ごろちんさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ごろちん

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タイム・オブ・ザ・ウルフ(2003年製作の映画)

3.6

今までストイックなまでにリアリズムを追求していたハネケ監督。

今回、水質汚染と食料不足に直面した「終末の世界」という設定に、ハネケさーーん、どーしちゃったの⁈って感じだったけど、ハネケ監督はきっと人
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ベニーズ・ビデオ(1992年製作の映画)

4.0

ハネケ監督「感情の氷河化三部作」の二作目。こちらも中々の鬱映画です。

当然だけど「現実」は次の瞬間に何が起こるか分からない。

ところが、一度ビデオに記録された映像は既に起きた事柄へと瞬時に変わり、
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22年目の告白 私が殺人犯です(2017年製作の映画)

3.8

『殺人の告白』を観た後に鑑賞。比較しながら観ると日韓両国の映画の特徴が如実に出ていて面白いです。

『殺人の告白』は感情剥き出し、ハリウッドばりのアクション、暴力シーンが多いけど、この作品は撮らないの
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殺人の告白(2012年製作の映画)

4.3

オープニングからいきなり飲み込まれた。訳も分からないまま釘付けにされたのは自分の中で『OLD BOY』以来。

連続殺人犯が事件の時効後に告白本を出版。印税は慈善事業にあてるという。恋人を殺害された刑
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運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)

3.7

妹の靴をひょんな事からなくしてしまう兄のアリ。靴すら買うお金がない台所事情を知っているアリは、ある決意をする——

靴が無くて学校に行けないなんて日本じゃ考えられないけど、他国の貧しい家庭ではそういう
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ルルドの泉で(2009年製作の映画)

4.0

「奇蹟」を願う人たちの深層心理を静かなタッチで描いた良作。

フランス南西部に実在するカトリック信者の聖地「ルルドの泉」。

ここから溢れ出す水を飲んだり、身体に塗ると病が治癒すると言い伝えられ、信者
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ピアニスト(2001年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

美しく、残酷で観念的な作品。

ハネケ監督の作品を全部観た訳ではないんですが、過去に「意思疎通の難しさ」をテーマにした作品が多かったと思います。

飽くまで個人的な推測ですが、この作品は「愛している」
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山椒大夫(1954年製作の映画)

4.8

森鴎外の大好きな作品。
短編とは思えない時の流れと、山椒大夫の不気味な怖さが印象深い。初めてこの小説を読み終えた時は、感動でしばらく茫然とさせられた。

溝口監督『山椒大夫』。平安時代末期、荘園領主山
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.0

笑えた。いや、難民問題はそりゃ笑えない問題なんだけど。

登場人物たちの無表情とぎこちない動き。やってることは真面目で真剣なのに、どこか抜けてて愛嬌がある。ユーモアのセンスが抜群に良い。

「希望のか
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精神(2008年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

何らかの事情で心の病を患った人たちのドキュメンタリー。

監督は受け手の差別心を無くしたいという理由から、本人たちの許諾を取ってモザイク無し。ナレーション、BGMも一切有りません。

出演している人た
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わたしたちの家(2017年製作の映画)

3.8

昭和を感じさせる古びた家。この家に住んでいるのは、14歳の少女セリとその母親。のはずが、違う空間ではフェリー内で知り合った謎の女子トウコと記憶を失った女性サナ。同じ家を舞台にパラレルワールドが展開され>>続きを読む

エンディングノート(2011年製作の映画)

4.4

「私は上手に死ねるのでしょうか」

誰もが迎える「死」。そこに上手下手が有るとすれば、全てを受容し、自分の死後、遺された家族や友人、関係者を困惑させないように出来るかどうか。

死と向き合い、自身のエ
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狩人(1977年製作の映画)

3.7

1976年大晦日。雪原にいた6人の狩人たちが見つけたのは、今存在しないはずの革命軍兵士の死体。

戸惑いながらもホテル館内に運び込むと、そこから内戦後の情景と狩人たちの隠された過去が呼び起こされる。
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サクリファイス(1986年製作の映画)

4.0

人は死の恐怖と対峙した時、どんな行動を取るのか。一縷の望みがあったならば、きっとそれに賭けてみるはず。

たとえ普段神の存在を否定していても、死を強く意識すれば神の存在も認めたくなる(なんかコメントが
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さよなら子供たち(1987年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ナチス占領下のフランス。フランス人少年ジュリアンがユダヤ人の少年と寄宿学校で共に過ごしたときの記憶。

寝食を共にする子供たちはお互いに仲良くなるのも早い。一緒に遊んだり、二人でこっそり本を読んだり、
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北京ヴァイオリン(2002年製作の映画)

4.0

ヴァイオリンに類い稀な才能を持つ田舎の少年と、その才能を何とか伸ばしてあげたい子煩悩な父親が、北京を舞台に繰り広げる人情劇。

親であれば子どもの幸せを願うのは当然のこと。我が子のために親は何をしてあ
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71フラグメンツ(1994年製作の映画)

3.8

『71フラグメンツ』
ハネケ監督は単純なストーリーには全く興味がないらしい。寧ろ分かりやすいストーリーは観る側の想像する力を劣化させる、と言わんばかり。

とにかく、ハネケは私たちに想像することを要求
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マグダレンの祈り(2002年製作の映画)

3.9

1996年まで実際アイルランドに存在したマグダレン修道院での話。婚前交渉や性の「堕落」(実際は違う)から強制的に送り込まれた女性たちの悲劇。

カトリックの教えだと快楽を目的とした性交渉の罪は重い。で
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少年と自転車(2011年製作の映画)

4.1

『少年と自転車』
これは単純に「施設に預けられたワガママな少年と里親の愛情を描いた作品」ではないと思う。

父親の愛情不足で育った子どもは暴力的になり、善悪の判断力や協調性が不足するといわれている。
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ギター弾きの恋(1999年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ジャンゴ・ラインハルトに憧れるギター弾き、エメットの恋愛ストーリー。エメットの実録のように見せかけて、実は架空の人物という設定が面白いです。

ギターの腕前が超一流のエメットは、ギターだけでなく女性に
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永遠のジャンゴ(2017年製作の映画)

3.2

ジャズ・ギターリスト、ジャンゴ・ラインハルトがひたすらカッコいい!
卓越されたギターの早弾きに圧倒されました。

『戦場のピアニスト』のシュピルマンみたいな繊細な芸術肌とは違って、ジプシーらしく、どこ
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コード・アンノウン(2000年製作の映画)

4.0

『コード・アンノウン』
直訳すると「知られていない信号(暗号)」。情報伝達で自分と相手、お互いに知られていない信号、伝わらない信号はある。

このタイトルに関わる登場人物は、聾唖の子どもたち、正しいこ
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あの子を探して(1999年製作の映画)

5.0

自分の中で1番のツボ映画。久しぶりに観たけど、何回観ても泣ける…

13才の少女ウェイ・ミンジが、出稼ぎで町へ向かった生徒、ホエクーを探しに行く話。だんだんミンジに先生としての自覚が芽生えていく姿が良
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鬼が来た!(2000年製作の映画)

4.9

2000年カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得。賞に恥じない素晴らしい作品。あらすじは知らずに観た方が良いです。

中国人と日本人の民族精神を反映した描写が秀逸。日本人兵士に怯え、臆病風に吹かれながらも
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ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

4.0

大人に成長することに厭気が差していた主人公オスカル。自らの意思で階段から転落し、3歳で成長を止めることに成功。ブリキの太鼓を叩いて奇声を上げるとガラスが割れるという特殊な能力を使って大人たちを驚かせ得>>続きを読む

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

3.7

「貴様らは人間じゃない。うじ虫だ‼︎」って鬼教官から頭ごなしに怒鳴り続けられたら、きっと思考回路が麻痺して羊みたいに従順になってしまうだろうな…。

でも、兵士にとってはもしかしたら洗脳された方が気持
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ソドムの市(1975年製作の映画)

3.3

長年語り継がれているトラウマ映画の筆頭。余りにも過激な描写のため一部欧米では上映禁止、日本では1979年三菱銀行人質事件の犯人がこの映画の影響を受けていたことでも有名。
あらすじは何となく知っていたけ
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ある子供(2005年製作の映画)

4.0

『ある子供』。短くてシンプルな題名だけど、とてもよく出来た題名で奥が深い。

お金欲しさに自分の赤ちゃんを売ってしまった20歳の青年ブリュノ。自分の未熟さゆえの行動から負の連鎖が巻き起こる。

人間誰
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動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

3.6

奇抜なタイトルに惹かれて鑑賞。

戦時中の貧しい炭鉱町で暮らす粗野でガサツな大人たちと、その世界で生き抜こうとした少年と少女の悲哀。

この時代の大人は子どもに対して全くもって容赦がない。だから子ども
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セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)

4.2

美人な奥さんと可愛い娘、安定した仕事。一般的には「幸せな家庭」。なのにどこか鬱屈としている父親ゲオルク。
妻のアンナと娘のエヴァも漠然とした不安を抱えながら日々生活をしている。

何をそんなに悩んでる
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ジョニーは戦場へ行った(1971年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

これほどの絶望を見たことがない。

真っ暗闇の中、何も見えず、聞こえず、叫ぶことも出来ない。手足も動かない中、頼るのは肌に触れる感触だけ。言葉は適切ではないが「知能のある植物」状態。

それでも過去の
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6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

3.5

まずは12年間の撮影をたったの3時間弱に収めるという、監督の懐の深さと映画に対する情熱に脱帽。

子どもたちの成長の段階で役者が替わらないので、話にリアリティがあるだけではなく、「お〜、成長したなぁ」
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ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

4.1

張り詰めた静寂から突如始まる銃撃戦。ここの戦闘シーンは物凄い迫力で、銃弾、手榴弾、火炎放射器の雨あられ...。しかも戦闘シーンがとにかく長い!この場面だけでもこの映画を観る価値があります。

ストーリ
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狂覗(2017年製作の映画)

3.2

観賞前は最近世間を騒がしている教員の不祥事を扱った社会派サスペンスかな〜、と思っていましたが、最初からホラーテイストが濃い映画でした。

教員が起こし得る問題(淫行、隠ぺい、鬱病、いじめの看過)を生徒
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葛城事件(2016年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

父親葛城清が理想とする家族。妻も子も父親を普段から尊敬の眼差しで崇めること。

ちょっとでも侮蔑した目をしようものなら、力尽くでも抑えつける。妻も息子たちも、次第に清の心の狭さと気の小ささに勘付いて、
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ムーンライト(2016年製作の映画)

3.9

「ムーンライト」が意味するもの。
劣悪な家庭環境のもとに生まれ、学校でいじめに遭い、友人に裏切られ、どん底の中でもがきながら日々を過ごすシャロンは、決して明るい太陽の光を浴びている訳ではなく、暗闇の中
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