「島」という閉鎖的な空間の中で、「自分の人生はこのままで良いのか」という疑問を抱いてしまった人々が、いかに周囲の人間と向き合うかを淡々と描いていく。作品全体を通して何となく死の匂いが漂っているのは、登場人物各人の生き方を明確にする為の演出なのだろうと思う。
このような存在意義に関する葛藤は、物語の舞台である1920年代や田舎特有のものではなくて、むしろ情報が溢れすぎている現代人の方が考えることの多い感情なのではないかと思う。
話は暗いが、とにかく登場人物の描き方がとても丁寧な上、役者達の演技が素晴らしいのであっという間に観れてしまう良作だった。