オトマイムさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

オトマイム

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生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)

4.0

1942年、戦争真っ最中にヒトラーを揶揄するような映画をよく作ったなぁと、まずは驚いた。チャップリンの『独裁者』も1940年制作、アメリカには独裁者を大っぴらに批判する精神というのがあるんですね。>>続きを読む

ズビシェク(1969年製作の映画)

4.0

ズビシェクとは、27歳で俳優デビューしわずか 39歳で事故死してしまった、ポーランドの幻の大スター、ズビグニエク・ツィブルスキの愛称。彼の12本の映画出演作と記録作品のモンタージュ作品です。

『灰と
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灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

5.0

数年前にDVDで初鑑賞して感銘を受けた作品。この度、念願の劇場鑑賞することができたので再投稿します。

一言でいうと、やはりすごい作品だった。何がすごいかというと
①本作の舞台は1945年5月8日のワ
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ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

3.9

うわぁ、ボクシングって怖い…実際にあり得るかも、と思えてしまうから怖すぎる。

詳しくはないけどボクシングを観るのが好き。KOシーンはカッコよくてスカッとする。だけど、階級が上がるほど身体へのダメージ
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神様メール(2015年製作の映画)

3.8

ある日、重い病気でもないのに自分の余命を知ってしまったらどうする?それが思っていたよりも短いとしたら。
自分にとっていちばん大切なものは何だろう、いちばんやりたいことは何だろうって考えるはず。

イエ
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マンハッタン(1979年製作の映画)

4.2

ガーシュウィンの音楽と溶け合ったNYの街。モノクロームの映像美とサントラが素晴らしい。やっぱり彼は生粋のNew Yorkerなんですね☆彡

例えば息を飲むような夜景、プラネタリウムでの映像。真っ暗な
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アニー・ホール(1977年製作の映画)

4.2

ウディ・アレンの中のウディ・アレンとでも呼びたいような、王道の傑作。

ゆれる恋心をチャーミングに魅せてくれるダイアン・キートンと、40歳を越したとはいえまだまだ若いウディ・アレンがとにかく魅力的。
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カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

4.4

観ている途中、何度涙ぐんだことか。
ウディ・アレンの映画愛があふれている。映画館に通うミア・ファローがスクリーンをみつめる目の輝きに全てが表れている。

スクリーンから憧れの俳優が飛び出してきて自分に
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ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

4.6

70年代後半から80年代はアレン作品の黄金期だと思うのだけれど、中でもこれはお気に入り。ジャズと時折バッハのサントラもすごくいい!

NYへの憧れを掻き立てられる。字幕なしに観られたらどんなにいいだろ
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火葬人(1968年製作の映画)

4.3

オープニングクレジットから先鋭的で、これは面白そう!と掴まれた。どこか人生を達観していてふざけている。そして、とてもとても不気味。まず、火葬場で常に笑みを浮かべながら飄々と仕事してる男が怖い。現実だか>>続きを読む

ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)

4.5

美しい、完璧に美しい。
至福の4時間*:.。.*

豪華絢爛なバイエルン王族の世界と、それにぴったり溶け合ったシューマンのピアノ曲やワーグナーの音楽、ルードヴィヒ2世(ヘルムート・バーガー)の高貴さ、
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つながれたヒバリ(1969年製作の映画)

3.9

ちょっと変で、時々温かい。上映禁止になった程度の(笑)政治批判もピリッと効いている。

社会主義下で捕らえられたブルジョワ階級、亡命に失敗した女囚人。この2組の集団が鉄屑場で強制労働させられている。こ
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尼僧ヨアンナ(1961年製作の映画)

3.6

所詮人間の性欲は断ち切れないもので、聖職者にそれを禁じているカトリックは論理的に成り立たないものなのか。

本作は、カトリックの不合理に大胆にメスを入れている、ように思える。
敬虔なカトリック信者が大
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地獄に堕ちた勇者ども(1969年製作の映画)

4.5

華麗なるエッシェンバッハ家の骨肉の権力争いや愛憎劇。ヴィスコンティ作品の中ではかなりエンターテインメント性に富んでいると思う。サービス映像てんこ盛りです。炎が燃え盛り打楽器が鳴り響く不吉な幕開けから震>>続きを読む

早春(1970年製作の映画)

4.3

カルト的人気があると言われる作品は大抵ふつうじゃないものだけれど、本作もふつうじゃない笑。何しろスコリモフスキ監督ですから。そしてすごく面白い。
冒頭いきなり流れるロック音楽に、これはさわやかな青春も
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ぼくらの家路(2014年製作の映画)

3.8

施設を飛び出した10歳の少年が、6歳の弟を連れて母親に会うために奔走する3日間。
寝る場所もお金も頼る人もいない、あまりにも過酷な旅に胸が押し潰されそうになった。

「ママに会いたい」それだけの思いで
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ネコのミヌース(2001年製作の映画)

3.7

これは子供と一緒にみるのもいいし、カップルでみるのにもピッタリ♪
可愛くてオシャレで、キュンとしてハッピーになれる🤗

人間の女の子の姿になってしまったネコが、ダメダメ新聞記者の男性に恋をする。彼女の
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素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店(2015年製作の映画)

3.5

これはじんわりくる温かさ。
人生で一度も笑ったことがない、死に取り憑かれた男がどんな風に変わっていくのか。フフッと笑えて、じーんときて。一見軽いノリにみえてなかなか骨のある作品だった。

主演の孤独な
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愛のメモリー(1976年製作の映画)

3.2

デ・パルマ5本目。作品全体の雰囲気は好きだけど、もうひとつ入り込めなかった。
オープニングクレジットとか冒頭シークエンスの掴みは素晴らしくて、これは面白そうと思ったのだけど、その後がピリッと来なかった
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ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

4.0

先日『パターソン』を観て空気感が本作に似てるな、と感じたのでレビューします。

労働者階級の主人公。仲の良い夫婦が同じような毎日を丁寧に暮らしている。愛犬がいて、夜散歩に連れ出して街のバーで一杯飲む(
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ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

3.8

年の差60歳のふたりが一緒に過ごすシーンがどれも優しく美しく、胸にしみた。

もうすぐ80歳の誕生日を迎えるスーパーおばあちゃま、モードがとにかくキュート。歳老いても「毎日何か初体験を♪」と楽しんで生
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アリスの恋(1974年製作の映画)

4.0

これは好きだなぁ〜私のすきな要素がいっぱい詰まっている。
アメリカのロードムービー。歌手になる夢を持ちながら女手ひとつで息子を育てる女性。女同士の友情。そして恋。

ずっとキュンキュンしながら観ていた
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パターソン(2016年製作の映画)

4.3

素敵な夫婦*:.。.✳︎
とりわけローラのキャラは良かった。自分を信じ愛する人を信じて全力で楽しく生きている。ポジティブで、とってもチャーミング。

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』以来ジャームッ
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祭りと招待客/パーティーと招待客(1966年製作の映画)

4.3

怖い怖い…そしてとんでもなく面白い。チェコ・ヌーヴェルヴァーグの底知れなさ。直前にザザーッと仕入れた知識ですが、本作はまだ社会主義体制下にあり、民主化運動が高まりを見せていた1966年の作品。この頃新>>続きを読む

東ベルリンから来た女(2012年製作の映画)

3.7

何といってもまずは主人公バルバラ(ニーナ・ホス)の魅力!暗い過去を感じさせるが、医師の白衣からも漂ってくるような色香が。゚+.(・∀・)゚+.゚
作品としては地味だけれど、彼女の魅力が華やぎをもたらし
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さあ帰ろう、ペダルをこいで(2008年製作の映画)

3.6

東西冷戦時代、自由を求めて西側へ渡った東側の人たち。
慣れない土地で外国語を習得し、同化し生き延びる。彼らは、そして彼らの子孫は考え続けるのではないだろうか、
自分のルーツを。
自分は何者なのかという
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モラン神父(1961年製作の映画)

4.2

ベルモンドが神父役なんて、似合わないでしょ〜と観る前は思ったけど、それはそれは魅力的な神父さまだった。これは信者の女性たちが惚れてしまうのは納得。色気ありすぎ。ファン必見(๑˃̵ᴗ˂̵)

未亡人バル
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ある道化師の24時間(1946年製作の映画)

3.8

ほっこりする楽しい短編。
『海の沈黙』と同時上映されていて得した気分(^。^)
主演のベビは本職の道化師でありメルヴィルの友人だそうです。
チャップリンの短編映画が洗練されてオシャレになったような。寝
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海の沈黙(1947年製作の映画)

5.0

心が震えた。観に行けて良かった。

唯一の抵抗は、沈黙。

第二次大戦中、フランス。両国の和解を心から望むドイツ将校は毎夜彼らに親しみを込めて話しかける。彼らは沈黙を貫き通す。決して目も合わせずに。け
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グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)

3.8

ベルリンの壁が崩壊する直前に心臓発作で倒れ、8ヶ月後に目覚めた時には世の中がすっかり変化していた。そんな母親をめぐって一致団結する家族の悲喜劇(ت)♪

「浦島太郎状態」で「次に発作が起きたら命取り」
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イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

4.1

なんだこれは!(なぜか怒💢)
リンチ6作目にしてたどり着いた作品だけどもこんなんだったのか〜〜
不気味、不気味、そしてすごい迫力
劇場で観ていたらと思うと…(;´ρ`)

リンチが製作から美術・特殊
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エレファント・マン(1980年製作の映画)

4.0

研ぎ澄まされた美しい作品だった。

『マルホランド・ドライブ』他一連のリンチ作品とは毛色が違うと聞いていたので保留していたのだけれど、入り組んだプロットや観客を煙に巻く展開などがない分、モノクロームの
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いぬ(1963年製作の映画)

4.3

話が若干複雑でちょっと置いていかれたけど、それでも面白かった。キレのある映像や展開が素晴らしい。

フランスのフィルムノワールって観たの2作目くらい、そしてアメリカのそれよりも断然好き!と思った。改め
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フリー・ゾーン 明日が見える場所(2005年製作の映画)

3.4

イスラエル人とパレスチナ人、女性ふたりの延々と続く口論。双方の言い分が平行線で絶対に決着がつかないと思われるその様子は、パレスチナ問題の根深さを象徴している。

イスラエル?の童謡が流れる中、ナタリー
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オマールの壁(2013年製作の映画)

4.0

日本のような島国にいると実感が湧きづらいけれど、世界にはまだ至る所に壁がある。
パレスチナ問題を理解することもなかなか難しい、でもこのような映画を観て彼らの苦しみを「感じる」ことはできる。

本作を観
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永遠のマリア・カラス(2002年製作の映画)

3.2

20世紀最高のディーバと呼ばれたオペラ歌手、マリア・カラスのフィクション。生前彼女が一度も演じることがなかった『カルメン』を、一部ではあるけれど素晴らしい劇中劇として観ることができる。歌声は生前録音さ>>続きを読む