オトマイムさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

オトマイム

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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.8

鑑賞後しばらく席で呆然としていた。その日ずっと余韻を引いた。

タイトル通り多くの青色が映像に使われている。訴えかけてくる青のイメージは冷たさ、孤独、憂うつ、そして自由。

事故で夫と娘を失いひとり生
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殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

5.0

究極に暗く重く、やるせない余韻をずっと引きずりもう二度と観たくないと思うのに、その完璧な美しい世界にまた引き寄せられる傑作。

こんなコメントは不謹慎かもしれないけれど、殺人のシーンが秀逸だ。まず構図
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ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)

3.0

試写会にて

昏睡状態から目覚めないのは、目覚めたくないから。このままの方が居心地がいいから。そんなケースもあるのかも知れない。そして、子供は親の喜ぶことを察して行動するんだなって。そんなことを考えさ
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ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

5.0

世の中にこんな夢のように美しい映画があったのか…開始数分で恋に落ちました、この作品に。ずっと観ていたかった。
イレーヌ・ジャコブの類まれな美しさ。ベロニカ役は彼女以外に考えられない。そしてプレイスネル
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いとこ同志(1959年製作の映画)

3.2

本家フランスのヌーヴェル・ヴァーグは久しぶり。ヌーヴェル・ヴァーグってこんなに柔らかくてグダグダだったかなぁ?
シャルル以外の登場人物がみんなグダグダ。魔性の女・フロランスはツンツンしてる割に誘惑にす
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ブルージャスミン(2013年製作の映画)

3.7

「ブルームーン。出会いの曲なの」という彼女のセリフで曲名を知った、素敵なピアノ・ジャズ。彼女の幸せだった頃を象徴する曲。

過去のセレブ生活を引きずって現実を直視しようとしない、痛々しいジャスミン。し
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ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

4.0

素敵なジャズを聴きたくてアレン作品を観ることも多いのだけれど、これほど音楽と映像が強く結びついて印象に残る作品も少ないかも知れない。『Si tu vois ma mère 』(シドニー・ベシェ)。ゆっ>>続きを読む

(1956年製作の映画)

3.6

ヒッチコックと同じ時代のポーランドのミステリ・サスペンス。ふだんミステリをあまり観ないせいか私は理解に難儀して2度観たけれど(^^;)面白かったです。

ひとりの男が列車から飛び降りて死ぬ。この事件か
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黒いオルフェ(1959年製作の映画)

3.5

リオのカーニバルが舞台の哀しいラブストーリー。サンバのリズムにのって老若男女誰もが踊る踊る踊る〜・:*+.\((^o^))/.:+
遠い異国・ブラジルの熱気を浴びるように肌で感じられる。

時折ギター
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やわらかい手(2007年製作の映画)

3.9

訳あって風俗店で働くことになったごく普通の中年主婦。その仕事は、手だけで客を喜ばせるというもの。ところが意外にも彼女はゴッドハンドの持ち主で、ブースには連日長蛇の列が…

…と書くとなんかあれですけど
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チャドルと生きる(2000年製作の映画)

3.7

追い詰められ、ギリギリのところで持ちこたえている女性たちの群像劇。イランの女性が社会的に抑圧された状況がリアルに伝わる。安定しないカメラや、アップとバストショットの多用、テヘランのごちゃごちゃした白茶>>続きを読む

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.3

浜辺に置き去りにされたピアノを弾く女性、その傍らで踊る少女。この幻想的な光景が忘れられない。

スコットランドからニュージーランドに嫁いできたエイダが弾くピアノは、バッハやショパンといったクラシックで
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婚約者の友人(2016年製作の映画)

3.6

2017年の劇場鑑賞の締めくくりに観る。
メインのモノクロームに時折すべりこんでくるカラー映像。なめらかな美しい映像にみとれた。

ショパンのノクターン。
ヴェルレーヌの詩。
ルーブル美術館のマネの絵
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イカとクジラ(2005年製作の映画)

3.9

ノア・バームバック監督は人の心の機微を描くのがすごく上手。ずいぶん昔に一度観て、好きな作品だったので再見です。離婚した両親の家を行ったり来たりさせられる兄弟の話。

家族って難しい、夫婦って難しい。親
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少女は自転車にのって(2012年製作の映画)

4.3

これは傑作。清々しくて素直に胸を打たれた。たくさんの人におすすめしたいヽ(´ー`)ノ

サウジアラビアは宗教的な縛りがすごく厳しい国で、イランやパレスチナ・トルコ等他のイスラム圏の映画と比べてもその景
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別離(2011年製作の映画)

4.3

濃密な、骨太の作品だった。素晴らしかった。

言い争い、押し問答、裁判所での尋問。作品のほとんどがそんなもので構成されている。音楽もない。誰が悪いのか、どこに責任があるのか、真実は何なのか。和解が見え
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オープン・ユア・アイズ(1997年製作の映画)

3.8

ゔぅ〜〜これは悔やまれる…
何がってリメイクの『バニラ・スカイ』を先に観てしまったこと。断然こちらの方がいいじゃないか( ´△`)真っさらな状態で観たらもっと面白かっただろうなぁ、残念。

夢と現実の
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人生スイッチ(2014年製作の映画)

3.6

度肝を抜かれる面白さ。刺激的!深く考えずに気楽に観られるけど後味の悪さもなかなかです〜〜

ある時、何かのスイッチが入ってしまう(キレるってことですね)瞬間が描かれるオムニバス。特に2話が好き。アルゼ
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17歳(2013年製作の映画)

3.8

これほどまでにフランスらしいフランス映画を久しぶりに観た気がする。
若木のようにみずみずしく、知的でありながら退廃的なイザベルの美しさ。エロティシズム。柔らかな光を浴びるような、余韻を残すラスト。
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天才スピヴェット(2013年製作の映画)

3.4

だんだん毒が抜けていくジュネ監督、毒が抜け過ぎてちょっと悲しい。あの頃の独特の世界観は何処へ?
いやいや、毒の有無は単に私の好みの問題であって作品の良し悪しとは関係ない。だからここは色眼鏡を外してみま
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ロスト・チルドレン(1995年製作の映画)

4.4

アーティスティックな映像とダークで詩情豊かな世界観。初見は随分前だけど今観てもやっぱりジュネ監督作品のマイベスト。

これでもかっていうくらい奇想天外で強烈なキャラクターが続々登場して、どれも完成度が
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アメリ(2001年製作の映画)

3.7

果てしなく空想を巡らしたり偶然に頼る願かけをしてみたり。私もそんな子どもだった。だから立派な大人になってもずっと自分の狭い世界から抜け出せないアメリが愛おしいやら、歯痒いやら。

一風変わった他人との
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私の中のもうひとりの私(1989年製作の映画)

3.8

なんともいえない深い余韻。人の心の深淵を覗くような。
ウディ・アレンの、これまでの作品どれにも似ていなかった。冒頭流れるエリック・サティの音楽が本作の雰囲気をよく表していると思う。

50歳の女性哲学
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木洩れ日の家で(2007年製作の映画)

3.8

モノクロームだからこそ伝わる何かがあると感じた作品。しっとりと美しく、力強かった。

舞台は森の中の一軒家。老朽化しているとはいえなんとも瀟洒な家。91歳のアニェラは結婚生活も戦争時代も経験したこの家
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パラダイス・ナウ(2005年製作の映画)

3.8

衝撃的な作品だった。
イスラエル軍占領下の、パレスチナの過激派グループ。イスラエル軍に対する報復として自爆攻撃が決定され、その実行者として若者ふたりが選ばれる。

「君たちは選ばれて名誉だ」「それが神
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ラジオ・デイズ(1987年製作の映画)

4.0

これは掛け値なしに大好き。
他の方も書いておられるようにアメリカ版『ALWAYS 三丁目の夕日』か『サザエさん』のような、古き良き時代の(戦争があるから全て良きとは言えないが)ノスタルジックな大家族ド
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オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

3.0

これは…なんといえばいいのか、毒をたっぷり盛った絵本といった感じ。有り体に言うと、気色悪いです。

とはいえ怖いものみたさに、胸がゾワゾワしながらも中盤までは釘付けだった。こんなに拒否反応を持ちながら
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サウスポー(2015年製作の映画)

3.8

ボクシングの試合がリアリティがあって迫力満点!息を止めて観てしまった。大満足。

ビリーがボクシングのスタイルも、考え方も、自分の生き方も変えていく流れがとても自然できめ細やかに描写されていて、予定調
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ナイトクローラー(2014年製作の映画)

3.4

ジェイクの‘怪演’とはどんなものかと鑑賞。なるほどこれはすごいな〜〜
爛々と燃える、しかしどこまでも身勝手な冷たい目は背筋がゾッとするほど恐ろしい。

作品としてもシンプルながらグイグイ引き込まれて、
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マッチポイント(2005年製作の映画)

3.5

『重罪と軽罪』とテーマは同じだけれど、あちらは‘選択’が人生を形作ると言っているのに対し、こちらは‘運’で左右される人生が描かれる。コインの表裏かも知れませんね。゚+.(・∀・)゚+.゚

スカーレッ
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ウディ・アレンの重罪と軽罪(1989年製作の映画)

3.7

浮気がテーマでマッチポイントと似ている。本人の出演もあるしユーモアがあって私はこちらの方が好きですね。後味も悪くない。

本筋とはあまり関係ないけど、映画を観ながら何かを食べるシーンがけっこう出てきて
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ウディ・アレンのバナナ(1971年製作の映画)

3.6

洗練とは対局にある?ような、荒削りな初期の作品。
アレン演じるさえない男が南アメリカの架空の国の革命家となり、なんだかんだでトップに祭り上げられて…と、あまりにバカバカしくて楽しい〜〜

彼が一時期ス
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カメレオンマン(1983年製作の映画)

4.0

面白かった!よくもこんな変てこなキャラクターを思いついたなぁ〜🤣

ドキュメンタリータッチのコメディ。それも設定が1920年代〜30年代だからわざと画像も古いフィルムふうに。
アレンが主役だけど、イン
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キャロル(2015年製作の映画)

4.2

この時期に観たくなって再見。
なんて美しく切ない映画なんだろう…
恋する時のときめき、胸が押し潰されそうな苦しさ、世界がこれまでとまるで違って見える感覚。そんなものがきめ細やかに伝わってくる。

すこ
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地獄の逃避行(1973年製作の映画)

4.5

これはよかったなぁ…すごく好き。
『天国の日々』が大好きなのに、本作は陰惨な戦争ものかとずっと思っていて(だって邦題が😅)手が伸びなかったんだけど、全然違った。

15歳の少女(シシー・スペイセク)と
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夜行列車(1959年製作の映画)

4.3

とても温度の低い作品だと思った。つめたいジャズの響き、マルタの薄い色素の大きな目、それから殺伐とした野原に十字架を立てて立ち去るシーンが象徴的で寒々しい。

コンパートメント形式の夜行列車は満席でごっ
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