オトマイムさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

オトマイム

オトマイム

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チャーリング・クロス街84番地(1986年製作の映画)

4.1

大戦後まもない頃、NYに住む女性がロンドンの古本屋に本を手紙で注文したことから始まる、20年に渡る文通を描いた作品。

古本屋店主のアンソニー・ホプキンスが流石の存在感、この作品に奥行きを与えていると
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恋の秋(1998年製作の映画)

5.0

最高だった。『緑の光線』と並んでロメールのマイベスト。

ローヌ渓谷というロケ地、40代女性の恋と友情、これは他のロメール作品にはない設定。そして20代女性ふたりを描いた『友だちの恋人』と対応するとこ
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夏物語(1996年製作の映画)

4.3

舞台はブルターニュ地方の海岸。ほぼ全シーンが海辺で、波音がずっと聞こえている。
波音をバックに男女が話している(或いは歌っている)だけの、なんとも滑稽洒脱な会話劇。

3人の女性に目移りして、モテ期に
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冬物語(1992年製作の映画)

4.7

ロメールが好きでたまらない。
「すきだー!!」と海に向かって叫びたい笑

フェリシーが望んでいたものはきっと、運命の力で導かれることだったんだと思う。
彼女は"偶然の再会"を待つ決意をし、その結果を全
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春のソナタ(1989年製作の映画)

4.5

心を鷲掴みにされた。
キュンキュンどころじゃない、ギュルンギュルンと胸の中を引っ掻き回された。

ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ『春』に始まる。シューマンのピアノ曲が流れる。ブローニュの森の別荘、
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ブルーに生まれついて(2015年製作の映画)

4.3

ドラッグに溺れ、身を削るようにして演奏を続けたチェット・ベイカー。天才はこんなにも孤独なのだ。
ブルーはジャズの色であり、孤独の色でもある。

彼の魂が乗り移ったかのようなイーサン・ホークの渾身の演技
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満月の夜(1984年製作の映画)

4.3

ロメール作品に出演する女優たちはちょっと雰囲気が似たところがあって、主演をあちらとこちらで取り替えてもいける、と思えたりする。(もちろん皆さん魅力的ですよ!)

だけど本作のパスカル・オジェは別。この
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美しき結婚(1981年製作の映画)

4.0

若い時って、色んな思い違いや恥ずかしい事を経験するものだ。あぁぁ…と、彼女が痛々しいと同時に自分も痛い笑

サビーヌ(ベアトリス・ロマン)が玉の輿願望を募らせて空回りするという悲喜劇。
じつは本作は初
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スカーフェイス(1983年製作の映画)

3.4

アル・パチーノがすごいの一言。身内の誰からも愛想を尽かされた孤独な成金富豪を、みていて辛くなるほどのテンションで演じている。
しかし始終ヤクやってるし裏切り行為や流血騒ぎは当たり前だし、正直あまり気持
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ボディ・ダブル(1984年製作の映画)

3.4

ヒッチコックの『裏窓』と『めまい』に着想を得たミステリ。つまり覗きと、恐怖症。それが絡み合ってなかなか面白いプロットではある。
…ではあるのだけど、割と強引なエロティックな展開と時代を感じさせる音楽に
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.4

面白かった。これは聞きしに勝る傑作だ。

かなり男臭い映画。何しろハーレーでのロードムービーだもの。(しかしあんなものに一日中乗ってるなんてお尻と腰が痛くなりそう…)

彼らは何を求めてハーレーを走ら
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秘密の花園(1993年製作の映画)

3.9

全編が清潔で詩情豊かで美しい映画。

アニエスカ・ホランド監督、プレイスネル音楽というのに惹かれて鑑賞。この名作を映画化するのにこれ以上何を望むことがあろうか!と言い切ってしまえるほどの出来栄え。素晴
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リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960年製作の映画)

3.3

花屋の店員が偶然、新種の植物を見つけて店に置くことになった。しかしその花は水や肥料をやっても育たずしおれていく。どうやったら育つのか…??

ホラーコメディとされているけどそんなに怖くはない、怖さレベ
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緑色の髪の少年(1948年製作の映画)

3.4

一夜にして髪が緑色になってしまった、戦争孤児の少年の話。

戦闘シーンが皆無なのだけれど、紛れもない反戦映画。「緑色の髪」がマイノリティへの差別の象徴として描かれたこの作品に、監督の強いメッセージを感
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白い馬(1952年製作の映画)

4.0

少年と馬との友情を描いたモノクロ作品。

まず目を奪われるのが主演の少年の美しさ(*☻-☻*)ギリシャ神話のような端正な顔立ちにそこはかとなく漂う男っぽさ…
これ監督の息子さんだったんですね。そして小
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赤い風船(1956年製作の映画)

4.3

少年と風船の友情がセリフなしで描かれ、まるで絵本の中に入り込んだようにワクワク・ドキドキした。
どうなるんだろう?でも映画が終わってしまうのは寂しい…そんな気持ちで画面を見つめた30分。

みんなに観
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人生タクシー(2015年製作の映画)

3.7

政治的発言によって映画制作禁止令が出されているパナヒ監督が、リスクを冒して撮った作品。
こういった作品を買い付けて劇場公開してくれる会社があるからこそ、私たちが鑑賞できるのですね、感謝。

乗客との会
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オフサイド・ガールズ(2006年製作の映画)

3.7

イランでは、スタジアムでのサッカー観戦が女性に禁じられている。これは、2005年F I FAワールドカップ最終予選会場に男装して乗り込んだ少女たちの話。

次々と警備員に見つかり保護される少女たち。で
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ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

4.5

これは素直に面白かったなぁ〜

ローラ・ダーンはどちらかというとありふれたアメリカ娘といった容姿だけれど、本作の彼女は輝いている。惚れた男に一途な、この役は彼女の真骨頂じゃないかな。
そしてニコラス・
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ブルーベルベット(1986年製作の映画)

3.9

穏やかな明るいアメリカの住宅街。よく晴れた日、男がホースで庭の水やりをしている。倒れる男、勢いよく水しぶきをあげるホース、倒れた男の脇で夢中で水を飲む飼い犬。

この序盤のシークエンスだけでもう、すご
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

4.8

恋人は欲しいけど自分からは誘えない。そんな、恋に臆病な主人公が可愛らしい。
ガンバレ〜!と応援したくなる。

『海辺のポーリーヌ』のトークショー付き上映の時に聞いた話だけれども、ロメールは撮影前に俳優
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

4.6

ロメールってきっと夏が大好きなんだと思う。
彼が描く夏はとびきり眩しい。羽が生えたようにふわふわ・キラキラ・ウキウキしている。

15歳のポーリーヌが従姉妹のお姉さんと共にヴァカンスにやって来る。海辺
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緑の光線(1986年製作の映画)

5.0

初めて観たロメール作品。ここからドド〜っとロメール・ホリックに笑

フランス人のヴァカンスへの特別な思い入れが描かれていて軽くカルチャーショック。だけど主人公が私たちと同じように小さなことで悩み、孤独
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

5.0

テキサスの乾いた大地、
ライ・クーダーのスライド・ギター、
ナスターシャ・キンスキーの比類ない美しさ、
妻を愛するあまりに彼女を追い詰めてしまったトラヴィスの苦悩、

その全てが一体となり融合した、一
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

5.0

初めて観た時、これは自分の映画だ!とビビっと来た

子供は子供だった頃いつも不思議だった
なぜ私は私であなたではない?
なぜ私はここにいてそこにいない?
時の始まりはいつ?
宇宙の果てはどこ?この世の
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レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う(1994年製作の映画)

3.0

マネージャー(モーゼ)の独裁ぶりがますますヒートアップ。あのギョロリとした目が威圧的で胡散臭そうだしそのくせオドオドしていて全く信用ならない笑
メンバーはたまにプチ反抗してみるものの迫力なし。「あいつ
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レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

3.5

みんなで地面に不良座りするところなんて、むかーし日本にいたツッパリみたい…

なんともいえない哀愁とおかしみが漂う。
要望に応えて音楽をテキトーに変えていくポリシーのなさも、結局独裁マネージャーの言い
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アスファルト(2015年製作の映画)

3.8

思いがけない出会いによって世界が昨日とはちょっと違って見える、そんな作品。3話どれも面白かった。

私は特に第1話が好きだったな。ヴァレリア・ブルーノ・テデスキが大好きだということもあるけれど、しょう
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ティエリー・トグルドーの憂鬱(2015年製作の映画)

3.7

フランス映画だけど全然おしゃれじゃなくて、殺伐とした生活感が溢れ、世間の世知辛さが生々しく描かれている。そしてフランスの就職事情が垣間見られて興味深かった。

主演以外はプロの俳優ではなく、すべて素人
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92歳のパリジェンヌ(2015年製作の映画)

3.5

死はいつか必ず訪れる。親が高齢になるほど、その"いつか"をぼんやりとでも考えざるを得なくなる。

もしも親が自らの尊厳を守りたいと、人生のピリオドを打つ決断を下したらどうするか。

親にはやっぱり、で
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ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

3.8

様々な表情で煌めくセーヌ川の水面が強く印象に残る。街灯が映り込む夜、夜明け前の硬質な色、穏やかに濁った昼間、夕暮れ時。秋の日、雪の日。
花火を背景に走るシーンや、水しぶきが上がる水上スキーの溢れる躍動
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汚れた血(1986年製作の映画)

3.5

疾走という言葉がぴったりの作品だと思う。けれどそれは暗い未来や、手に入れたくても決して手に入らないものへ向かう疾走だ。

第1作である前作はモノクロだったけれど本作からカラーになって、その映像の美しさ
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ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

3.3

こんなにもパリの街を孤独に感じた映画は初めてだった。
どこまでも深い哀しみに満ちた、つめたいパリの夜とセーヌ川。

ドニ・ラヴァンの個性がとにかく強烈で、こんな厳つい風貌の男が青春映画の主役を張るとい
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ぼくの好きな先生(2002年製作の映画)

3.8

フランス中部・オーベルニュ地方にある1学級のみの小学校。実際は幼稚園から小学4年生までの子供たち、総勢13人とロペス先生を追ったドキュメンタリー。
詩情あふれる、という形容がぴったりの映像作品。これと
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音のない世界で(1992年製作の映画)

3.7

フランスの聾者の日常を追ったドキュメンタリー。淡々と彼らを追うカメラの視線が優しい。そして大きな盛り上がりや感動的なシーンを排除している分、彼らの内面、思いが切々と溢れてくる。

ハッとしたのは、聞こ
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ブロークン・フラワーズ(2005年製作の映画)

3.5

かつてはプレイボーイで名を馳せたというドン(ビル・マーレイ)が、すっかり覇気がなくなった冴えないおじさんの役でずっとどんよりしているので、何となく作品全体の空気が陰気くさい。
そこに明るさを添えるのは
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