ノラネコの呑んで観るシネマさんの映画レビュー・感想・評価 - 64ページ目

ノラネコの呑んで観るシネマ

ノラネコの呑んで観るシネマ

ありがとう、トニ・エルドマン(2016年製作の映画)

4.2

キャリアウーマンの娘が住むルーマニアを訪れた、イタズラ好きの父さん。
典型的仕事人間の娘の暮らしっぷりを見て、神出鬼没の架空の人物トニ・エルドマンをでっち上げ、彼女に幸せの意味を問う。
父さんのキャラ
>>続きを読む

怪物はささやく(2016年製作の映画)

4.5

物語と子供と怪物、この組み合わせは大好物。
重い病気にかかったママを持つ、孤独な少年の元に、夜な夜な巨大なイチイの木の怪物が現れて、三つの物語を語って聞かせる。
怪物は、三つ目の物語を語り終えたら、少
>>続きを読む

ゴールド/金塊の行方(2016年製作の映画)

4.2

掘り出した金塊が盗まれる話かと思ったけど、違った。
会社が倒産寸前にまで追い詰められたプロスペクターが、夢のお告げに従って、落ちぶれた地質学者を雇い、インドネシアで金鉱を掘り当てるサクセスストーリー。
>>続きを読む

アイム・ノット・シリアルキラー(2016年製作の映画)

3.3

邦題まんま過ぎやないかーいと思ってたら原題だった。
殺人願望を抱えるソシオパスの少年が、隣家の爺さんがホンモノのシリアルキラーであることを知ってしまう。
元々殺人に興味津々だった少年は、密かに爺さんの
>>続きを読む

セールスマン(2016年製作の映画)

4.7

ファルハディ、さすがの面白さ。
アーサー・ミラーの「セールスマンの死」を、イランで上演しようとする夫妻が主人公。
ある日、夫の留守中に妻が暴漢に襲われる。
躍起になって犯人を見つけようとする夫と、恐怖
>>続きを読む

武曲 MUKOKU(2017年製作の映画)

4.1

これは何とも変わったジャンルレスムービー。
剣道家の父にスパルタで育てられ、木刀での試合中に父を植物人間にしてしまった男の話。
ショックで酒に逃げ、自堕落な生活を送る男の前に、天才的な剣のセンスを持ち
>>続きを読む

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)

4.5

ピーター・バーグとマーク・ウォールバーグの実録レクイエム3作目。
ボストンマラソン爆弾事件の前夜から、犯人逮捕までの緊迫の5日間を描く群像劇だ。
前二作と同様に基本は究極の再現ドラマで、キャラクターの
>>続きを読む

ラプチャー 破裂(2016年製作の映画)

3.2

SMホラーって宣伝してるけど、そっち系じゃなかった。
ある日突然拉致され、謎の研究施設で"恐怖"を与える人体実験をされる話ではあるのだけど、拷問は全然メインではない。
監禁されたノオミ・ラパスの脱出行
>>続きを読む

ブラッド・ファーザー(2016年製作の映画)

3.5

元アウトローのオヤジが、疎遠だった愛娘がやらかしちゃった事件のため、麻薬カルテルが送り込んできた殺し屋と戦う。
プロットのアウトラインは、ほぼ「LOGAN ローガン」と同じ。
まあバジェットは数分の一
>>続きを読む

海辺のリア(2017年製作の映画)

4.4

リアってそう言う意味か。
認知症を患った元スター俳優の男が、介護施設を脱走。
長女夫婦にそそのかされ、財産を奪われて捨てられたのだ。
延々と海岸を歩き続ける男は、嘗て私生児を生んだとして勘当した、愛人
>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

4.6

正しくは複数形の「ウィメン」。
これは好きなタイプの作品。
1979年、シングルマザーのドロシアは、15歳の息子ジェイミーの教育に迷い、歳の近い20代の賃借人のアビーと、息子の部屋に入り浸っている17
>>続きを読む

(2017年製作の映画)

4.4

視覚障がい者のための、映画の音声ガイドを作る女と、光を失いつつあるカメラマンの男。
二人は時にぶつかり合いながらも、絆を強めてゆく。
「あん」に続いて社会的マイノリティの存在を絡めながら、光の芸術から
>>続きを読む

おじいちゃんはデブゴン(2016年製作の映画)

3.2

コメディ要素はほぼゼロ。
こんなシリアスな映画だとは思わなかった。
愛を失い、心に深い傷を抱えた武術の達人が、ひょんなことから仲良くなった少女を守るため、老いた体に鞭打って悪の組織と戦う。
これはいわ
>>続きを読む

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

5.0

大傑作。
ヒュー・ジャックマンにオスカーを!
彼が17年間演じ続けた、孤高の"X"有終の美。
ミュータントがほぼ滅びた近未来を舞台に、ワケありの少女ローラを守ることになった、ウルヴァリン最後の戦いが描
>>続きを読む

家族はつらいよ2(2017年製作の映画)

4.1

「東京家族」の裏面という縛りが取れた第2作。
高齢者ドライバーの事故、貧困老人、孤独死といった内容を、まとめてあの一家にぶち込んでくる力技。
わりとブラックなドタバタギャグはちょっと滑っていた様に感じ
>>続きを読む

ちょっと今から仕事やめてくる(2017年製作の映画)

4.1

ブラック企業に勤める主人公・青山が、ヤマモトと名乗る謎めいた男と出会い、意識を少しずつ変えてゆく。
とことん追い込まれている時、道は一本しか見えないけど、フッと引いて見ると沢山の脇道がある。
働き方の
>>続きを読む

光をくれた人(2016年製作の映画)

4.2

第一次世界大戦直後の豪州。
子供を流産で亡くした灯台守の夫婦が、海で見つけた遭難者の赤ちゃんを、秘密裏に自分たちの子として育てる。
「そして父になる」や「最愛の子」など、産みの親と育ての親の葛藤を描く
>>続きを読む

美しい星(2017年製作の映画)

4.5

ある日突然、内なる宇宙人に目覚めた家族を描く、ユニークな寓話劇。
火星人、水星人、金星人、そして一人だけ地球人のままの四人家族。
それぞれに自分の変化に戸惑いながら、環境問題、政治、美に関して、地球を
>>続きを読む

サクラダリセット 後篇(2017年製作の映画)

3.4

なるほど、こう来たかという着地点。
前半はスローな展開だが、及川ミッチーの陰謀が成就するあたりから、急速に面白くなる。
しかし、原作がそうなんだろうけど、筋立てがが複雑過ぎないか。
4時間かかって、な
>>続きを読む

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

3.8

タイトルは「名無しの権兵衛」を意味する身元不明の遺体。
地下モルグを舞台に、謎めいた美しい遺体の解剖中に起こる、恐怖の超常現象を描くオカルトホラー。
怖さはそこそこだが、前半の"あり得ない遺体"の謎を
>>続きを読む

夜に生きる(2015年製作の映画)

4.1

ベン・アフレック監督作品、なかなか面白かった。
禁酒法の時代、イタリアマフィアの舎弟になった、アイルランド系ギャングの半生を描くノワール。
戦争体験体験のトラウマから、何よりも自由にプライオリティを置
>>続きを読む

BLAME!(ブラム)(2017年製作の映画)

3.9

都市が意思を持って自己増殖し、人間は害獣として駆除される異世界で、都市のコントロールを取り戻そうとする戦い。
「風の谷のナウシカ」と「AKIRA」を合体させた様な、複雑怪奇な世界観を上手くさばいていて
>>続きを読む

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(2015年製作の映画)

4.6

コレは胸アツ。
ひょんなことから、超常の力を手にした街のチンピラが、図らずも精神疾患のある女の世話をする羽目に。
アニメの世界に生きてる彼女が「鋼鉄ジーグ」の熱烈なファンで、自分を助けてくれる男をアニ
>>続きを読む

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)

4.6

年に二度も湯浅政明の映画が公開されるとは。
巨大な岩によって太陽が遮られた港町を舞台に、無気力な中学生男子と人魚の女の子が音楽によって友だちとなる。
例によって、唯一無二の独創のスタイル。
ポップな音
>>続きを読む

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.8

驚くべき傑作。
現時点での今年の邦画ベストだ。
建設作業員として働く池松壮亮と、昼は看護師、夜はガールズバーの二重生活を送る石橋静河が、1000万都市東京で邂逅を繰り返す。
原作の詩集を、あらゆる表現
>>続きを読む

破裏拳ポリマー(2017年製作の映画)

3.7

アメホン国設定は無いんか〜。
アニメ版からだいぶ変わったけど、これはなかなか面白い。
この種のアニメヒーローの実写化の中では、かなり良く出来ているのではないか。
今の子供はどのみちオリジナを知らないか
>>続きを読む

トンネル 闇に鎖(とざ)された男(2016年製作の映画)

4.3

トンネル崩落事故に巻き込まれ、地底奥深くで身動きできなくなった男のサバイバル劇。
いや〜面白い!
こんな動きを作れない話を、よくここまでドラマチックなエンターテイメントに昇華したものだ。
ハ・ジョンウ
>>続きを読む

バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート(2015年製作の映画)

3.7

元CIAのナンパ男は、依頼人を殺す"正しい殺し屋"だった。
エキセントリックなキャラクターととぼけたノリはどこか既視感があったが、脚本がマックス・ランディスだ。
だから全体の基本設定は、「エージェント
>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.8

これは本当に心に染み入る、極上のヒューマンドラマだ。
風光明媚なマサチューセッツの港街、マンチェスターが舞台。
兄の急死をきっかけにこの街に戻って来た弟と、甥っ子の関係を軸に、大きな喪失を抱えた人間た
>>続きを読む

スプリット(2017年製作の映画)

4.3

外連味を無理に出さず、素直にB級感覚を発揮すればシャマランは面白い。
これは彼の作品中でもかなり上位に来る快作。
誘拐された3人の女子高生と、心に23人もの人格を持つ犯人。
如何にして脱出するのかとい
>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017年製作の映画)

4.7

コレは4DX案件。
前作に勝るとも劣らない出来で、ムッチャ楽しい。
小ネタのつるべ打ちで、腹抱えて笑った。
今回は、スターロードと再会した親父との関係が軸になるんだけど、サブプロットのガモーラ姉妹の話
>>続きを読む

台北ストーリー(1985年製作の映画)

4.4

エドワード・ヤンの初期の佳作。
これも、たしか「幼馴染み」というタイトルで遠い昔に観て以来、ほぼ30年ぶり。
台湾民主化前夜の1985年の台北、色々と行き詰まり、煮え切らない腐れ縁の男と女の物語。
>>続きを読む

ノー・エスケープ 自由への国境(2015年製作の映画)

4.0

アメリカを目指し、国境の砂漠を渡るメキシコ人不法移民たちvs問答無用で銃弾を浴びせる謎のスナイパー。
メキシコ目線で描かれた、シンプルながらなかなかにウェルメイドなサスペンス。
ライフル+猟犬で武装し
>>続きを読む

追憶(2017年製作の映画)

4.1

予告編の印象とは異なる、結構凄いところに着地した。
少年時代にある"罪"を共有した3人の男が、殺人事件を追う刑事、被害者、容疑者として25年ぶりに再会する。
現在の事件の犯人探しのミステリ要素は、主人
>>続きを読む

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

4.3

ジェシー・アイゼンバーグが、ハリウッドとニューヨークで出会った、2人のヴェロニカとの恋の顛末。
止まることなく時は流れ、映画のどの時点から見るかで、彼女らは今であり過去。
これはいわば「ラ・ラ・ランド
>>続きを読む

八重子のハミング(2016年製作の映画)

4.4

ああ、これは心を打つ素敵な映画だ。
若年性アルツハイマーに罹患した妻と、彼女を12年間に渡って介護した夫の物語。
現在の夫の講演を通して、彼女との様々な思い出を描き出す。
このテリングのスタイルによっ
>>続きを読む