たくさんの映画レビュー・感想・評価 - 29ページ目

たく

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ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)

4.0

面白かった!
老人の死に際の回想録が「脳内ニューヨーク」「野いちご」系の話かと思いつつ観ていくと、意外な結末に驚いたね。

人生の不可逆な時間の中で何を選択するのかというのが実存的なテーマになってて、
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

3.8

2021年アカデミー賞の短編映画賞ノミネート作品。
ジョージ・フロイド死亡事件に代表される白人警官による黒人殺害を、使い古されたタイム・ループモノに取り入れたアイデアが素晴らしい。

知り合ったばかり
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愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)

3.8

2021年アカデミー賞の短編アニメーション賞ノミネート作品。
銃乱射事件で娘を失った両親の心の喪失を描く12分間。Netflixの紹介文を読んだだけで情景が浮かんで泣けてしまった。

事件のショックか
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あの夜、マイアミで(2020年製作の映画)

3.8

カシアス・クレイがイスラム教に改宗してモハメド・アリと名乗る直前のマイアミでの一夜を実話を基に描いてて、マルコムX、ジム・ブラウン、サム・クックという錚々たるメンバーを混じえた会話劇が濃密だった。>>続きを読む

日本橋(1956年製作の映画)

3.8

泉鏡花原作の戯曲の市川崑監督による二度目の映画化。
日本橋を舞台に芸者の意地の張り合いと色恋沙汰が繰り広げられて、美しい映像と情緒あふれるBGMが濃厚な味わいだった。

何といっても淡島千景演ずるお孝
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ラブ&モンスターズ(2020年製作の映画)

4.0

すごく良かった!
ヘタレ男子が愛を原動力にサバイバルを通して成長する青春ストーリーを軸に、避難生活と冒険を人類の絶望と希望の象徴として対比させてるのが上手かった。
タイトルが内容をストレートに表現して
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

3.8

これをたった一人のクリエイターが作り上げたというのが驚き。退廃的な世界を舞台にコミカルと不気味さが同居するキャラクター達が動き回る手作り感満載のストップモーションアニメで、ギャグ要素多めの冒険モノとし>>続きを読む

私をくいとめて(2020年製作の映画)

4.0

映画館で観ようか迷って結局観そびれたんだけど、ちょっと後悔するくらい良かった。のんの全編ドアップの柔らかい映像から魅力が120%溢れててくぎ付けになったし、もうほとんどアイドル映画と言っていいくらい。>>続きを読む

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.6

都市伝説の殺人鬼が普通の女子高生と入れ替わるホラー版「君の名は。」で、同じクリストファー・B・ランドン監督の「ハッピー・デス・デイ」程ではないけどブラムハウスらしいB級臭がなかなか楽しめた。
ヴィンス
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街の上で(2019年製作の映画)

4.3

めちゃくちゃ良かった!
恋愛における男女のエゴという今泉力哉監督の定番要素を軸に、日常のちょっとした気まずいシチュエーションを緊張と緩和の笑いで繋いで行く構成が心地良かった。場内笑いに包まれた暖かい雰
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

3.6

負け続けるボクサーを通して男という生き物の滑稽さを愛情ある目線で描いてたね。負けても決して諦めないのが本当の強さと言えるし、悪く言えば往生際が悪い。でもそれこそが生きてる実感なんだと。「ファイトクラブ>>続きを読む

共犯者たち(2017年製作の映画)

3.8

2008年の李明博政権以降、国家権力が介入して報道統制を敷いていく韓国のマスコミ界の実態を追ったドキュメンタリー。ジャーナリズムの死が民主主義の滅亡に繋がるということを、マスコミ内部からの告発というか>>続きを読む

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

3.8

長女・次女と続けてきた大企業重役との政略的結婚を三女にも継がせようとするえげつない話を、増村保造監督の手練れた演出と若尾文子・川口浩の名コンビの組み合わせで軽妙なコメディに仕立ててるのが見事だった。>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

4.3

めちゃくちゃ良くて、今年の邦画ベスト級だった!
裏のまたその裏をかくという筋書きそのものが面白いんだけど、何より映像・編集テンポ・役者陣の演技・音楽、全ての要素が絶妙に絡み合って映画的魅力を高めてたの
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否定と肯定(2016年製作の映画)

3.8

ホロコースト否定論者が自説を侮辱されたとして歴史研究家を訴えるという、事実に基づく前代未聞の裁判劇。
デボラ教授の講義にアーヴィングが直接乗り込むスリリングな冒頭から、ホロコーストをめぐる裁判にまっす
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ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)

3.5

ノルウェーのブラックメタルを確立したと自負するユーロニモスと、彼のファンとして接触してくるヴァーグとのマウンティング合戦が軸になってて、残酷描写がとにかくしつこく正視できないレベル。「ヒメアノ〜ル」の>>続きを読む

バッド・トリップ どっきり横断の旅(2020年製作の映画)

3.6

ベタなフィクションドラマを一般人への悪趣味なドッキリで繋いでいくという、一見「ボラット」そっくりな演出のNetflixオリジナル作品。
憧れの女性に告白するためド田舎のフロリダからニューヨークへ向かう
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5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生(2017年製作の映画)

3.8

観終わって心が温かくなった。
目の障がいを隠してホテル研修生となる男の実話を基にした話で、事実がいつバレるかというスリリングな展開の中で周囲の人々の優しさにジーンと来たね。

障がいを隠してでもホテル
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異端の鳥(2019年製作の映画)

4.0

前情報無しに観たので少年が何でこんなひどい扱いを受けるのか途中まで分からなかったけど、ホロコーストを逃れたユダヤ人少年が行く先々で迫害されていく話で、ポーランド作家イェジー・コシンスキーの発禁書が原作>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.8

家を持たず、キャンピングカーで旅をしながら暮らすノマドの生活を淡々と描いてて、地味ながらジーンと来た。実話が基になってるんだね。

冒頭で示される2011年の採掘工場閉鎖を受けて、家を失ったファーンが
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ソフィア・ローレンだったなら(2021年製作の映画)

3.8

一般人の熟年女性が昔から憧れのソフィア・ローレンに自分の人生を重ね合わせつつ自分語りをしていくNetflixオリジナルのドキュメンタリー。単なる一人のファンが大女優を熱く語っていくというのがドキュメン>>続きを読む

マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

3.7

「ブルースの母」と称された大物黒人歌手の1日のレコーディング風景を描いたNetflixオリジナル作品。狭い空間で繰り広げられる舞台劇っぽい会話の応酬とダイナミックに動き回るカメラ、そしてクソ暑い中でも>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

3.7

農場経営の夢を叶えるためアメリカに移住した韓国人家族の話で、すごく地味な作風なんだけど、「ミナリ」が彼らの象徴のように登場するところにジーンと来た。レーガン政権下の1980年代アメリカが舞台なんだね。>>続きを読む

フィールズ・グッド・マン(2020年製作の映画)

3.6

無名の漫画家が作ったキャラクターが作者の知らぬ間にインターネットミームとして広まり、やがて政治的シンボルに悪用されて行くという現代SNSの恐ろしさを描くドキュメンタリー。

「ぺぺ」というキャラを全く
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女経(じょきょう)(1960年製作の映画)

4.3

いやー良かった!
身一つで生き抜く女のしたたかさを3話オムニバスで描いてて、錚々たる監督と役者陣で高度成長期の日本に生きる男女の泥臭い生態を濃厚に映し出してて見事だった。

第1話(増村保造)は、「浮
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魔女がいっぱい(2020年製作の映画)

3.2

うーん‥ゼメキス監督としてはかなり物足りなかった。
いかんせん物語が弱くて、児童文学が原作だからかもしれないけど魔女の悪役としてのキャラクターが古臭いし、冒頭で両親を事故で失った子どもが魔女によって更
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はじまりへの旅(2016年製作の映画)

3.8

世俗を離れ、森でサバイバル生活を送るビル一家のロードムービー。自分の教育方針に固執するビルが子ども達との関係を見直す展開にジーンと来るんだけど、賛否両論ありそうな結末だった。

長男がビルからの大人認
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生きちゃった(2020年製作の映画)

3.7

自分の気持ちを押し殺して生きてる男がいかに自分に向き合うかという話で、仲野太賀の暗~い演技がどんより重くて最初ついていけなかったんだけど、最後まで観ると大人の苦い青春映画という感じになってた。英語なら>>続きを読む

中国の植物学者の娘たち(2005年製作の映画)

3.5

気難しい植物学者の父をたった一人で世話する孤独な娘が短期の研修生として訪れた女性と惹かれあう同性愛の話で、理不尽な男尊女卑と世間の偏見の中で刹那の愛に生きる二人が切なかった。
時代背景が説明されないけ
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

3.7

毎朝起きると別人の外見になってしまう男が一人の女性を愛するラブストーリーで、題名の通り「人の外見じゃなくて中身を愛せるか」っていう寓話的な話にちょっと無理感が漂うんだけど、とにかくハン・ヒョジュが可愛>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.5

エヴァが終わった。ほんとに終わった。それも神技みたいな見事な終わらせ方で。

TVシリーズを取り憑かれたように繰り返し見て、旧劇でモヤモヤ、序でワクワク、破で胸熱、Qでつまずいていったん冷めたエヴァ熱
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

3.8

シンエヴァの前に復習として9年ぶりに鑑賞。当時は内容があまり入って来なくて観終わった後の置いてけぼり感が半端なく、「序」「破」と買い続けたブルーレイも本作は手が出ず。自分の中でエヴァ熱はいったん冷めて>>続きを読む

モキシー ~私たちのムーブメント~(2021年製作の映画)

3.9

内気な女子高生が、白人男子による校内の女性差別に対して偽名を使って抗っていく話に胸が熱くなった。高校生活にアメリカの差別社会の要素を詰め込んだ縮図みたいな感じで、フェミニズム色が強くイデオロギーに傾き>>続きを読む

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

3.8

斬新なB級ホラーでなかなか面白かった!
ある一家の殺人現場で見つかった身元不明の遺体の死因を探っていく検死官の親子が不思議な現象に巻き込まれていく話で、シンプルなストーリーながらジェーン・ドゥを演じた
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グッバイ、リチャード!(2018年製作の映画)

3.6

ステージ4の癌で余命半年を告げられた大学教授の最期の生き様を6章のチャプター仕立てで描いてて、ジョニー・デップがこんな自然に人間味溢れる役を演じてるのはほんとひさびさ、っていうか「ギルバート・グレイプ>>続きを読む

宇宙でいちばんあかるい屋根(2020年製作の映画)

3.8

少女と不思議な老婆の交流を通したそれぞれの葛藤の乗り越えといういかにも感動路線のストーリーが、一歩間違うと陳腐になるところを役者陣の抜群の演技力でまとめ上げた感じ。綺麗過ぎる現実離れした映像が違和感あ>>続きを読む