nさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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シシリアン・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

食欲という食欲が失われた。何という陰惨な幕切れ。

あまりに救いのない、慰めようもない悲劇が起きたとき、残された人たちにせめて空想の中だけでも違った結末を見せたい、という切なる願いが生んだ美しいファン
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クリムゾン・リバー(2000年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

猟奇的で怖い映画というイメージがあって敬遠していたのだけど、蓋を開けてみたら喧嘩っ早い若僧ヴァンサン・カッセル警部補(得意技は回し蹴り)が伝説の敏腕刑事ジャン・レノ警視(犬が苦手)に出会うやいなや目を>>続きを読む

パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年製作の映画)

4.1

パッドマンは偉大だなあと感嘆すると同時に、女性の尊厳はスーパーヒーローが現れないと守ってもらうこともできないのかと呪詛したくもなる。

全体としてはコメディタッチの明るい雰囲気の作品ながら、男性中心社
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ハートの問題(2009年製作の映画)

3.3

心筋梗塞を起こした二人の男が病室で出会って親友になり、退院後も家族ぐるみの交流を続けるが、やがて一人がもう一人に自分の身代わりをさせるかのように奇妙な振る舞いを始め…という、筋書きだけ聞いたらハイスミ>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

3.0

37年版、54年版、76年版、どれも観ていないので過去作と比べてアップデートされた点などがわからなかったのは勿体なかったなとは思うけど、とにかく、ガガ様の歌唱力を除くと音楽描写に説得力がなさすぎたと思>>続きを読む

ゴモラ(2008年製作の映画)

4.0

犯罪組織が警察兼為政者として我が物顔に支配し、住民たちもそれぞれ否応なしに彼らと関わって生計を立てている、全体が一個の独立した町と化したような団地の日常を淡々と描く映画。
マフィアというと高級スーツに
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ジェヴォーダンの獣(2001年製作の映画)

3.5

18世紀フランスの農村を舞う、孤高のインディアン戦士マーク・ダカスコス!!隻腕のお耽美シスコン貴族ヴァンサン・カッセル!!謎の高級娼婦モニカ・ベルッチ!!ふんどし!!ヌンチャク!!秘密結社!!という、>>続きを読む

ペッピーノの百歩(2000年製作の映画)

4.0

左翼としてのマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督、ケン・ローチ並みの一貫性と信頼感がある。

本作で衝撃のデビューを飾り、当時のイタリア映画界と観客の大反響を巻き起こしたルイジ・ロ・カーショは私もこれで
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ニーナ ローマの夏休み(2012年製作の映画)

4.0

フェリーニではなく楊徳昌が撮ったような真夏の夜のローマを舞台に、ストーキング、待ち合わせ、留守電メッセージ、人づての手紙…といった王家衛的コミュニケーションが繰り広げられる、新感覚イタリア映画。
シン
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二ツ星の料理人(2015年製作の映画)

3.0

肝心の「だが魅力的」という部分がピンとこないせいで単にキレやすくて怖い人としか思えず、毎度怯えながら観ているブラッドリー・クーパー主演映画。今作も例外ではない…どころか、彼の魅力がわからないとストーリ>>続きを読む

ダリダ~あまい囁き~(2016年製作の映画)

3.5

孤独な少女が才能を見出されて一躍大スターとなるも、名声の重圧と男運の悪さから徐々に心身を蝕まれて凋落していき……という、どこかで見たような悲劇と言ってしまえばそれまでなのだが、原因を生来のパーソナリテ>>続きを読む

SAINT LAURENT/サンローラン(2014年製作の映画)

4.4

ルイ・ガレルとジャスミン・トリンカが出ている時点でもう好きに決まってる…と思っていたけど、予想以上に大河ドラマ的でしみじみとした余韻の残る、好みの映画だった。
華やかな世界に生きる天才の孤独と苦悩を描
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シチリア!シチリア!(2009年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

三丁目の夕日だと思っていたらインセプションみたいに終わったのでびっくりした。頻繁に画面が暗転していたのは夢の階層が切り替わるサインだったのですね?

ルイジ・ロ・カーショさんがパレルモ出身というのが今
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彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)

3.7

何か予告編が全部ネタバレしてない?と見るたび思っていたのだけど、本編の語り方はかなり違っていたので問題なかった。題材としては『百日告別』などに近かった気がする。

次々に焼き上がるクッキーやケーキを眺
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タイタニック(1997年製作の映画)

4.5

若き日のディカプが夢のように可愛らしく美しいのは言わずもがな、ローズの強さ逞しさがとにかく大好き。最高のヒロイン、最高の女性映画だと思う。

自由行(2018年製作の映画)

4.6

これを観られただけでも、今年のフィルメックスに行った甲斐があった。
中国当局による創作活動の弾圧という途方もなく巨大な権力との対峙と、母、夫、子との日常的な関係という二つの経験が、互いに連関しあいなが
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

3.5

後半展開される鮮やかなリレーには思わず歓声を上げたけれど、それはあくまでこの映画の外に広がる現実世界の歴史を踏まえた上での感動であって、ウェス・アンダーソンが作り上げた箱庭そのものに魅せられたのかとい>>続きを読む

あのバスを止めろ(2007年製作の映画)

3.0

音楽も台詞も筋書きも何もかもがチープでB級感がすさまじく、ヴァレリオ・マスタンドレアのコスプレぐらいしか良いところがない…とぐったり観ていたけど、『オーム・シャンティ・オーム』方式のエンドクレジット(>>続きを読む

スズメバチ(2002年製作の映画)

4.4

残り1時間でようやく話が走り出したけど、先の展開も大体読めたかな…と高を括っていたらまさかの方向に舵を切ったので仰天した。そんな…いくら何でもそこまでやるかな…!?いやたしかに伏線は張ってたけれども…>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

1.0

クイーンのメンバーにも音楽にも全然思い入れのない私にとっては正しくノットフォーミーだったが、これが自分の大好きなバンドだったらどんな気持ちになるのかはわからない。

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

3.7

こういう題材はどうも気持ちの置きどころがわからなくて、本作も戸惑ったり微睡んだりしながら観たけれど、ベニチオ・デル・トロが最高だということだけはよくわかった。

特捜部Q Pからのメッセージ(2016年製作の映画)

3.7

相変わらず不機嫌な猫のようなカールの苦虫噛み潰しかめっ面と、彼を見守るアサドの黙っていても思っていることがすべてこちらに伝わってくる「物言いたげな顔」、どちらもますます磨きがかかって名人芸の域に達して>>続きを読む

ホリデイ(2006年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ドアを開けたらジュード・ロウ!!(笑顔)っていう衝撃の登場シーンが面白すぎた。

キャメロン・ディアス&ジュード・ロウ組の非日常・非実在感と、ケイト・ウィンスレット&ジャック・ブラック組の堅実なドラマ
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A.I.(2001年製作の映画)

4.0

観客を怖がらせることを目的とした映画がホラーなら、不快な気持ちにさせるために作る映画は何というんだろう。そのジャンルの名作である。
とにかく厭な設定、厭な展開、厭なエピソードしかなく、なんでこんな話を
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.0

最初からわけもわからず感極まってずっと泣きそうだったけど、今思うとあれは8割以上ハンス・ジマーの威力だった気がする。

野良犬たちの掟(2005年製作の映画)

3.5

『L.A. コンフィデンシャル』meets『友へ チング』だった。ホモソ色が濃いところもこの二作に似ていてあまり好きではないが、テンポよく次々と事件が起こるので長尺でも退屈せずに観られた。イタリア語版>>続きを読む

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生(2018年製作の映画)

4.3

ストーリーが込み入りすぎて全く理解が追いつかないとか、アクションシーンの画面が暗すぎて何が起こってるのかわからないとか、人種的マイノリティーに対して今どきその扱いはどうなんだとか、ティナとニュートの恋>>続きを読む

8人の女と1つの舞台(2018年製作の映画)

3.7

全体的に一昔前の映画という感じがするしジジ・リョンは相変わらず苦手なんだけれども、とにかく "若様" こと白百何とサミー鄭秀文お姉さまに大変萌えたので観に行ってよかった。Q&Aに登壇された監督も、気さ>>続きを読む

ツーリスト(2010年製作の映画)

2.5

開始早々から間の抜けた脚本と機械的な演技に脱力し、気づけば自然と主演二人から目を逸らしている、前代未聞の映画である。幸い、イタリア最強の男前アレッシオ・ボーニを筆頭に、脇役にはヨーロッパ各国のキュート>>続きを読む

ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

3.0

猟犬ルビー・ローズ、鳩匠モーフィアス、ポニーテール・スモウレスラー、等々、前作以上にキャラの立った殺し屋たちが次々出てくるのは楽しかったけど、ストーリーには驚きがなく散漫になっていたような…。それで少>>続きを読む

いつだってやめられる 闘う名誉教授たち(2017年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

終わってみれば彼らの青春映画だったんだろうかというぐらい、こんなに爽やかで切ない余韻が残るとは。ひたすらしょうもなかった一作目のことを思うと感慨深いにもほどがあるし、とにかく完結してしまったのが寂しく>>続きを読む

ローマ法王の休日(2011年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

おじいちゃん枢機卿の可愛らしい装束や、スイスの傭兵たちの奇抜な制服など、バチカンの素晴らしすぎるデザインの数々に心を躍らせたのも束の間…。たまたま患者がローマ法王だったというだけの、ごく真っ当にdep>>続きを読む

暗黒街(2015年製作の映画)

3.5

豪華キャストのわりにあまりに地味で何度も退屈しかけたけれど、各人がどん詰まりの袋小路に至るまでの経緯と因果関係を細部まで省略せず説明していくところは好感が持てる。この人が撮る『ボーダーライン』は期待で>>続きを読む

グレート・ビューティー/追憶のローマ(2013年製作の映画)

3.0

不快な気持ちになったこと以外は何も覚えていない状態での再鑑賞。やはり、野卑で俗物でスノッブで空虚で悲観的でミソジニックでヘテロセクシストでしかもそのことに自覚的な、タイトルからしてひたすら食えない映画>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

3.0

ヴェノムとトムハ、かわいい。みなさんのファンアート、何にも間違ってなかった。

しかしヒロインのキャラ造型がびっくりするぐらい古臭くて、この扱いなら出さなくてよかったのではと思ってしまった。

13歳の夏に僕は生まれた(2005年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

原題は「生まれてしまったら、もう隠れることはできない」の意。同名の小説を原作としているそう。

国を逃れてきた移民・難民のために何ができるのか。何が彼らにとって最良なのか。映画全体としては明確な主張や
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