crnさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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ある夜、彼女は明け方を想う(2022年製作の映画)

3.0

本編では謎だった彼女側の物語。でも彼女に共感するためではなく、彼女側にもあった状況や感情のごたごたを知るためのもの。その描き方がリアルで、全体のテンポや空気感とあっていた。

本編の最後に大事な情報が
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フード・ラック!食運(2020年製作の映画)

2.5

焼肉好きな人が作った、焼肉好きな人なら楽しめるのかもしれない作品。寺門ジモンさん監督という情報が、私には一番おもしろいポイントだったかも。

食べ物が主役のドラマは当たりが多いので映画も良いかと見てみ
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フェリチタ!(2020年製作の映画)

3.5

演出の効いた作品。トミーの中の世界と現実世界との境目ない展開と、嘘か本当か分からない台詞の応酬に、少しの混乱とともに引き込まれる。たった1日ほど+エンディングの一瞬で、説明的な語りが全然ないにも関わら>>続きを読む

ブルーアワーにぶっ飛ばす(2019年製作の映画)

3.5

他人のセラピーを見学しているかのような映画だった。自分のことを棚に上げ、誰にも尊敬を見せない砂田。残酷な面を出しながらくすぶり続けている様子も、違う自分を思い描き続けてきたことも、彼女の帰省を見てある>>続きを読む

blank13(2017年製作の映画)

3.0

テレ東深夜ドラマ好きとしてはトーンが掴みやすく、笑えない部分が多いのも許容範囲内だった。甲子園の思い出を筆頭に、語るシーンがやや安直な演出だった印象。でも、火葬場の裏や公園にいる母親の語らないシーンが>>続きを読む

ソニータ(2015年製作の映画)

4.5

ソニータの表現力と行動力に圧倒される。児童婚を拒否しながらも、貧困と因習の下に生きる家族への愛情や配慮があるがゆえの葛藤もあり、その当事者性が彼女のラップに力を与えていた。誰が何をどこまで内面化してい>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.5

社会的な成功とは真逆のところで、何かに誠実に、でも自分の力の大きさや可能性には気づかずに生きている若者たち。大事なものごとを認識するのが苦手で、自分の心の尊重と他人への思いやりのバランスが取れないため>>続きを読む

二人でお茶を(1950年製作の映画)

3.0

”Tea for two"のタイトルに惹かれて鑑賞。ダンスや歌に時々感心しながら、おじさんの可愛い動きや秘書のつっこみを楽しみつつ、軽く観られるコメディだった。出来すぎなくらいのラストも、ちょうどいい>>続きを読む

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.0

今泉力哉監督作品みっつめ。伊坂幸太郎原作の連作短編集×多数の有名キャスト。

脚本化にちょっと難があった印象。原作は未読だけれど、「過去のあの時の選択を肯定できるか」というテーマを短編で重ね、各話がき
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.0

今泉力哉監督作品ふたつめ。角田光代の描く世界がそのまま映画になったような脚本が見事。

普通さとエキセントリックなところが同居したテルコという角田光代らしいキャラクタを、岸井ゆきのがきちんと立体化して
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mellow(2020年製作の映画)

3.0

今泉力哉監督作品ひとつめ。飛行機を眺めている映像がたっぷり続いた後に「飛行機」と言う、というような描き方がずっと続く。言葉での伝達がモチーフの作品だから仕方ないのだろうけれど、気になってしまった。>>続きを読む

フェアウェル(2019年製作の映画)

4.0

幼くして移民となったために、大好きなおばあちゃんと文化や考え方を共有していないビリー。自分の正義が本当に正しいのかという葛藤を、自分のために解消することを諦めて、おばあちゃんの教えを採り入れるラストに>>続きを読む

セブン(1995年製作の映画)

4.0

ストーリーも、カメラワークや演出も、俳優の演技も、全て上手にできていた作品。トラウマになりそうなほど心に残る。

7つの大罪という宗教的モチーフを活用することで、物語を意味深長に見せつつ展開を鑑賞者に
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グッド・ヴァイブレーションズ(2012年製作の映画)

3.0

北アイルランド問題は歴史的事象として浅く知ってはいても、その下での市井の人たちの個別のストーリーはほとんど知らない。主人公と彼のもとに集う人たちの日常的生活において、テロや様々なかたちの暴力がどれだけ>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.5

こういうものを現代の耽美的作品と呼ぶのかと思わされる。ギリシャ彫刻から始まるイントロが象徴的。

区切られたひと夏の体験、二人の関係性、その禁忌性とそれに対する寛容な両親からの受容という、本当に限定的
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マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと(2008年製作の映画)

3.0

夫婦×犬に徹している映画。夫婦の間に生まれた三人の子の個性さえわからないほど、焦点が絞られていた。可愛い子犬のころだけでなく、犬の老いの後の死まできちんと描こうと努めている点が好もしかった。

個人的
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ローマに消えた男(2013年製作の映画)

3.5

躁と鬱に分かれた双子が入れ替わり、だんだん近づいていくように見せるという物語の筋以上に、それを成り立たせる周辺要素の重ね方が良かった。政治とアート、ローマとパリ、の対比は、魅せる画面を創りつつ、双子の>>続きを読む

ローマの休日(1953年製作の映画)

4.0

何年かぶりの鑑賞。一つの夢物語として、完成度の高いこと。

冒頭のスカートの中で靴を脱いでいるシーンから、コメディ要素がこんなに強かったのかと驚く。オードリーも、間や動きがコメディエンヌとして可愛らし
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街の風景(1931年製作の映画)

3.5

アパートの前での世間話が続く群像劇から、その中の一家族に起きた事件でサスペンス調なる急転換がおもしろい。この展開の前後に街の俯瞰を見せて、タイトル通りの「Street Scene/街の風景」になってい>>続きを読む

ステップ(2020年製作の映画)

3.5

鑑賞後に重松清原作と知り、大いに納得。家族における役割を通じた関係の中にある愛情に、普遍性を見せる物語。そしてその周りまで広がる、ひたすら温かい世界。美化されているとも、理想的すぎるとも感じながらも、>>続きを読む

ラブ・クレイジー セックスだけの関係(2008年製作の映画)

3.0

恋愛関係にある人達の間のコミュニケーションをセックスを中心に据えながらよく描いていた。音楽がイマイチなのと、時々狙いすぎた光の使い方があったり画面が雑なのが気になったけれど、物語の筋はおもしろい。セッ>>続きを読む

体操しようよ(2018年製作の映画)

3.0

日常の些細なことをゆったり描きつつ、実はなかなかな事件がさらっと含まれているという、日本映画独特の雰囲気とつくり。その意味で、全体的に際立つ面白みはなくとも安定感がある。草刈さんの配役に賛否が分かれる>>続きを読む

最高の花婿 アンコール(2018年製作の映画)

3.5

愛国心強めのフランス人父母と異国バックグラウンドの娘婿4人のやりとりは、「これは差別的」とわかりやすく示されているので、露骨な分からっとしている。完全に寛容になれなくとも、互いを思いやっているという確>>続きを読む

累 かさね(2018年製作の映画)

3.5

漫画の映画化としては成功なのでは。勢いがあり2時間持たせていたし、サロメで終わるラストが良かった。原作の筋はさらにどろどろ&長々しているようで、映画はうまく切り取って盛り上げて終わっていた。

主演2
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ラフィキ:ふたりの夢(2018年製作の映画)

4.0

「オレンジだけが果物じゃない」を思い出した。あちらは数十年前のイギリス、こちらは2010年代のケニア。生まれついたところの宗教や思想に許されようがない自分を認識し、そこから精神的にも物理的にも離れられ>>続きを読む

心が叫びたがってるんだ。(2017年製作の映画)

3.0

タイトルに惹かれてアマプラ見放題終了前に視聴。

キャラクタの設定とストーリーの展開がご都合主義的ではあるのだけれど、後半のミュージカルが良くできていて上手に終わる。ラストのクラシックとミュージカルの
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新解釈・三國志(2020年製作の映画)

2.5

豪華キャストの歴史コント。早々に何度か脱落してしまい、結局流し見だけになる。二時間続くにはストーリーそのものの起伏が少なすぎて、笑いも単調だった。

暗い時代だからひたすら軽い笑いを提供しようとしたの
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がんばれ!チョルス(2019年製作の映画)

2.5

悲劇的な実話をコメディとして多くの人に届けようという発想はありだし、挑戦的な作品だと思う。例えば日本ではこんな作品は作られにくいだろうし、韓国ならではなのかもしれない。しかし、キャラクタや小エピソード>>続きを読む

わたしたち(2016年製作の映画)

4.0

小学生たちが、狭い世界の中で「自分のことを好きになってほしい」という自然な気持ちに毎日一生懸命に向き合っているのが、とても丁寧に描かれていた。ポジションを変えながらの友達付き合いで、自分を見失ったり見>>続きを読む

怪しい彼女(2014年製作の映画)

3.5

日本版との比較のために鑑賞。

韓国版の方がコメディに振り切っていた。そして、多部ちゃんはずっと本人由来の可愛さが前面に出ていたのに対して、主人公の老人らしさが強調されていた分プロットがより生きていた
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ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(2016年製作の映画)

3.5

ジェームズは、「ボブが毎朝起きる理由を与えてくれた」という。薬物依存からの更生プログラムやビッグイシューという仕組みがあって、なおかつそれに関わる人が真剣にしっかりと向き合ってくれて、それでもクリーン>>続きを読む

がじまる食堂の恋(2014年製作の映画)

2.0

少女漫画が原作のような印象。話の筋と台詞が非現実的で、キャラクタの性格がぶれぶれで、おばあのそばという大事なはずの題材が宙ぶらりん(エンドロール後のあれだけでは)。「相手と自分の心の両方と、きちんと対>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

気持ちよく逆転劇を展開するコメディから、埋まらない貧富の差が生み出すホラー/サスペンスへ。振れ幅の大きさが独特の余韻を残す。韓国映画に多いこの感じまだ慣れない分、衝撃的だった。

半地下から見える街と
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あなたを見送る7日間(2014年製作の映画)

3.5

夫婦/恋愛関係に忙しい4人の子どもたちと母親。本当にこんな家族がいたら大変だけれど、明け透けにしないだけで誰しもが何となくこんなことを抱えているのもまた現実。そして、家族のメンバーそれぞれとの個人的な>>続きを読む

パリのランデブー(1994年製作の映画)

3.0

ロメール映画初鑑賞。パリらしさ、的なイメージにたくさん助けられているような、むしろそれを活用しているというのか。

恋愛にどっぷりはまっている男女が、当たり前のように誰かを追いかけたり惑わせたりする3
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ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)

3.0

田中みな実見たさに鑑賞。抑え気味の演技が続く前半は発声が良くないのか周りの役者に完全に食われていたけれど、後半の感情の乗せ方が上手だった。

話としては、この主人公と同世代の女性は程度の差こそあれ通っ
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