ナガノヤスユ記さんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

ナガノヤスユ記

ナガノヤスユ記

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カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

4.5

同じ場所を目指しながら、バラバラの道を行く。ユニオンの定義づけが興味深い。分裂症的なキャラクターそれぞれが路頭に迷いながら徐々に自己像を失って死んでいく様は喜劇か悲劇か。
人間を人間中心主義から逃しな
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.7

主題と文法のソウルフルな合一。過剰なまでの欠落。非人間的世界の豊かさ。これがカウリスマキ印、最高のロケンロール。毎日イモだ。

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

4.6

隆々たるネットドラマ繁華の時代に、2時間の映画が生きるこの地平。ギー・ドゥボール風に言うなれば「時が過ぎ行くことに賭ける」べし。
別に79年の夏に特別何が起こったってわけじゃない。数十時間かけたら前後
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ミッドナイト・スペシャル(2016年製作の映画)

4.2

オルタナ。たとえ存在を知っても実際に触れることのできない世界はある。別にそれが断絶ってわけじゃない。見えないものの見えなさを、見るか否か。
それが別世界のレイヤーだろうが、他人の家族だろうが、自分の子
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あ、春(1998年製作の映画)

4.5

規範(≒家族)から明らかに逸脱した男の存在が、無機的だった家族の繋がりに性的な活力を与え、結果的にその可能性を更新してしまうというのがいい。
血ではなく歌で繋がるというのが何とも幻視的。親子の対称性を
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LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

4.3

シリアス・リアリズム寄りのアメコミ映画としては、昨今のDC系、ノーランのバットマンやザック・スナイダーのスーパーマンが思い浮かぶけど、今しかない時機の捉え方と時代意識でそれらとはまた一線を画すと思う。>>続きを読む

ハンニバル(2001年製作の映画)

4.0

いかにもリドリー・スコットらしいセンチメンタルが爆発。あくまでガラス越しの距離に留まったカウンセリング的なジョナサン・デミの前作とはうってかわって、慇懃無礼なミソジスト達をレクター氏が血祭りにあげまく>>続きを読む

ウルヴァリン: SAMURAI(2013年製作の映画)

3.9

俄然よい。ジーン(旧三部)からの解放。マンゴールドの気概を感じるべき作品。

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.5

理想に燃える若者の野心も、猟奇殺人犯の性的渇望も、人のあらゆる欲望が、形の違う暴力のコードを介して並置される。欲望の自制においてレクター博士は超常的であり、だからこそ社会において異質の存在として、人々>>続きを読む

グッバイ、サマー(2015年製作の映画)

4.2

ミシェル・ゴンドリー、いい意味でこんなにふつうの映画撮れるんだ。モバイルハウス的なあれ。いちいちチクリと痛い。ロードムービーや青春映画としては意外性や無軌道さに乏しい、特別な驚きはないけど、ひと夏の成>>続きを読む

レイチェルの結婚(2008年製作の映画)

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R.I.P.

作品が良い悪いはとりあえず置いておいて、この映画のレビュー欄に散見されるクソみたいな向き合えなさ含めてこの映画だなあって思った。ただの映画だと思うなよ阿呆どもが。

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.5

これはかなり重めのやつ食らってしまった。
『ヤンヤン』とかでも充分すぎるほどわかってたことだけど、最小とも言える語り口から、その最大射程を決して固定してしまうことなく、家族を、社会を、歴史を片っ端から
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アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

4.5

子供みたいな大人。大人みたいな子供。いるよね。
当たり前だけど、人間は一夜にして突然子供から大人になったりしない。子供でも大人でもない、何者でもないものを経て大人になっていく。というか、もしかしたら人
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