Jun55

ウーマン・トーキング 私たちの選択のJun55のレビュー・感想・評価

4.3
2023年アカデミー賞脚色賞受賞作品。
Rotten Tomatoes90点。
実話に基づいた小説が原作。

実話は、2009年にボリビアで世俗から隔離生活するキリスト教派メノナイトで起こった事件。ただ、メッセージとしては、これを現代社会でどのように解釈するのか、そのメッセージをどう広げていくのか、ということだと思う。

この映画はポスト#Metooを意識したもので、それが故に、新たな視点もあり評価されている。
女性が、性差別、暴力、抑圧にどのように対処していくのかを考える際、語り合うことが大切。
映画に登場する女性は年齢、考え方が異なる。社会の縮図をうまく表現している。
一方、価値が単一化された社会(隔離された社会を以って)では、このような非合理が罷り通る。

語り合うことは、自ずと感情に任せることを否定する。
語り合うことに独裁者はいらない。
平和主義を掲げるメノナイトの信条が織り込まれていることも効果的。

男性の在り方にも触れられていて、若い頃からの教育も大切。

まさにこの映画をきっかけにして、社会で会話が始まることを期待している。(プロデューサーでもあるフランシス・マクドーマンドはそのように語っている)

映画というよりも、舞台を観ている感じなのだが、会話の一言一言が意味を持つので、映画が持つスケール感も得ることができる。
流石に脚色賞を受賞するだけに、幾つかの語りが頭に残る。

監督・脚本のサラ・ポーリーは、女性の視点だけでなく、自身の子役時代のトラウマから得た経験をこの映画に反映しているようで、それが感情移入できるひとつの要因かもしれない。

Freedom is good; it is better than slavery.
Forgiveness is good; it is better than revenge.
And hope of the unknown is good; it is better than hatred of the familiar.
Jun55

Jun55