矢吹健を称える会さんの映画レビュー・感想・評価 - 27ページ目

矢吹健を称える会

矢吹健を称える会

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婚期(1961年製作の映画)

3.9

 京・野添・若尾・船越ら黄金キャストが全員最高に面白いのはもちろんだし、クレジットでなぜか全然目立っていない高峰三枝子の貫禄も素晴らしいが、MVPは北林谷栄に授けざるをえない。精緻極まりない完璧なオバ>>続きを読む

去年の冬、きみと別れ(2018年製作の映画)

2.9

 主演の岩田剛典という人が、序盤から妙にこわばった、シリアスな演技をするので、非常に息苦しく鬱陶しい。山本美月と険悪になるくだり、あるいは芥川龍之介『地獄変』のくだりなど、あまりにとってつけたような描>>続きを読む

坂道のアポロン(2017年製作の映画)

2.4

 冒頭で転校してきたばかりの主人公が校門につづく坂道を上りながら「忌々しい坂道だ」と声に出して言う。もうこの時点でヤバいだろ。校門に覆いかぶさる「一切の希望を捨てよ」という文言がおれには見えたね。>>続きを読む

エキストランド(2017年製作の映画)

3.4

 ことさら言うまでもないことだが、吉沢悠の演じる映画プロデューサーがすさまじい引力を発する。顔面・発声・所作などすべてが一見では人当たりがよく、それだけに本当に腹立たしい(けどこういう人いるよね……い>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

 この現代に「性的に満たされない中年女性が(知性はあるとはいえ十全なコミュニケーションが成立しているとは言いがたい)半魚人をさらってきてセックスの相手にする」というフィクションが高く評価されることの意>>続きを読む

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

3.0

 語り口が混乱極まる映画で、ドラマ的な点に関してはもうほとんど壊滅的に酷い。ただ、場面と場面をCG処理でシームレスに繋ぐ手法が(効果的かどうかは全く無関係に)これでもかとばかりに多用されていて、これは>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.1

 タイトルが出た直後、「おれはスペンサー、そしてこいつらはおれの友達だぜ」とかいう自己紹介で幕開けという、イーストウッド史上最高に雑なオープニングに唖然としていると、ガキが自身の葛藤などをペラペラ喋り>>続きを読む

ブラックパンサー(2018年製作の映画)

3.0

 画面が暗い……昨日見た『シェイプ・オブ・ウォーター』も相当だったが、こちらの場合はとにかく序盤から全体的にぼんやりと暗く、メリハリがない画面で、たいへん辛い思いをした。これ映画が悪いのか上映環境が悪>>続きを読む

ブラック・エース(1971年製作の映画)

3.7

 この時代のアクション映画らしい緩さもあるけど、それでも面白い! もう最初の人肉ソーセージの件(屠殺描写はワイズマンの『肉』とほぼ同じ)からそーとーキている。救出したシシー・スペイセクの扱いや、ジーン>>続きを読む

ヒューマン・ハンター(2017年製作の映画)

-

 いや、まあ、見てないんだけど。地元の映画館の上映スケジュールに入っていて「なんだこれ?」と思って調べたらこの貶されよう。すごいっすね。最近ぼくは「ニコラス・ケイジとジョン・キューザックが主演の映画に>>続きを読む

叛乱(1954年製作の映画)

3.5

 律儀な映画で、冒頭の判決を伝えるシーンで主要人物全員を順繰りにトラッキングで見せる。実は何も調べずに見たので、顔触れに驚いた。この映画、公開当時と今では印象が全く異なるのではないかしら。現代の観客と>>続きを読む

奴が嘲笑う(2015年製作の映画)

3.1

 必要のない描写がスリルを削いでいる感はあるけれど、まあんなこといってもしゃーないお気楽映画だし。ボールペンとか一気飲みとかイム・ウォニとか、楽しい描写もあるし。

殺人者の記憶法(2017年製作の映画)

3.0

 黒沢清っぽい抽象的な建物とかが醸し出すムードに韓国映画界の力を感じる。ソル・ギョングとキム・ナムギルは素晴らしい存在感で、オ・ダルスも相変わらず良い。しかし前半を埋め尽くすモノローグには芸がないし、>>続きを読む

ブラザー(2017年製作の映画)

-

 20分ほど見ましたがダメすぎるのでリタイア。役者が良いだけに残念である。

パンダコパンダ 雨ふりサーカス(1973年製作の映画)

3.4

 新キャラ・トラちゃん登場。これも悶え死ぬほど可愛い。

 水に沈んだ町は『崖の上のポニョ』でもやっていたが、そこに汽車を走らせるというのがすごいアイデア。ただオチとなるイベントは前作と比較するとスリ
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パンダコパンダ(1972年製作の映画)

3.5

 可愛すぎて悶絶した。パンちゃん……パンちゃん初登場シーンから超可愛いよ……お餅みたいで超絶可愛いよ……。
 竹に異様な執着を見せるパパンダに限らず、主要登場キャラが殆ど気がくるっとる。家具壊しまくっ
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ボーイ・ミッシング/消えた少年(2016年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

 この映画の題名でGoogle検索すると「頭の悪い弁護士の話」という記事が出てきて、身もふたもないなあと笑ってしまったのだが、まあその通りだと思う。惜しむらくは頭の悪さを映画としての面白さにつなげる演>>続きを読む

リオ・コンチョス(1964年製作の映画)

3.4

 正直話はうまく飲みこめなかったのだが、冒頭のアパッチ族襲撃シーンから緊張感漂う画面でひきつける。リチャード・ブーンが捕まった牢屋でアンソニー・フランシオサと話をしていて、物音か何かがしたほうに視線を>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

3.2

 こういう表現も紋切型でよくないと思うけれども、やはり脚本家の映画という感じがする。お話を進める際の強引さばかりが際立つ。いわゆる筋張った映画というやつで、どうも……まあその筋に関して言えば、それなり>>続きを読む

殺戮にいたる山岳(2016年製作の映画)

2.8

 山岳での銃撃戦にはたいへん迫力がある。着弾描写が新鮮で、この銃撃戦だけでも見て良かったと思った。
 しかし過去の因縁を描くパートが細切れに挿入されて、これがテンポを削ぐわ別段面白くないわで、非常に白
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エモ:ザ・ミュージカル(2014年製作の映画)

3.2

 主人公がジョン・キューザックを50倍弱くしたような見た目で、大丈夫かなと思いつつ泥酔しながら見たのですが、かわいい映画ですね。はぐれものの集団の中にも同調圧力があるという切なさ・辛さもそれなりにきち>>続きを読む

ハーレムにかかる月(1939年製作の映画)

2.2

 いやあこれは安いね。安すぎて感心しました。ゆっきーさんのレビューの通り、「物語を終わらせねば」という強烈な意志のもと、あらゆるキャラクターが、あらゆる設定が置いてきぼりのまま、ガンガン話が進む。……>>続きを読む

博徒一家(1970年製作の映画)

2.9

 『博奕打ち 総長賭博』の二番煎じといった設定だが、筋を追ってるだけという感じだ。後半になると話もおなじみのパターンに突入し、渡辺文雄が自分から人斬ったりしはじめてガバガバになる。討ち入りシーン(雪が>>続きを読む

鎖につながれた女たち(1943年製作の映画)

3.2

・車が異様に速い
・リタと映画好きの元恋人が面会するみょうちくりんな部屋
・主人公が所長の部屋から文書を盗み出すシーンの女看守が超怖い
・気弱おっさんのあまりに唐突な叛意とその後の変貌

 以上4点、
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荊棘の秘密(2016年製作の映画)

2.7

 脚本を手がけたパク・チャヌクの頭のおかしさがよく出た一本だと思う。とにかく怒涛のツイストなのだが、あんまりにぶんまわされるので中盤あたりから何が問題だったのかよくわからなくなってくるし、そもそもどう>>続きを読む

今夜、ロマンス劇場で(2018年製作の映画)

2.8

 序盤、カラーの画面の中、CG処理で綾瀬はるかのみ唯一モノクロで描かれる。これは新鮮なヴィジュアルだなあと感心した。すぐメイクを覚えてカラーの外見になってしまうのが残念(雨が降るシーンがあったが、メイ>>続きを読む

マンハント(2018年製作の映画)

2.6

 クソダサい。全篇ダサい。

 エフェクトを多用したスタイリッシュ編集がダサい。許しがたいレベルでダサい。ことごとく不要なうえにガチャガチャした画面になって猛烈にダサい。鳩を出したい気持ちはわかった。
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君よ憤怒の河を渉れ(1976年製作の映画)

2.7

 どう考えても長すぎるし、ヒロインが中野良子というのがピンと来ないのだが、高倉健の逃亡パターンの面白さは否定しがたい。ズッコケにも程がある音楽も途中から投げやりな魅力を放ちはじめる。

26年(2012年製作の映画)

2.5

 最初のアニメ・パートの残虐描写は光州事件なるものの衝撃をわかりやすく伝えてくれていると思うし、チン・グ(母親に切られて傷跡がつくというのが良い)やハン・ヘジンらの佇まいもいい感じで、その後を期待させ>>続きを読む

真人間(1938年製作の映画)

3.9

 素晴らしいド珍作。『ムーンライズ』を思い出す。

グッド・タイム(2017年製作の映画)

2.8

 カメラが近すぎる&不快な人・物しか出てこない。

 というのも、全て意図されたものなのだろう。確かに酩酊感はある――ストロングゼロと相性のいい映画だと思う。素面で見たぼくが間違ってました。

アメリカの悲劇(1931年製作の映画)

3.2

 『陽のあたる場所』で有名な作品の、第1回映画化だが……変なリズムの映画だ。水辺のイメージが素晴らしい一方で、終盤30分(実質3分の1)を占める法廷パートはかなり退屈だったりする。
 まあとにかく、シ
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街の天使(1928年製作の映画)

3.9

 前回見たときも何かが引っかかって、『第七天国』や『幸運の星』ほど感動しなかったのだが、今回あらためて見て思ったのは、チャールズ・ファレルがジャネット・ゲイナーを「許す」というのに、どうも違和感をおぼ>>続きを読む

SECURITY/セキュリティ(2016年製作の映画)

3.4

 これは拾い物じゃないですか。

 当初はアントニオ・バンデラスの佇まいにもリアルなくたびれがあり、そうか退役軍人か、心的外傷か……などとこちらも姿勢を正して見ていたのだが、主人公のモーテルのシーンあ
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女は冷たい嘘をつく(2016年製作の映画)

3.0

 序盤はお母さんがだいぶ必死でアクションするので『最後まで行く』の再来かと期待したのだが、バンバン失速。男が全員クズというのはすがすがしい。