受する人物だったのだ。

本作品が興味深いのは、ユニに将来に対する強力な目的や夢がないことだろう。この手の映画であれば、例えば大学へ行きたい!という強力な夢とそれを邪魔する社会規範/伝統のバトルというものを想像してしまうが、本作品は一つの目的を阻む障害物を撥ね退けるのが目的ではないように思える。つまり、ユニは大学進学を含めた無限の可能性があるが、結婚という制度がその全てを阻んでしまうことを指摘しているのだ。

また、本作品ではユニの父親に全く触れられないのが興味深い。彼もまた、ユニの母親に対して同様のことを行った人物であることは地域の文化として推察でき、なんなら求婚を断り続けるユニに対して家父長的な態度で威圧するなんて描写も出来たはずだ。彼の不在によって、ユニのこれまでや、そこから彼女の中に芽生えた"自由"に対する感情が強調されていく。だからこそ、空想を含めた全ての自由を奪う結婚から逃れるラストは、『John Denver Trendning』と同じく唯一の解決策だったに違いない。
東京フィルメックスにて観賞。ユニ役のアラウィンダ・キラナが好演だった。ユニが好きな紫色を基調とした画が良く、特にネイルサロンが入っているモールの紫~ピンクの画が印象に残った。
カメラワークも良く、ユニが最初の求婚者を振るシーンでは、彼女が求婚者を見つけてそこに向かっていく動きをワンショットで滑らかに捉えている。釣りをしているヨガや、2番目の求婚者がプールでユニに対して注ぐ視線もカメラできちんと表現されていた。
ボーイフレンドと一緒にいるところを見つかった女の子が彼と結婚せざるをえなくなった場面では、ユニを含む彼女の友達が繋いだ手をゆっくりとカメラが追いかけていき、壁の「LOVE」の飾りを映した後で結婚式へとジャンプカットするような処理も気持ちいい。
先生との結婚が避けがたくなってきたユニに対し、それまでウジウジしていたヨガがバイクを出してユニの名前を呼ぶシーンもアツかった。
ストーリーとしては、在学中に嫁に行くこともあった戦前の日本の女学校のようだと感じた。
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