しゅんさんの映画レビュー・感想・評価 - 34ページ目

復讐 THE REVENGE 運命の訪問者(1997年製作の映画)

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黒沢清オールナイト

眼鏡の奥の哀川翔の瞳がたまらない。ウェットな復讐劇をドライに処理する快感とたまの石川さんのような風貌で殺しまくる六平直政の怪演。防弾チョッキのや杖をつく女。あらゆる装置が無駄に終
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仁義(1970年製作の映画)

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原題『赤い環』
移動中の列車のアップからカメラが上空に遠ざかるショットはどうやって撮ってるんだ?凄くないか?全体を通してカッコよくない映像がない。タバコの交換やライトの影やビリヤード台といった表象で全
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グッド・タイム(2017年製作の映画)

4.3

2回目Netflix
やっぱ最高。こんな美しい映画ないよ…
OPNの音楽と編集の掛け合いが凄いんだよな。なんなんだアレは。警備員が救急車に入る時に女の子が横切るところめっちゃいい。

1回目シネマー
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彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

3.3

顔も近いがものとの距離がものすごく近い。ラベルの剥がれた小銭だらけの貯金箱、干された軍手、焼き肉。複数の男に舐められる蒼井優の足は家庭の団らんには不自然な豚足を呼び起こし、霊園の張り紙が結末を用意する>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

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なんとも悩ましい。『メッセージ』ではベクシンスキの絵画を思い出したけど本作はアンドレア・グルスキーの写真を想起させる場面がちらほら。橙の光の中で水が揺蕩う謎の社長室とか、上空から映す廃墟ビル街とか、横>>続きを読む

秀子の車掌さん(1941年製作の映画)

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バス仕事に対してやる気あるのかないのかわからないほのぼのさにのんきな感じで観ていたらラストに泣かされた!強烈に皮肉だし、あまりに哀愁。見事な展開すぎる。小走り秀子を追いかけるカメラが良過ぎでした。

鉱 ARAGANE(2015年製作の映画)

4.0

最初から轟音、揺れる鉄盤!土と鉄と男と音、それだけで最高!『鉄男』の五億倍純正インダストリアルだ!

地下の暗い土埃の中で坑夫のヘッドライトだけが動いている、あの音楽的時間はなんなのでしょう。定点カメ
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LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

3.8

恐ろしくバランスが取れている。老いのボロボロさとアクションの快楽、父と娘の物語とX-Menシリーズとしての流れ、アメリカ的主題と個人の実存的主題、両側をすべて拾い上げる力量に感服するしかない。前半から>>続きを読む

レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

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インディアナ・ジョーンズの支離滅裂っぷりはサイコパスのレベルだし、インディ達が何もしなくてもナチスが自滅する話なのですが、あのテーマ曲が鳴ると全てがどうでもよくなりますね。パナマウントのマークを利用し>>続きを読む

カスパー・ハウザーの謎(1974年製作の映画)

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キンスキーとタッグを組んだヘルツォーク代表作よりブルーノ・S主演作のほうが好きだ。言葉を覚えてからの「ぼくは堕落して生まれた気がしてならない」と語るカスパーと、正確な記録を自画自賛する書記係のじいさん>>続きを読む

フィツカラルド(1982年製作の映画)

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「船の山越え」ってどういうことかよくわかっていなかったけど、こういうことかよ!あまりの馬鹿っぷりに笑わざるを得ませんでした。本当に山越えできるかどうかわからないドキュメンタルなスリルと、助太刀に入る原>>続きを読む

鉄路の男(1957年製作の映画)

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新文芸坐シネマテーク

主人公のじじいと同じような傲慢・頑固・怒りんぼの三拍子揃ったハゲ上司が職場にいるんですが、実際に接しているとマジでストレス半端ないです笑 それはさておき、映画は端的に傑作でし
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ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

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大学の哲学の授業でデッガードはデカルトに由来していると教えられて早13年。漸く観ました。爆音上映の振動良い感じです。

デッガードがレプリカントか否かという問いは、「アンドロイドと人間の差など存在しな
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アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)

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泥の河でもスクリーンから見れば穏やかな気持ちになるんだな。映画内の過酷さと映画館の心地よさの対比が凄かった。
霧深い山々をロングショットで映す冒頭と全てがレプリカかのように静止したカヌーを回転しながら
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ドリーム(2016年製作の映画)

3.3

車を修理するオクタヴィア・スペンサーの下半身にはじまり、実験中につっかえるハイヒール、執拗に研究室とトイレを行き来する足元と、足とハイヒールへの集中が印象的。決して歩きやすい靴にはしないという矜持が彼>>続きを読む

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

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ちょっとアホっぽいホラー感と赤い船が航路を行く時の環境映像っぽさ(午前4時くらいにテレビで放送される外国の風景をひたすら流すやつみたいな)との落差が激しくてうっとり。大量のネズミと頽廃した人間の宴を映>>続きを読む

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)

3.0

「全部、瀧のせいだ」のコピーのもとにJR SKI SKIの広告を思わず作りたくなってきますが、ぼくは川口春奈とピエール瀧だったら後者の方が好きですね。広瀬すずなら迷うところですが。なんの話だっけ?まぁ>>続きを読む

神田川淫乱戦争(1983年製作の映画)

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笑うしかない。はははは。シックスナインした後で、彼女達は笑いあう。ははははは。尻に花を挿して。メガネをオレンジマーカーで塗って。はは。青、赤、紫。花火。きれいだな。きれいかな? 

黒沢清のデビュー作
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小人の饗宴(1970年製作の映画)

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ラテンアメリカ的な、文学と政治との距離が限りなく近い映画。皿は割れ、花は燃え、ナマケモノは十字架に。詩をイメージに、というか実写にするということが全てだろう。

回り続ける無人の車を車内から撮影すると
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シュトロツェクの不思議な旅(1977年製作の映画)

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ビール、アコーディオン、九官鳥、未熟児、青タン、移動住宅、湖、コーヒー、動物磁気、競売、強盗、ネイティブアメリカン、チキンダンス、リフト。そして。
なんて、なんて切ないんだろう。このアメリカの(悪)夢
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私は告白する(1953年製作の映画)

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宗教と法律のダブルバインドもの、最高ですね。ショットの繋ぎがめちゃくちゃで「センス!」って思った。モンゴメリー・クリストを舐め回すカメラがいやらしい。

街を徘徊してるときに松葉杖の女の子とすれ違うの
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白い決死隊(1954年製作の映画)

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新文芸坐シネマテーク

三、四年前に『不運』観て以来のアンジェイ・ムンク。ドイツ兵に見つかる寸前の野戦病院で、医師が凍傷の指先を切断する場面が圧巻。ノールックでランプを机の上に置こうとするがなかなか定
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三度目の殺人(2017年製作の映画)

3.5

凡庸なエリートがサイコパスに巻き込まれるあたり『クリーピー』と設定がかなり似ているのだが、全く違う映画になっていて面白すぎる。『クリーピー』が宙吊りの不安定さを強いるのに対して、本作の安心して観ていら>>続きを読む

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

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至高の映像だらけの傑作。木の葉や電車の音の静けさの中で蒸留されるサスペンスとその後の弛緩の落差が冴えまくり(そしてその弛緩こそがクセもの)だし、薄ら寒いほど空疎なセリフも効いてる。「やっぱりアメリカは>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

2.5

浜辺に立つ二本のポールが均等に画面を分割してたり、空と海のシーンで視界が90度ずれて水平線が画面を垂直に切ったりするシンメトリカルな構図や、三つの同時進行のストーリーが実際は時間軸をずらしている(つま>>続きを読む

ダーク・ハーフ(1993年製作の映画)

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クライマックスに近づくほど弛緩していく感じは『ゾンビ』と似ていて。双子を抱えた男二人が本棚を開けたところなんか物語的には一番緊張感募るところなのにみんな爆笑してた。この心地悪さがだんだん心地良くなるゆ>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

4.0

妻ローラが喜んで作った芽キャベツとチーズの入ったパイを、パターソンはなかなか食べようとしない。不味かったことが少しずつわかるあのシーンがたまらなく好きだ。ローラの気取りと思いつきにあきれながら、パター>>続きを読む

戦争のはらわた(1977年製作の映画)

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ナチスとソ連というアメリカの敵同士の争いということもあってか一切容赦なし。いつだって可笑しいほど誰もが誰か殺し殺されて生きるのさ、とオザケンが歌い出すくらいに兵士が死にまくる。爆風で金網に飛び込む画が>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

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新文芸坐 黒沢清オールナイト

事務所でスケートする阿部サダヲ、大杉漣を乗せた道路を逆走する車。長回しのセンスが素敵だ。おでん屋で酔っ払う話のあまりのスピード感に爆笑。発狂に至る前の妻の明るさはとにか
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蛇の道(1998年製作の映画)

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新文芸坐 黒沢清オールナイト

これはもうとんでも無く鮮やか。アップダウンの多い道を行く車からのショットと女の子の後ろを電車が過ぎるところが特に素晴らしい。哀川翔の抑えた狂おしさ、香川照之のどうしよう
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CURE キュア(1997年製作の映画)

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新文芸坐 黒沢清オールナイト

固定カメラで捉えたイス、机、おもちゃの乗ったテーブル、二人の人物の絶妙な距離感。それに続く机の振動。これだけでもう震えるような傑作感。「あんたは誰だ?」と問いかける萩原
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ブリティッシュ・サウンズ(1969年製作の映画)

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ゴダール映画のお茶目さが炸裂。ユニオンジャックを突き破る手、陰部とフェミニズム、排外主義者の空きっ歯男(「インド人の人権など知るか、勝手に飢えてろ」あたりがヤバめ)、ビートルズの替え歌「You say>>続きを読む

姉妹坂(1985年製作の映画)

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メロすぎるドラマ、ベタすぎる合成、浅野温子すぎる浅野温子。センチメンタルムード出し過ぎの音楽は耳障りだし、象徴性しか感じない色彩も暑苦しいし、ひたすらにツッコミを入れ続ける100分。ただし嫌いではない>>続きを読む

散歩する侵略者(2017年製作の映画)

3.8

「道」と「家」、ロードムービーと夫婦ドラマの並列(分裂?)が、設定もテーマもかなり近い『美しさ星』との一番の違いかな。長澤まさみにはやられっぱなしで、後半に滲み出す幸福な絶望感にはグッときました。>>続きを読む

Seventh Code(2013年製作の映画)

4.5

二回目Netflix
やっぱ最高。黒沢清最高傑作はこれだよ。
色彩のドラマ(赤、緑=生vs白、黒=死)、坂道、暗さ

一回目Netflix
おそらく世界で一番ノイジーな音楽は、聞きたくない時に大音量で
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