Yukenzさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

シリアにて(2017年製作の映画)

3.4

シリア内戦の砲撃や爆撃だけでなく略奪にも怯えながら、ひっそりと首都ダマスカスのアパートの一室にこもり隣人たちと生活を共にする女性と子ども、そして老人。そこには男主人の姿はない。

発砲音や爆撃の衝撃音
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少年の君(2019年製作の映画)

4.3

本作はfilmarksでも非常に評価が高く、また、以前見たデレク・ツァン監督の「ソウルメイト」がものすごく刺さったこともあり、かなり期待しての視聴だった。

いじめ問題をメインテーマに、現代中国が抱え
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海賊じいちゃんの贈りもの(2014年製作の映画)

3.5

祖父母と孫の関係は、親子とは違って無責任に可愛がれる、甘えられるという点に特異性があると思うが、本作ではそれが如何なく描かれている。

スコットランドの雄大な自然の中で、子どもたちが大人に干渉されずお
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ドッグマン(2018年製作の映画)

3.4

お人好しでちょっと抜けてる冴えない男マルチェロ。娘を何より大事にしながらドッグサロンを営み穏やかに生活していたが、町の暴君シモーネに絡まれ、いいように使いっ走りにされる。
暴力による不条理がまかり通る
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スウィート ヒアアフター(1997年製作の映画)

3.3

終始ムードが暗く正直楽しくはなかったし、また見たいとも思わなかったけど、弁護士役のイアン・ホルムやバス事故で生存した少女役のサラ・ポーリーら出演陣の演技はよかった。

閉鎖的な片田舎で起きた事件を正義
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アイ,ロボット(2004年製作の映画)

3.7

人類とAI知能を持った機械との対立。
ロボット嫌いな刑事(ウィル・スミス)の立ち回りが惚れ惚れするほどカッコいい。

AIの暴走というテンプレートはシンプルだが、両者の戦闘シーンがメインというのではな
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さよなら歌舞伎町(2015年製作の映画)

3.7

ある日の歌舞伎町のラブホテルで繰り広げられる、色んな大人の訳あり人生模様。なかなか刺激的で面白かった。

それぞれの悩みは違えど、根底にあるのはみな、"何かに向かって一生懸命に今日をもがいている" と
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スクール・デイズ(2011年製作の映画)

3.8

子どもは子どもの世界のルールの中で悩み、時には傷ついたり、優しさに触れたりしながら成長していく。そしてその世界に関わる大人たちは大きな割合で子どもたちに影響を与える。

自分にもこんな時があったんだよ
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アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)

2.9

高良健吾作品を見ようと思い本作を選んだが、娯楽性は皆無で胸糞シーンが多く、なかなか辛かった。
初見して思ったのは、ストーカーもDVもこんなことをホントに実行してしまう人がいたら怖いなということ。
でも
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.4

青い肌に赤い目玉。見るからに不気味な巨人ドラーグ族に虐げられ更にはベットとして弄ばれる人類オム族。

1973年のアニメなので画像が荒く動きもカクカクしているが、フランス作品らしい音楽やデザイン性の高
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イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち(2014年製作の映画)

3.6

これまたユニークな設定の作品。遠く離れた男女2人が何故かテレパシーで繋がり、それぞれが目にしたり触れた感覚を互いに共有できてしまう。

2人がそのことに気付いてから、あたかもソウルメイトを得たように夢
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俺たち喧嘩スケーター(2011年製作の映画)

3.5

アイスホッケーのルールはよく分からないが、選手同士の同意があれば、1体1でリンク上での殴り合いが認められてるようだ。
なんてエキサイティングな競技…

だからアイスホッケーの技術はそこそこでも、ケンカ
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ジョナサン ふたつの顔の男(2018年製作の映画)

3.7

今まで見たことのない感覚の映画でとても新鮮だった。一つの体を二つの独立した人格が共有して、記憶もそれぞれの人格にしか残っていない。それって生きていく上でかなり恐ろしい。事態に気付いてくれた医師の協力な>>続きを読む

あしたは最高のはじまり(2016年製作の映画)

3.7

父親と娘の関係は、息子とは違う特別なものがあるとあると聞くが、サミュエルがクリスティンに接する様子を見るとなんとなくその意味が分かったような気がする。

かつては大の女好きでパーティではイケイケだった
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泣くな赤鬼(2019年製作の映画)

3.5

ガッツリ高校野球のスポ根ものかと思っていたが、意外にヒューマンドラマの要素が色濃く、(タイトルどおり)泣かせようとする演出が露骨なほどに感じられてしまい、ちょっと引いてしまった。

堤真一や柳楽優弥の
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肉体の門(1964年製作の映画)

3.3

焼け野原になった終戦直後の東京の闇市に紛れて、体を商売にして逞しく生きる女たち。愛とは無関係とばかりに徒党を組み掟を設けてお互いの行動を監視する。
それでもどこかに女の本性が隠れていて、男を通じて愛を
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犯す女〜愚者の群れ〜(2019年製作の映画)

3.4

城定秀夫監督の作品はこれが初見。彼の作品はポツリポツリと良い評判を受けていたので気にはなっていた。ピンク映画出身ながら最近は今泉力哉氏とも組んだりと、ドラマや恋愛ものも手掛け、振り幅が広いようだ。>>続きを読む

牝猫たち(2016年製作の映画)

3.2

都内で風俗の世界に生きる3人の女性を描いた作品。日活ロマンポルノリブートプロジェクトの一作として製作期間も予算も決められた中で、白石和彌監督がこんな映画を撮っていたなんて意外。先日観た園子温の「アンチ>>続きを読む

八日目の蝉(2011年製作の映画)

3.8

原作は未読ながら角田光代だし、日本アカデミー賞でかなり評価されていた事もあり、以前から気になっていた。重厚なテーマを井上真央と永作博美の実力派女優がどのように演じるのかも大変興味があった。

三つ子の
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エンドレス 繰り返される悪夢(2017年製作の映画)

3.8

2人の父親のそれぞれの我が子に対する想いと、青年の恋人に対する想いが色濃く絡み合う異色のタイムループ作品だった。
3人の男たちそれぞれの正義もあり、相対する人物たちの行動の善悪を評価することは難しく、
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3-4x10月(1990年製作の映画)

3.3

北野武の監督2作目で脚本も手掛ける。
タケシ軍団をふんだんに使っていて自由過ぎるでしょう。その中でもガダルカナルタカの男気(?)があまりにも自然で、あれは演技でなくて素でしょうか・・・

BGMがなく
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パリ13区(2021年製作の映画)

3.8

パリには行ったことがないし、13区がどんな特異性があるのかも分からないけど、フランス映画には日本とはタイプの違った人間模様を抉ってくる印象があったので、本作に期待して鑑賞。

エミリー、カミーユ、ノラ
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アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

3.0

世代ギャップが大きすぎたからか、作品に入り込めず単なる傍観者になってしまった。大きな動きがある訳でもなく見終えた時の爽快感も得られず…
キャストに魅力を感じなかったのも一因かなと。
見る作品を間違えた
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127時間(2010年製作の映画)

3.5

どこかで本作のトレーラーを目にして以来ずっと見たいと思っていたが、実際見ると”あのシーン”だけは思わず目を背けてしまった。心臓がバクバクして息が苦しい…

生きることへの執念とその為の犠牲を厭わない覚
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悪なき殺人(2019年製作の映画)

3.6

愛とは足りないものを与えることー

愛に飢えている時は些細な希望に飛びついてでも愛を得ようともがいてしまうという事でしょう。それが刹那的であっても、非現実的であっても、倫理的でなくても、理性による歯止
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ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)

3.5

先日見たウェス・アンダーソン監督のストップモーションアニメ「犬ヶ島」に感銘を受けたので、同氏が先に手掛けていた本作を見たくなり鑑賞。
元々原作があるそうでオリジナルストーリーではないんですね。

動物
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そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

3.5

全体的に暗くて重苦しい話だが、メインキャスト陣の演技に惹きつけられて最後まで見てしまった。

綾野剛は無気力なのに何故か色気が漂っている。ある事がきっかけで突然固まってしまう、過去に傷を持つ掴みきれな
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ANTIPORNO アンチポルノ(2016年製作の映画)

3.0

冒頭のシーンがもう少し長かったら恐らく見るのをやめていたと思う。まずここが勿体無いかなと思った点だが、その後も何を言いたかったのかよく理解できずに見終えてしまった。
園子温作品はなかなかブレが激しいよ
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ブラッド・スローン(2016年製作の映画)

3.5

本作の主演は「ゲーム・オブ・スローン」でジェイミー・ラニスター役を演じたニコライ・コスター=ワルドー。原題が "Shot Caller” (決定権がある者、リーダー、ボスの意)なのに邦題が”ブラッド・>>続きを読む

ストレンジ・フィーリング アリスのエッチな青春白書(2019年製作の映画)

3.2

原題"Yes, God, Yes”をかなりストレートに攻めた邦題にしていて笑った。
ドラマ「ストレンジャー・シングス」でナンシー役を演じるナタリア・ダイアーがウブな女子高生役で性に興味を持ち始める話と
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アフロ田中(2012年製作の映画)

3.3

軽めのコメディ映画の気分だったので本作を鑑賞。頭空っぽにして見られたのでいい気分転換になった。

松田翔太はクールなイケメンのイメージで通っていた筈なのに、よくこの役引き受けたものだ。

監督は今をと
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tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

4.0

不朽の名作ミュージカル「Rent」を生み出したジョナサン・ラーソンの成功するまでの苦悩と情熱の日々を熱く描く。先に「Rent」を見ていたので話に入りやすかったのもあるが、この作品自体がとても素晴らしく>>続きを読む

蛇にピアス(2008年製作の映画)

3.2

先日見た「横道世之介」が良かったので、吉高由里子と高良健吾が初共演した本作をかなり久しぶりに見直した。

刹那的に生きる少女ルイ(吉高由里子)の目を通して、派手な刺青やピアスなどで肉体改造したアマ(高
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裸足の季節(2015年製作の映画)

3.6

あまり目にすることのないトルコ映画。
古い慣習と封建的な思想のもと自由を抑え込まれた5人姉妹。学校にも行けなくなり、家に閉じ込められた彼女たちに与えられたのは良妻になる為の修行のみ。

こんな窮屈な生
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愛の部屋、裸の2日間/朝までの二夜(2015年製作の映画)

3.5

うーん大人の切ない恋愛モノだわね。しかし"2 nights till morning”が邦題では何で"愛の部屋、裸の2日間”になるんだろう。内容にも合ってないし目を引く為の姑息さしか感じないんだけど。>>続きを読む

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.0

この映画めちゃくちゃ刺さってしまった。
110分でこのクオリティに纏め上げた監督の手腕は勿論だけど、主演二人の演技がどこを切り取っても素晴らしく、ずっと惹きつけられる。特に安生(アンシェン)役を演じた
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