手加減のない暴力描写の信頼感。
殉職の朝に手を振って見送る妻と息子の姿が高速ドリーアウトしていくショットが好き。
美しい日常とかそんな呑気な話ではない。今にも崩れそうな世界のバランスを、詩によって繋ぎとめる狂気の物語。よき。
想像以上の怪作。21世紀の新しいアンチヒロイン。こんな映画が観たかった。
ユペール演じるミシェルがレイプ被害に遭う場面から始まる物語。レイプとは通常、自らの主体的性を収奪されることであるはずだけど、ミ>>続きを読む
多分数年ぶり2回目。
今になって分かる、なんだこれ、めっちゃ好き。
身体的欠落と精神的欠落の補完的合一(不)可能性というド直球のロマンス。そして、記憶喪失の男の過去がマクガフィン的なものとして人から>>続きを読む
ステレオ・トータルはじめサウンドトラック「は」激いい。浅野忠信×クリストファー・ドイルを見逃せない人「が」見ればよろし。
あとは強いて言えば、映画だとかシネマだとか、そういう言葉の意味するところに、>>続きを読む
ガートルード・ベル本人は、良くも悪くも現在の中東情勢の形成に一役を果たしたようだけど、映画ではそこらへんの政治の話はバッサリ。間違っても『アラビアのロレンス』を期待してはいけない。邦題は完全なミスリー>>続きを読む
関係者全員の人生が詰まった208秒を、とにもかくにも96分の映画にしてしまって、隅から隅まで尖ってて最高オブ最高だけど、強いて言えば最後の本人映像は無くてもよかったオブよかった。
ロシアとフィンランドの関係史に明るくはないけど、冷戦終結後の自由の躍動、待ち焦がれた人びとの歓喜はビンビンに伝わってくる。大国ロシアによる侵略と抑圧の歴史をはねのけ(真の)独立を勝ちとったフィンランド>>続きを読む
カウリスマキ、ヘルツォーク、ジャームッシュは何回も繰り返し見てる。
暴力が力なら、対する法や警察もまた力。溜飲は下がっても、スカッとするだけでは終われぬ。
偶然を装った出会いと別れの作為的連鎖によって、ヨーロッパ・ロケーションが全て無に帰す勢いで、結果とんでもなく奇妙な無国籍映画に変貌してしまった感。メインキャラクター2人の間には、障害や国境はあるようで>>続きを読む
映画という名のゆるい連帯、その儚さと脆さに魅せられ感電してしまった人間たちへの愛と憧憬を、若さの為せる覚醒状態真っ只中にあっただろう原田美枝子が惜しみなく放出し、錚々たる大人たちがその未知のグルーヴに>>続きを読む
久々に見直したけど、ウディ・アレンで1番好きだこれ…ナンセンスの塊。
科学とマジックの共犯関係には、恐らく20世紀における科学と映画のそれを見てるんだろう。そんなノーランはコンサバなフィルム至上主義の一翼。
冒頭から説明されるマジックの3ステップ。マジックはそうなのかも>>続きを読む
全然悪くはない。
古典的なメロドラマの中にも随所にルコントのフェティシズムが。
パズルを拾う時のテーブル下のショットとか、今キタなあって気がするから偉い。
これは発見。とてもいい。
男女や親子の関係が脚本上のいいフックになってるし、タイトルも効いてる。閉鎖周回路。
不貞行為の感傷に苛まれるくらいのちょうどいい正義感。信頼できる。
「国益」だとか「安全保障>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
漸く観た。
未知の異言語獲得によって人間の認知能力が更新され、見えなかったものが見えるようにさえなるという、「サピア=ウォーフの仮説」の拡大解釈版ガイドのような物語。
たとえば、エスキモーの言葉には「>>続きを読む