む

四畳半タイムマシンブルースのむのレビュー・感想・評価

4.1
「四畳半神話体系」のアニメが放送されてから10年と少し、今も尚根強いファンを数多く持つ作品が、先日観た「サマータイムマシン・ブルース」と悪魔的融合を果たしていたと、他の方のレビューから伺い、鉄が熱い内に早速鑑賞。アニメも元々鑑賞済みです。

「四畳半神話体系」と言えば、「観る文学」という印象で、耳心地の良い語りの声と文章がクセになる。時折見直したくもなるけれど、どうしても眠気を誘われてしまうという、僕にとっては歯痒い作品になってしまっていた。

僕も学生時代は京都で過ごし、出町柳と鴨川の三角州には大変可愛がってもらった。「猫ラーメン」のモデルとなった屋台ラーメンも食べに行ったこともあるはずだけど、酔っ払っていて残念ながら思い出は残っていない。


いざ今作観てみると、「サマータイムマシン・ブルース」と「四畳半神話体系」は、親和性が高かったことに気付かされる。
どちらの作品も登場人物は、モサくて、うだつが上がらない大学生。そして何よりアホだという必須要項を満たしていた。

細かなオマージュが沢山練り込まれていてながら、しっかりと四畳半の作品として作られており、原作の森見登美彦さんと脚本の上田誠さんの、お互いのリスペクトが染み渡っている。

「サマータイムマシン・ブルース」では、くすぐったかった恋愛話や、細かく言及の無かった時間の概念についても文学風に追求されていて、EP5のラストは切なさと爽やかな青い春を感じさせられる。
この余韻は浸ってしまうし、レビューを書く時の脳内再生は四畳半風だ。


最後に。パラレルワールドや運命の決まった時間軸と言われると、MCU作品を観ている側としては反応してしまう。そんな風に頭の中で結びつけてしまったために、仮説が浮かんでしまった。
「小津は征服者カーンではないだろうか?」
…。あながち外してはいないだろう。
む