Inagaquilalaさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

Inagaquilala

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アトランティス(2019年製作の映画)

3.7

東京国際映画祭での観賞。2025年の近未来という設定で描かれるウクライナの映画。戦争が終わり、死体処理に従事する男女の話。一種のディストピア映画で、画面の色調は全体的に暗い。それと対比的に描かれるのは>>続きを読む

マニャニータ(2019年製作の映画)

3.5

東京国際映画祭で観賞。顔に傷を持つ女性スナイパーの物語。アクションが続く作品かと思っていたら、まったくその予想は外れ、自分の意志とは関係なく、軍隊を除隊させられた女性主人公の日常が、ゆったりとしたテン>>続きを読む

ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-(2019年製作の映画)

3.6

Netflixのオリジナル作品。監督のスティーブン・ソダーバーグは、もしかすると最初から「配信」という媒体手段を意識して、この作品をつくったような気がする。なぜなら、この「パナマ文書」の事件を扱った作>>続きを読む

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(2018年製作の映画)

4.1

「ヒャッハー!」シリーズのフィリップ・ラショーが、主演、監督、脚本を担当した作品。原作は日本のコミック「シティハンター」だが、若い頃からそのファンだったという(フランスでアニメが放送されていた)ラショ>>続きを読む

マチネの終わりに(2019年製作の映画)

4.0

平野啓一郎の原作小説は読んでいた。近頃にない、本格的な恋愛小説だっただけに、その映像化はどんなものになるのだろうと期待していたが、結論から言えば、なかなか健闘していたという感想だ。主人公を演じる福山雅>>続きを読む

人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年製作の映画)

3.2

期待が大きかっただけに、かなり残念な作品になってしまった。女性監督ということで、死に近づいていた太宰治の周囲にいた女性たちを、それぞれクローズアップしているのだが、そちらにドラマが向けられるあまり、肝>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.4

ポン・ジュノ監督の作品は、「グムエルー漢江の怪物ー」からずっと見ているが、この作品は彼の最高傑作かもしれない。前々作の「スノーピアサー」で描いた階級闘争劇に、コメディをふんだんに取り入れて、ユーモアと>>続きを読む

イーダ(2013年製作の映画)

3.9

「COLD WAR あの歌、2つの心」で、第71回カンヌ国際映画祭最優秀監督賞を受賞、第91回アカデミー賞では外国語映画賞、監督賞にノミネートされたパベウ・パブリコフスキ監督、2013年の作品。共産主>>続きを読む

ジェミニマン(2019年製作の映画)

3.3

ウィル・スミスが扮する最強のスナイパーが、自分そっくりのクローンと闘うという設定。劇中で、ウィル・スミスは、CGで若返った自分と相対することになる。そこが作品の最大の売りなのだろうが、残念ながらその設>>続きを読む

グレタ GRETA(2018年製作の映画)

3.8

この作品ももちろんだが、イザベル・ユペールが出演する作品にはハズレが少ない。ミヒャエル・ハネケ監督やフランソワ・オゾン監督、ポーランドのアンジェイ・ワイダ監督や韓国のホン・サンス監督、名だたる映画監督>>続きを読む

クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)

3.4

ハリケーンで浸水して、閉じ込められた地下室のなかで、凶暴なワニが襲ってくる。アメリカのフロリダならではのパニック映画だが、なかなか怖い。閉じ込められた父と娘、しかも父親は負傷している。この危機をどう乗>>続きを読む

海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

3.9

大林宣彦監督は、この作品では、完全に彼の映像作家としてスタートした時期の創作姿勢に戻っている。「遥かなるあこがれギロチン・恋の旅」や「いつか見たドラキュラ」の頃に。溢れんばかりのメッセージと万華鏡のよ>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.0

監督のトッド・フィリップスは以前から贔屓の映画監督で、「ハングオーバー!」シリーズにどこか漂う登場人物たちのアナーキーな感覚は、自分にはとても好ましいものだった。「ハングオーバー!」シリーズはもちろん>>続きを読む

見えない目撃者(2019年製作の映画)

3.4

メガホンをとったのが「重力ピエロ」や「リトル・フォレスト」の森淳一監督ということで、期待して劇場に出かけたが、やや肩透かしを食らった感じだ。吉岡里帆が演じる視力を失った元警察官が、犯人探しのキーパース>>続きを読む

ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たち(2018年製作の映画)

3.6

カンザス州のデータセンターとニュージャージー州のNY証券取引所のサーバーまでの1600キロを光ケーブルで結び、株取引で500億円儲けようという壮大な計画を実行しようとした男たちを描いた物語。光ケーブル>>続きを読む

記憶にございません!(2019年製作の映画)

3.8

三谷幸喜の長編映画としては8作目にあたるこの作品、かなり不評だった前作の「ギャラクシー街道」の名誉挽回とばかりに、記憶喪失した総理大臣役の中井貴一をはじめ、登場するキャラクターが皆生き生きと役を演じて>>続きを読む

ガーンジー島の読書会の秘密(2018年製作の映画)

3.8

ガーンジー島は、第2次世界大戦中に、イギリスで唯一ナチスドイツによって占領された島。このことが、意外な人間ドラマを展開していく。読書会という小さな島には似つかわしくない読書会という集まりから始まってい>>続きを読む

アド・アストラ(2019年製作の映画)

4.2

自分的には、2019年に観たなかでは、ベスト10には入るであろう作品。監督自らフランシス・コッポラ監督の「地獄の黙示録」にインスパイアーされたと語っているだけあって、物語の主軸は太陽系の彼方で消えた父>>続きを読む

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

3.4

本屋大賞を受賞した恩田陸の同名小説の映画化。原作は読んでいないが、映像化のほうはなかなか高い評判を各所で聞く。この世代の女優ではピカイチの演技力を持っていると思っている松岡茉優の主演。だが、彼女からい>>続きを読む

HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

3.6

この作品が監督デビュー作となるイライジャ・バイナム。初めての監督作品にしては、なかなか素晴らしい出来だと思う。主演は「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、彼のキャラクターによるところも多いが>>続きを読む

グリーンフィッシュ(1997年製作の映画)

4.0

イ・チャンドン監督のデビュー作。冒頭のスカーフのシーンや、最後の食堂の場面など、まさに映画的な修辞法に溢れた作品。小説家出身らしい企みも、イ・チャンドン監督の面目躍如といったところだ。基本的には主人公>>続きを読む

引っ越し大名!(2019年製作の映画)

3.5

「超高速!参勤交代」シリーズを手がけた土橋章宏の小説「引っ越し大名三千里」の映画化。主演が星野源だが、なかなかのハマり役かもしれない。監督は「のぼうの城」の犬童一心、時代劇は手慣れたもので、コミカルな>>続きを読む

イソップの思うツボ(2019年製作の映画)

3.5

「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督と、同じく助監督を努めた中泉裕矢、スチール担当の浅沼直也の3人が共同で、監督と脚本を務めた作品。どのような経緯で「共同」となったかは承知していないが、巷間の評価が>>続きを読む

ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.3

シリーズ第3作目だが、はっきり言えば、第1作目の輝きは、この作品ではなくなっている。キアヌ・リーブス扮する伝説の元殺し屋が、組織から追われるという新たなシチュエーションなのだが、アクションシーンにこだ>>続きを読む

悪名(1961年製作の映画)

3.8

「座頭市」や「兵隊やくざ」と並ぶ、勝新太郎主演の人気シリーズ。原作は今東光の小説。勝が扮する八尾の朝吉と田宮二郎が演じるモートルの貞のバディものだが、2人が知り合う経緯が描かれている。自分的には、前出>>続きを読む

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.0

これは面白い作品。北朝鮮に潜入するスパイの物語だが、金正日が出てきたり、韓国の大統領選挙をめぐる裏取引が描かれていたり、フレデリック・フォーサイスの小説を読んでいるような気持ちにもなる、なかなかダイナ>>続きを読む

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.3

アルゼンチンで実際にあった連続殺人事件の犯人の少年をモデルにして撮られた作品。スペインのペドロ・アルモドバル監督が製作を務めているだけに、どこか彼の作風と似通ったものを感じる。1971年のブエノスアイ>>続きを読む

熱帯魚(1995年製作の映画)

3.9

台湾のチェン・ユーシュン監督の作品。誘拐された少年と犯人たちの家族とのやりとりが、奇妙な感覚を生み出している。少年が思いを寄せる少女の存在が、とても気になった。どこに着地するのかわからないストーリーが>>続きを読む

ラブゴーゴー(1997年製作の映画)

3.8

台湾のチェン・ユーシュン監督のラブコメディ。年代的には少々昔なのだが、今にも通じるかなりポップな仕上がりになっている。自分的には嫌いではない。ケーキ職人の冴えない男子の恋が少々切ない。

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.4

「愛がなんだ」で痛い系女子の心情を見事にドラマ化した今泉力哉監督の作品ということで、かなり期待して観た。原作は伊坂幸太郎。彼の小説は、いろいろと叙述に策を凝らすので、なかなか映像化に関して難易度は高い>>続きを読む

ジョアン・ジルベルトを探して(2018年製作の映画)

3.8

日本で、一度だけ、ジョアン・ジルベルトの演奏を聴いたことがある。確か9月だったと思うが、まだ外気に暑さは残っているにもかかわらず、会場の冷房は、ジョアンの要望により切られていた。1時間半近く遅れて始ま>>続きを読む

火口のふたり(2019年製作の映画)

3.6

白石一文氏の小説の映像化は珍しい。記憶の限り、これまでほとんどなかったように思う。それはたぶん白石作品の濃密で巧みな心理描写が、映像化する際にかなり難関のハードルになるからだと考えられる。その困難な作>>続きを読む

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

3.7

「エイス・グレード」とは、たぶん「8年生」の意味。中学生活最後の1週間を迎えた、「クラスで最も無口な子」に選ばれたケイラが主人公だ。古くはジョージ・ルーカス監督の「アメリカン・グラフィティ」、最近では>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.2

これはクエンティン・タランティーノ監督の第9作目、自分にとっては、とことん楽しい映画になっていた。2時間51分、1969年、アメリカンニューシネマ勃興期、1969年の「ハリウッド・バビロン」の話をたっ>>続きを読む

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.0

中東発の作品は、どれも人生や社会について考えさせられる作品が多い。昨年で言えば、この作品と同じレバノン発の「判決、ふたつの希望や」、イスラエルの作品「運命は踊る」、どちらも深く心の奥にまで刺さる作品だ>>続きを読む

真実(2019年製作の映画)

3.9

もし、何の前知識もなく、監督が誰かさえ知らずに観たら、この作品はメイド・イン・フランスと思うに違いない。フランスを代表する女優、カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュの共演で描かれる或る家族の物>>続きを読む