harunomaさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

4.5

この寓意は沈黙を呼び覚まし、敬虔にも似た暗夜の対話(ジョルジュ・ド・ラ・トゥール)と暴力的な闇(彼らは目は見えない)の中の焰と水をうたいあげる。
カーペンターのような活劇を久々に拝見した。しかし
我ら
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ホステージ(2005年製作の映画)

3.7

燃える家、蝋人形の館、アッシャー家の末裔、キッスで殺せ。
今まで気づかなかったが、若き日のベン・フォスターがあの役で出ているだけで買い。
二重の人質。
意外にも記憶に残るラストシークェンス。

愛のまなざしを(2020年製作の映画)

1.0

死者の物語を語るならば、万田は言うに及ばず、小津、溝口に立ち返るべきだ。
反小津、溝口というあさましさ。
死者は無垢なる者でも生者が都合よく擬人化した者でも、はたまた呪いでもやはりない。声ですらない。
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マーキュリー・ライジング(1998年製作の映画)

4.3

普通に感動した。
アレック・ボールドウィン
パーフェクト・ワールド
キング・ヴィダーのようなラスト
シックスセンス、アンブレイカブル、シャマランよりいいのではないか、というと言い過ぎだが面白かった。都
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マージン・コール(2011年製作の映画)

3.1

リーマン・ブラザーズ崩壊のリアルタイムのその日の一日。
投資銀行や証券会社などについてのテーマの映画は全然少ない。
『マネー・ショート』は繰り返し見るが、『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』は冗談、
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ホワイトハウス・ダウン(2013年製作の映画)

4.1

同時期に作られたフークアの『エンド・オブ・ホワイトハウス』と混合して記憶しまうが、フークアの方が物語を語ろうとしている(ジェラルド・バトラーとアーロン・エッカートの物語など誰が関心を持つのだろうか)し>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

1.9

大体胡散臭さと飄々が売りの大泉に吉田大八を持ってくるのが、そもそも松竹のやる気のなさであり、浮ついた原作の企画に乗るのも時代感がよく分からない。
人間の赤裸々さに表題の渦中で右往左往するリアクション顔
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ドミノ(2005年製作の映画)

2.7

トニスコの中でも、唯一チームに近い仲間達の話であり、
個人の出自や来歴は語られもするが、どうしたことか、ここには個人は見当たらず、不気味なもの、実存を賭するようなものもない。
技法は変わらず、むしろ軽
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オールド(2021年製作の映画)

2.5

ガエル・ガルシア・ベルナルが歳をとる話。
ガエル・ガルシア・ベルナルとシャマランの凡庸さの共犯関係が向こう見ずな洗練さにおいて、誰でもかまわない映画になっていることに、シャマラン当人は気づいていない。
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ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

3.7

然るべき時に、あらゆるダメさ引き受けて提示してしまう
ミッド・ナイト・シャマラン。
お隣の後輩デイ・ライト・シャマラン(ジェフ・ニコルズ)の足音すら、彼には無用の長物なのかも知れない。

はっきり言っ
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サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

2.1

never young beachでこの画、まんまじゃないか。
牛尾憲輔を起用するの恥ずかしくないのか、新参の周辺者だからと言って、山田をパクってるその気概が知れない。大貫妙子が協力してるのが理解に苦
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ドライブイン蒲生(2014年製作の映画)

5.0

「国家の夢は、一人でいること。個人の夢は二人でいること。」

横浜市は自民維新以上に劣化した空虚の傀儡都市へ変貌するらしい。
瓦礫の速度=加速主義において、これは喜ぶべきことだろうか?
にしても、横浜
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One of the Missing(原題)(1969年製作の映画)

5.0

One of the Missing と(は)私たちの。
傑作処女短編。才能しか感じない。1968年。
おそらく短編映画で、ショットごとに連綿するごとに、画面に才能が張り付いている、画面から才気しか感
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トゥモローランド(2015年製作の映画)

4.1

Laughter in the Dark, Tour
ついえた未来へのプルースト的転換。
最高だと思う。
メシア的時間が打ち砕かれた後の、ジョージ・クルーニーとthe Girl (アテナ)ラフィー・
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パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)

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Sicilia! Troppo male offendere il mondo. Sicily! (1998)
シチリア! ひどすぎる、世界を侮辱するなんて
ストローブ=ユイレ

『有事そのもの』ある
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

1.1

これを映画館で、観なくてよかった。
これだけ面白そうな題材(スパイアクション、家族、姉妹がテーマ)で、スカヨハ。
期待していたが
蓋を開けてみれば、もはやマーベルは関係なく、普通のスパイアクション映画
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死にゆく妻との旅路(2010年製作の映画)

4.7

こういうタイトルの特に邦画は普段忌避するが、ワクチン休暇中ということで。
「トクソウ」の後に見ると、そう、
三浦友和とは
『台風クラブ』出身の俳優(それ以前は見てない)なのだと。

近年やたらと部長ク
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オブリビオン(2013年製作の映画)

5.0

あろう事か、トム・クルーズで一番見直している作品が
この、忘却なる意味を冠するオブリビオンであるとは。
ジョセフ・コシンスキー。

ミッションシリーズもよく見るし、クリストファー・マッカリーとのタッグ
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楽日(2003年製作の映画)

4.5

はっきり言ってツァイ・ミンリャン的な振る舞いは大嫌い(単なる偏狭なる作家主義)だし、点として面白いアーティストの自己表現など大文字のシネマとは何の関係もないと思っている。
とは言っても、この「楽日」の
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ハンガー(1983年製作の映画)

5.0

私たちはどこにいるのか? | ジョルジョ・アガンベン
Where Are We Now? The Epidemic as Politics (2020)

現在の非日常の日常化(例外状態の常態化)、
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インビクタス/負けざる者たち(2009年製作の映画)

5.0

コスタではなく
マノエルを感じるのは、私だけではない。
現代のミメーシスを現前に見ること。
20世紀を無視すれば、イーストウッドは『ヒアアフター』とこの『インビクタス』だ(そうとも言えない。『ミリオン
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サマーウォーズ(2009年製作の映画)

5.0

『おおかみこどもの雨と雪』から入ったので、公開当時は観ていなかったが、もはや見直すとしても、音しか聞いていない。
あらゆるキャラクターにディーン・マーティンがいる、仁義の人、老輩に藤純子がいる、長野の
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ある秘密(2007年製作の映画)

5.0

天使の存在を少なからず確信して生きているとする、私たちが。
だが恐らく、
本当に現実に天使が
目に見え、目の前に現れた時、おそらく吐き気を催すほどに人は立っていられないだろう。それほどまでに対峙する双
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スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)

2.3

思いのほか、80年代のルック、描写がいい感じだと思っていたら、
『恋とニュースのつくり方』(原題: Morning Glory)のカメラマンだった。

ダニー・ボーイはロジャー・ミッシェルに敵うはずも
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シチズンフォー スノーデンの暴露(2014年製作の映画)

3.7

朗読される手紙、声としてはじめて現れる手紙には、もはやそれが紙の手紙なのか、デジタルのメールなのか、違いはない。もちろん書かれる内容の差異はあるだろうが、映像においてオフで入ってくる手紙とは、声以外に>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

2.1

予告編で「メッセージ」の冒頭に新海誠のコメント、そしてエイミー・アダムス(幼い娘を亡くした言語学者の母親)、倒れそうでした。ほとんど『コンタクト』21世紀版に違いなく、ゼメキスとの勝負になるが、透き通>>続きを読む

残菊物語(1939年製作の映画)

5.0

『残菊物語』(35mm版の)森赫子、素晴らしい。
経年のフィルムの傷(ノイズ)もありますが、ロングショットの中、森赫子の顔は見えず、ほとんど亡霊のような声の存在として強く、ただ中盤か後半の1カットだけ
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プロミスト・ランド(2012年製作の映画)

3.7

Promised Land において "Global Go Home”のサインの中心人物がジョン・クラシンスキーであり、ブルース・スプリングスティーンまでバーで歌ってしまうという脚本も、製作も同じ当の>>続きを読む

ファーストラヴ(2021年製作の映画)

1.1

作り手には二種類の人間がいる。
一つは、ふざける才能があって、ギャグをギャグとして映画を駆動し得るかも知れないと意識的なセンスの人間。
もう一つは、何も考えずに適当に作り、努力と称して結果的に歴史を逆
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

1.7

ライアン・ジョンソンは何かができると思わせる。
この題材で、クローズドサークル、このルック、豪華な俳優陣、ショットの切り替えもいいし、ダニー・エルフマン風のファンタジックな楽曲やら、望遠(フィルター)
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晩春(1949年製作の映画)

5.0

『晩春』『Late Spring』(1949年)
- 晩春における反復性について -
    

「晩春」は映画の中心となる父と娘の家だけでなく、多く場所が決められた位置からの撮影-フレーミングで出来
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

1.2

ロブ・ライナーがいいなんて誰も思ったことはないとは思うけど
案の定、というか初めて全編通して金曜ロードショー吹き替え版で流し見した。
うん、つまらない。
リヴァー・フェニックスが出ているのがいい。
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ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

2.1

グリーンラベル(グリーンの時代)となった
レオス・カラックスは全くダメだと思う。酔狂の域を脱しない。
無いよりかはマシという程度の復帰だろう。

活劇の熱量がシャンプティエのデジタル・シネマではすべっ
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美しき諍い女(いさかいめ)(1991年製作の映画)

5.0

まずマリアンヌ。
この国では近年、若者を中心に、無防備にリヴェット・バブルがなぜか盛んに許されている。
保守本流たる理念も思想も通底し得ない歴史のなさの中から、相対的にこの中庸なる不思議な者の肌に触れ
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フェア・ゲーム(2010年製作の映画)

2.1

フェア・ゲーム
再再見。こんなにつまらなかったか。
ジャーナリズムネタという以外、これと言って良くない。
CIAはナオミ・ワッツ、家に帰ると無防備独断演技が許されるバージョンのショーン・ペンという自意
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オーシャンズ8(2017年製作の映画)

3.3

男のいない女たち
敵はいない、敵はいらない。であるがゆえに西部劇ではなく、ナンシー・シナトラというよりウエスト・コースト・ジャズとなり、見やすい。拳銃も刑事もいない。

単独主演級の女優たちが今までの
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