great兄やん

四畳半タイムマシンブルースのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

4.6
【一言で言うと】
「壮“騒”たる時間旅行」

[あらすじ]
ある夏の日、大学生の「私」が暮らす京都・左京区のぼろアパート「下鴨幽水荘」で唯一のエアコンが使えなくなる。悪友の小津が昨晩リモコンを水没させてしまったのだ。「私」が後輩の明石さんと対策を相談していると見知らぬ男子学生・田村が現れ、彼は25年後の未来からタイムマシンでやって来たと語る。そこで「私」はタイムマシンで昨日に戻り、壊れる前のリモコンを取ってくることを思いつく。しかし、気ままな小津たちが勝手に過去を改変してしまう...。

遅ればせながらもこちらを鑑賞。当時小学生ながらもリアルタイムで見てた『四畳半神話体系』と傑作『サマー・タイムマシン・ブルース』がまさかの融合という事でかなり楽しみにしていたが、色々と忙しない日々を送り今日に至るというワケでして😅...とまぁそんな時期外れな鑑賞ではあったが、やはり面白いものには“賞味期限”など無きに等しく、怪作×傑作の見事な融合を果たした今作における“駄作”の確率もまさしく無きに等しいと言えよう。

ストーリーを知っててもなおこの満足度...やはりクセは強いが、あの湯浅正明ならではの世界観は観ていて非常に心地良いものです😌

とにかく面白いや楽しいの印象よりも、ただただ心地良い感覚に胸がいっぱいになった。
京都の街にて繰り広げられる喧騒劇を京都の出町柳の映画館で観るという“至福”に終始身も心もほだされる思いでしたし、それを抜きにしても単純に四畳半の“仲間たち”にまた会えるという、久しぶりに同郷の仲間に邂逅したかのようなノスタルジックな思いをじっくり味わえましたね😋

それに森見登美彦ならではの能弁めいたナレーションやセリフがもう効きに効きまくっていましたし、あの脳内に直接雪崩れ込むような“言葉選び”の秀逸さがもうたまんねぇのなんの🤤
上映開始の開口一番が「私」の独白というのもアニメを見ていた時の懐かしさを感じれて良かったですし、句読点の無い早口なセリフであるにも関わらず清らかに聞き取れる浅沼晋太朗の凄さはもはや流石としか言いようがない。

当初はストーリーの目新しさを知ってる上での鑑賞なので、果たして楽しめるかどうか🤔…という杞憂も無きにしもあらずだったが、気がつけばそんな杞憂も忘却の彼方へとありましたからね...やっぱ改めて思うが、こんな複雑かつ完璧な脚本を書き上げた上田誠は天才です!!マジで!!!

とにかく脚本の巧さに唸ると共に四畳半の懐かしさに思わず口元が綻ぶ、どうしようもなく不毛で阿呆で最高な純然たる“贅沢”を味わえる一本でした!!!

『サマータイムマシンブルース』のストーリーの融合先が『四畳半神話体系』というマッチング具合も最高でしたし、リモコンを巡る冒険を四畳半の面々がやるというマルチバース的展開にも最高に心がワクワクするという、いわば“無敵”な今作。

観終わった後は近くの鴨川を散歩して、まさに夢冷めやまぬ感動を追体験できる非常に有意義な時間を過ごした今日この頃であった😌...