これはすごいですよ。差別、貧困、ミソジニーなどを背景に、言葉にしづらい感覚を突きつけてくる。基本的にはへヴィーなんだけど、登場人物の行動が影響しあい進んでいく物語は爽快ですらある。脚本が素晴らしい。
多くのオマージュと、映画だからこそ可能な演出はキラキラとしたファンタジーで満ちている。それは強いていえば、理想的な『ラ・ラ・ランド』だろうか。社会から疎外されたふたりが愛しあうという展開はベタだけど、>>続きを読む
面白い。観客の想像力を信じる懐の深さが印象的な、語りすぎない作品。随所で表れる“見えない怖さ”は、時間や雰囲気を操れる手腕があってこそ。
アメリカンドリームを皮肉ったうえで、“これまでの夢はもう崩れたけど、そこからもう一度歩んでいこう”という前向きなメッセージを込めた良作。こうした形で、実話を今風に仕上げるセンスは見事ですね。登場人物の>>続きを読む
面白い作品というよりは、観たほうがいい作品。手法としては『ダンケルク』に近いけれど、『デトロイト』には“差別は昔も今も変わらない”という明確なメッセージがあり、この点は大きな違い。
ドキュメンタリー>>続きを読む
プロのサッカー選手としては初めてゲイであると告白した人のドキュメンタリー。悲劇的な人生の裏にあった偏見や差別を浮き彫りにした内容は評価できる。ただ、性的指向についての話で「性的嗜好」と訳していたりと、>>続きを読む
少女が女性になるまでの過程をモチーフにしたホラーかと思いきや、ラストでまさかのどんでん返し!あの父親の告白を聞いた瞬間、点が一気に線となり、“抑圧を受けて生きること”というもうひとつのテーマが浮かびあ>>続きを読む
家父長制など、同時代性に目配せした作りは一定の評価ができる。とはいえ、それが物語を彩るネタに留まっているのは残念。あえて原作の色を後退させたりと、興味深い試みもありますが、そのすべてが裏目に...。
先日、久々に観たので感想を。違和感を突き詰めることで、クスクスできる笑いを生みだす手法は松本人志的だと思う。特に好きなのは、悪ふざけ要素があるアクション。ありえないことを真面目にやってる姿に笑いが。こ>>続きを読む
松岡茉優さんの映画です。精密な演技を得意とする実力派という側面が最大限に活かされている。自尊心が目立つ主人公と内向的な雰囲気漂う現実場面のコントラストは、現在の日本を反映しているようで興味深い。
と>>続きを読む
タルーラ、マーゴ、キャロラインという3人の女性を中心とした物語。3人とも“母”であり、何かしらの問題を抱えている。その問題に、女性であることの辛さが滲み出ているのは見逃せないボイントでしょう。劇中のさ>>続きを読む
金持ちで都会育ちの女性と、都会で辛い目にあった田舎者の男が結ばれるまでのラヴ・ロマンス。劇中における「伝統」が、保守的な価値観ではなく、立場や育ちを越えて愛し合うことを指してるのが重要なポイント。目新>>続きを読む
いま、こういう映画が作られるとしたら、白人だらけにならないだろうなと思いながら再度鑑賞。このような時代性は否めませんが、ロビン・ウィリアムズとマット・デイモンの掛け合いは何度観ても素晴らしいですね。終>>続きを読む
コメディーにしたいのか、シリアスにしたいのか、それとも両方なのか、最後までハッキリしない展開に萎えてしまった。
なかなか骨太な作品。さまざまな種族が住む架空のアメリカを舞台に、差別といった多くの社会問題を描いている。その象徴といえるのは、オークとしてはロス市警初の警官であるジャコビーですね。
そのジャコビーに>>続きを読む
『スーパーマリオブラザーズ』の実写版。出演者からも酷評された映画ですが、いま観るとツッコミどころが味になっていてなかなか面白い。スーマリの世界を知ってると、“なぜそうなる...”と思いつつ、笑いながら>>続きを読む
僕は前作のほうが好み。とはいえ、皮肉たっぷりな風刺など、見所は多い。『アメリカン・グラフィティ』の世界みたいなアジトを持つポピーが悪役というのも、懐古主義に走るアメリカを暗喩しているようで興味深い。>>続きを読む
仲間集めをはしょりすぎだし、人間ドラマの描き方も浅いなど、粗が目立つ作品。主役の4人が飛行機にぶら下がるシーンは面白いですけどね。
SF的な設定は好みだけど、シリアスな雰囲気と役者陣の大げさな演技が噛み合っていないため、最後までノリを掴めなかった。もっと抑制的な演出だったらスリルが生まれて、設定も活きたんじゃないかと思います。
レイチェルの扱い方は、家事/介護労働の大変さを軽視してる証左でしょう。この映画が公開されて数年の間で、さまざまな価値観が変わったんだなとあらためて。
90年代という時代の空気や、そこに忍び寄る閉塞感と焦燥は見事に描かれていた。“映画の出来”だけを見れば、目立つ粗はないと思う。
一方で、その閉塞感と焦燥を今の若者に重ねようとする意図は、微妙とも感じ>>続きを読む
デヴィッド・リンチは、道を踏み外さなかったヤバい人ですね。あのアトリエや多くの作品群は、リンチを“人”という存在に留めるための鎖なのかもしれません。アトリエにヒエロニムス・ボスの『快楽の園』が飾られて>>続きを読む
面白かった。カイロ・レンの思想など、より同時代性が色濃くなってましたね。登場人物ではローズが最高。自ら積極的に行動して、最終的にはある人の唇を奪ってしまう。しかも3枚目ではなく、むしろ正統派のヒロイン>>続きを読む
社会からドロップアウトした人たちが、マイノリティーを助けるという物語には深いメッセージがありますね。爽快感が薄いカーチェイス(自転車と車ですが)など、微妙なカメラワークがなければ、3点台でした。
実力と知名度がある役者を集めたB級映画。正直、出来はあまり良くないけれど、カウボーイとエイリアンの組み合わせを真面目にやってるところはチャレンジングだと思います。
TV版エグゼイドのエンディングをそう活かすか!という驚き。テンポが悪い編集に引っかかってしまうけど、平成ライダーシリーズを観てきた人たちに向けたサービス精神は秀逸。
安易な両論併記やフェイクニュースに関する議論が盛んなタイミングで公開される意味を感じさせる映画。実話を基にしてるので結末はわかるのですが、テンポの良い会話など、随所でエンタメ性を忘れない姿勢が見られる>>続きを読む
設定は好みですが、母性信仰的な要素が引っ掛かりこの点数。エル・ファニングさんはハイスコアです。
アメリカの正義の象徴であるスーパーマンをさまざまな超人が甦らせる展開は、多様性こそがアメリカであるというメッセージを観客に伝えている。こうした見せ方は目新しいものではないけれど、僕は好きです。
ただ>>続きを読む
先週ネットフリックスで配信が始まった映画。第二次世界大戦から帰還したロンゼルとジェイミーを中心に、辛辣な批評精神と一握りの希望が込められた物語を紡いでいく。戦争ではなく愛で国境を越えようというストレー>>続きを読む
第二次世界大戦時のポーランドが舞台の映画。実話に基づく映画ですが、ワルシャワ動物園にユダヤ人たちを匿う様子が“多様性”の表象になっているあたりは、同時代性を感じる。これは監督を務めたニキ・カーロが意図>>続きを読む
陽気な雰囲気が漂う『最後の追跡』といった感じ。随所でアメリカの闇を匂わせてますからね。とはいえ、アメリカ国旗がはためくレース場から大金を奪い、迷惑をかけた人たちに配るという義賊的なストーリーは重苦しく>>続きを読む
これはアカン。役者陣の努力を踏み潰す雑な脚本がキツい。マコノヒーさんの上手い落ち方しか印象に残らない。
この間クラブで助けた人に、「『幸せはパリで』のジャック・レモンみたいな笑みですね。哀しみを滲ませている」と言われたので、久々に観た。ジャック・レモンみたいに表情豊かじゃないけどなあと思いつつ、ときめき>>続きを読む
夢の中に入って問題を解決するというSFスリラー。夢に入るための理論はかなり省かれてるけど、冷戦を背景とした物語は80年代だなあと思いながら楽しめました。『アルタード・ステーツ』を連想させるヴィジュアル>>続きを読む
演出やカット割りといった技術的な部分は秀逸と感じながらも、コミュ障と言える時点でコミュ障じゃないよ的な違和感が最後まで拭えずこの点数。