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イニシェリン島の精霊のmareのネタバレレビュー・内容・結末

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ある日、身に覚えがないまま急に友人が口をきいてくれなくなる。喧嘩をしたわけでもなく、わかりやすい悪態をついたわけでもない、と完璧な掴み。これ以上話しかけると自分の指を切り落とすと友人だった男は告げる。シンプルな断絶からここまで運命が捻じ曲がるものかと驚愕した。現代にしてみればうるさいやつはSNSでミュートしたり、やりたいこと優先して飲みの誘いを断ったりできるが、隔絶した環境下で島民が必然的に顔を合わせるわけで、逃げ場もないディスコミュニケーションに苛まれる。生産性のない馴れ合いを否定する現代批判にも思えるし疲弊するが、戯曲的な描き方が伴っていて、ドラマとして磐石でさまざまな角度から観る余地がある。個人的には「スリー・ビルボード」よりも深く意味をなぞりたくなる作品で感服した。
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