たくさんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

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ぼくらの家路(2014年製作の映画)

3.6

感想以前に、ひさびさに映像酔いした。寄りのカメラがジャックのせわしない動きに合わせてグラングランするのがジャックの一人称目線を表してて、彼の苛立ちが観てる方に伝わってくるのが精神的にもなかなかキツかっ>>続きを読む

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

3.9

地味に良かった。
17歳で妊娠した高校生が親に知られずに中絶するため、地元ペンシルベニアからNYまでいとこと一緒に旅するロードムービー。オータムの一人称視点で生々しく描かれてて、終始言葉少なな彼女の抑
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「粘土のお面」より かあちゃん(1961年製作の映画)

3.8

大戦直後の貧しい日本で必死に生きる庶民の姿にジーンと来た。「地獄」が良かった中川信夫監督作で、固定カメラ中心の構図と明暗のコントラストがバッチリ決まって映像的にも見応えあったね。

話は1949年の大
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トゥルーノース(2020年製作の映画)

4.0

良かった!
北朝鮮の強制収容所のリアルな実態を体験者の目線から描いてて、過酷な状況をあえて粗めの3Dアニメで見せるのが効果的だった。これだけタブーな題材にベタなドラマ演出を盛り込んで、ちゃんとしたエン
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カラヴァッジオ(1986年製作の映画)

3.6

瀕死のカラヴァッジオが自身の過去を回想していく自伝的な話。彼の男色趣味からラヌッツィオ、レナとの奇妙な三角関係が展開する愛憎劇が分かり易く、難解と言われてるデレク・ジャーマン監督の初鑑賞作として正解だ>>続きを読む

裸のキッス(1964年製作の映画)

3.8

これはジーンと来た。
さんざん男を食ってきた売春婦が人生をやり直そうと奮闘する話で、冒頭の坊主頭にカツラを付けた女が男をタコ殴りにするアバンタイトルが強烈過ぎ。前衛映画なのかと一瞬思っちゃったけど、い
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世代(1954年製作の映画)

3.8

第二次世界大戦下のポーランドで生きる若者たちの生態を描いてて、当時のドイツ軍支配下の緊迫した状況が濃厚に表れてるんだけど、男同士のじゃれ合いやボーイ・ミーツ・ガールに青春映画っぽさを感じた。アンジェイ>>続きを読む

ホテルローヤル(2020年製作の映画)

3.5

ラブホ経営の親の元で生まれ育った女性の視点で描かれてて、客の生態を客観的に見つめてきた彼女が自分の人生を主体的に歩み出すまでの成長物語。派手さの全くない地味な作品で、世間の片隅を覗き見る感じが悪くない>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.8

ひさびさのマーベル作品。
シビル・ウォー後のブラック・ウィドウの物語で、血の繋がらない偽りの家族がミッションを通して本当の家族になって行くところにジーンと来た。女性解放と過去の行為の贖罪も描かれて、テ
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.7

細田守監督は「時をかける少女」がダントツで、「サマーウォーズ」の後はどれもイマイチだったんだけど、本作はエンタメ作品としてなかなか良かった。

ベルと龍のビジュアル、二人の関係性がほとんど「美女と野獣
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少年の君(2019年製作の映画)

4.2

前評判通り良かった!
冒頭とラストで示されるとおり中国の学校いじめ問題の告発が主軸になってて、そこにボーイ・ミーツ・ガールとサスペンスを見事に融合させ、鑑賞後に不思議な充実感をもたらしてくれる作品だっ
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100日間生きたワニ(2021年製作の映画)

3.5

あまりに前評判が悪くて怖いもの見たさ的に観たんだけど、なかなか良かった。

原作は100日後に死ぬことが分かってるからこそ平凡な日常が愛おしくなるっていう毎日投稿のアイデア勝ちで、リアルタイムの一回限
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.8

世評が今一つなので迷ったけど観て良かった。ミュージシャンの夢を諦めかけた青年が松浦亜弥との出会いをきっかけにしがないアイドルオタク達と交流していく話で、男同士がワチャワチャしてるのがめちゃくちゃ楽しい>>続きを読む

つみきのいえ(2008年製作の映画)

3.7

晩年を迎えた老人の人生振り返りの短編作品。
洪水で水位が上がっていく家で積木を積み増しするように増築していくのが惰性的に流される彼の人生を象徴してて、愛用するパイプをうっかり落としちゃうところから彼が
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.2

今年ベスト級に良かった!
キャリー・マリガンの老け始めた容貌が役にハマってて、女の執念の怖さに震え上がる男たちがリアル。

過去に親友がある事件に襲われて自死したことから、自分を手籠めにしようとする男
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囚われの女(1968年製作の映画)

3.7

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の遺作。男女の愛を歪んだ形で描くことで逆説的に人の本性を暴き出すような話。冷酷変態男によって心の底に眠ってた本当の愛情を目覚めさせられた女がその愛に囚われるっていうの>>続きを読む

1秒先の彼女(2020年製作の映画)

3.8

面白かった!
時間のトリックが斬新で、ワンテンポ早い女性とワンテンポ遅い男性という謎設定の意味が分かるところは思わず「なるほど!」って声が出そうになった。

前半のシャオチーが綿矢りさ作品に出てくるよ
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一分間タイムマシン(2014年製作の映画)

3.8

面白かった!
1分間だけ過去に戻れる装置を持った冴えない男が女性をくどくために何度も時をループする話で、シチュエーションの説明が全くないのが短編ならでは。使い古されたタイムループモノと思いきや、そこで
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怪物はささやく(2016年製作の映画)

3.8

少年がいかに現実と向き合うかっていう話にジーンときた。「パンズ・ラビリンス」のプロデューサーとのことで、幼い存在の現実逃避にファンタジー要素を取り入れる描き方が共通してた。テリー・ギリアムが「ローズ・>>続きを読む

ライアー ライアー(1997年製作の映画)

3.8

ジム・キャリー全盛期の変顔が特殊効果を全く使ってないのにファンタジー映画みたく思わせるのが凄くて、彼の当時の勢いを堪能した。嘘で塗り固められた敏腕弁護士が一日だけ嘘をつかないで欲しいという息子の切実な>>続きを読む

100日間のシンプルライフ(2018年製作の映画)

3.5

モノに溢れた現代社会でひょんな賭けから100日間の禁欲生活を強いられれる二人の親友同士の話で、フィンランドのドキュメンタリー映画が基になってるのは知らなかった。ドタバタ調で進む前半がちょっと入れなかっ>>続きを読む

ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

3.9

ロードムービーとAI暴走によるロボットの反乱という壮大な仕掛けによって、家族関係の再構築というプライベートな話を見せていく作りが上手かったね。冒頭からワチャワチャした映像が騒がしいんだけど、このポップ>>続きを読む

Arc アーク(2021年製作の映画)

3.7

死んだ時の身体の状態のまま永久保存するプラスティネーションの技術を発展させ、遂に不死を手に入れた人類にとっての生と死の意味を問いかける話。良かったんだけど後半長過ぎたのが惜しく、せめて120分には収め>>続きを読む

天才マックスの世界(1998年製作の映画)

3.8

はるか昔に観たウェス・アンダーソンの出世作で、内容ほとんど覚えてなかった。風変わりな少年マックスの恋と成長の物語がどこかおとぎ話っぽく描かれて、締めくくりにほっこりする。平行に動くカメラやロココ調のB>>続きを読む

シンプルな情熱(2020年製作の映画)

3.8

なんかジーンと来た。
フランス人の大学教授のエレーヌが既婚者で年下のロシア人男性との恋に溺れて行く話で、彼女が愚かなまでに恋心を曝け出す姿にリアルな人間臭さが出てた。自分はこんな狂おしい恋はしたことな
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.9

トーキング・ヘッズは名前しか知らないしデヴィッド・バーン誰?って感じなので楽しめるか不安だったけど、観ていくうちに引き込まれて最後はジーンと来たね。

デヴィッド・バーンのブロードウェイのショーをその
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いとみち(2020年製作の映画)

3.6

「名前」が素晴らしかった駒井蓮目当てで鑑賞。引っ込み思案で反抗期の少女がメイドカフェのバイトを通して一歩成長する話で、ヌルい演出がちょっと退屈だったけど、駒井蓮の三味線演奏に一年間の特訓の成果が見て取>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.7

身体の不自由な娘を己の欲求のために支配してる毒親の話で、「search 」が良かったアニーシュ・チャガンティ監督のスピード感溢れる演出が本作でも活きてた。BGMも似てると思ったら同じ作曲家で、映画のテ>>続きを読む

プラットフォーム(2019年製作の映画)

3.6

現代の格差社会を象徴するような不条理モノでなかなか面白かった。バイデン大統領の施政方針演説での「トリクルダウンは成功したことがない」って言葉を思い出したね。

超高層建築の独房のような部屋に二人きりで
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夏への扉 ―キミのいる未来へ―(2021年製作の映画)

3.5

ハインラインの名作SF小説の初映画化で、しかも邦画と知った時は愕然としたけど、けっこう原作に忠実に作られててなかなか楽しめた。

主人公が割とドライで破天荒な原作に対して、本作の宗一郎は人間的な弱さを
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メイド・イン・ホンコン/香港製造 デジタル・リマスター版(1997年製作の映画)

3.8

中国返還直前の香港で刹那を生きる若者を瑞々しく描いてて、なんだかジーンと来た。フルーツ・チャン監督は遥か昔に「ドリアン ドリアン」だけ観てたけどほとんど覚えてなくて、評判の良い本作も初鑑賞。

貧困家
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鉄道運転士の花束(2016年製作の映画)

3.7

人生に絶望してる老人が若者にバトンを渡す話で、電車の人身事故が日常茶飯事な日本人にとってはこの運転士のトラウマはリアルな共感を得られると思った。

人の命をいつ奪うかもしれない職業上、今まで轢き殺して
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.8

世評が微妙でなかなか手が出なかったんだけど、これは良かった。最低最悪な毒親から逃れられない息子の話で、こんな酷い母親でも外界を一切知らずに育った子どもは親を信じるしかないっていうのを息子目線で描いてて>>続きを読む

疑惑とダンス(2018年製作の映画)

4.0

めちゃくちゃ面白かった!
ワンシチュエーションモノで、たぶん大筋だけ決まっててほぼアドリブに任せた感じの活きた会話の応酬テンポが素晴らしく、もう腹抱えて笑った。映画でこんな笑ったのは「カメラを止めるな
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キャラクター(2021年製作の映画)

3.6

「帝一の國」が良かった永井聡監督作品で、なかなか面白かったけどちょっと長かったかな。犯人は最初から分かってて、言ってしまえば繰り返される事件を追っていくだけの話なので、90分くらいがちょうど良いと思っ>>続きを読む

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.5

母と子の成長物語に観終わってジーンと来たけど、良子の行動原理がよく分からなくて今ひとつ入り込めず。彼女自身が「本当の自分が分からない」って劇中で言うので、あえてそう描いてるんだと思った。石井監督自身の>>続きを読む