ユーライさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

劇場版 空の境界/第六章 忘却録音(2008年製作の映画)

3.5

黒桐鮮花ちゃんかわいい。原作の一種根幹とも言える部分をオミットしてしまった欠点を逆手に取って、思いっきりヒロイン・アクション・ムービーに振り切っているのが清々しい。舞台が女学院、当然百合的な要素も含ま>>続きを読む

劇場版 空の境界/第五章 矛盾螺旋(2008年製作の映画)

4.7

原作からして長大であるが、映画だからこそ可能な手法によって別次元の作品へと昇華されている感がある。編集の映画であり、脚本のアクロバティックな手捌きがとにかく光る。あらゆる相似をひたすらに時系列シャッフ>>続きを読む

劇場版 空の境界/第一章 俯瞰風景(2007年製作の映画)

4.5

瞳、扉、蝶、トンボ、鏡像、黒白、地と空、光と影、生と死……境界。それぞれの孤独…………複眼、波紋。

虐殺器官(2015年製作の映画)

4.0

いや、全然アリでしょ。伊藤計劃原作の一連のアニメ化プロジェクトは、その宣伝の模様も含めて現在の視点から見ると(当時から)殆ど「忌み子」のような扱いすら受けているフシがあるが、少なくとも本作に関しては意>>続きを読む

靴ひも(2018年製作の映画)

3.5

申請の是非において基準になるのが「靴ひもを結べるか」ということなのだが、3回どれも物語のターニングポイントとして印象に残るのは良いとしてもっと画面の動作として強調しても良かったのではないかと思う。3回>>続きを読む

アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)

4.5

「夢バトル」第2ラウンド。延々とボクシングをやめるか復帰するかの話に費やす。性根まで腐った野郎を再度リングに立たせるにしてもここまで費やす必要は無い訳で、その徹底が心地よい。何だかんだで復帰を決めるも>>続きを読む

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)

4.5

『チェンソーマン』曰く「夢バトル」第1ラウンド。森山未來が布団で寝ている。そこから映画は始まる。タイトルバックはデリヘル運転手として黙々働く車の中だ。この卑近さが伝えるように、全編に渡って食欲睡眠欲性>>続きを読む

天外者(2020年製作の映画)

3.5

三浦春馬目当てに観に行ったのだが、しかし映画の外の「物語」を安易に作中と重ね合わせて同一視するのも危険だと思う。しかし、今作が三浦春馬でなければ味の薄い映画になっていたのも間違いない。実写『進撃の巨人>>続きを読む

空に住む(2020年製作の映画)

3.7

高い場所は人を惑わす、すなわち死に近いのであるから『空の境界 俯瞰風景』。つまり「ソラ」ではなく「カラ」と読むのが正しい。地上よりも高くて天空よりも低い場所、天国と地獄の間の煉獄でいかに人生をやり過ご>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

3.5

シネフィルが嬉々として撮った感アリアリでそこに乗れるかどうか。黒沢清や青山真治辺りがVシネで撮った諸作っぽい。現実の政治状況を反映させながらもふざけてるのか真面目にやってるのか分からない。基本にあるの>>続きを読む

サイレント・トーキョー(2020年製作の映画)

3.5

まぁ劣化『パト2』であるのは間違いないのだが、何十年前のプロットをそのまま持ってきて今現在の政治状況諸々とすり合わせを考えずに再現しているのが辛い。単にアクションの舞台設定としてテロリストを出来させる>>続きを読む

君は彼方(2020年製作の映画)

2.5

たぶん典型的アニメ映画の踏襲を自らに課し、プログラムピクチャー的な縛りを実践した作品なのだろう。初監督作品にしてはある意味で野心的とは言えまいか。既視感に溢れているから悪い、パクリだから駄目などと言う>>続きを読む

ホテルローヤル(2020年製作の映画)

3.0

原作の選択か脚本の問題かわからんのだが、全体的に焦点が不明瞭でボヤけた印象ばかり残る。ラブホの経営陣と客の両方のドラマを描くのもそうだし、時間の経過による長スパン感にしても尺が足りない、かといって長く>>続きを読む

ばるぼら(2019年製作の映画)

3.0

外面のゴージャスな印象とは裏腹にひたすらにのっぺりとした一枚絵が続く。どのカットもいちいち凝っているが、動画としての魅力が余りにも乏し過ぎる。というか、凝り方も弱い気がする。稲垣吾郎の独特の品の良さと>>続きを読む

恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.5

ひ、ひでえ!終始漂う人でなし感がサイコー。殺しの場面から始まるように、どうせろくでもない結末しか待ち受けていないのである。「いい顔」をした“罪人”オッサン共が(テロリストの彼はまだ若いと思うけど)辿る>>続きを読む

GONIN2(1996年製作の映画)

5.0

凄まじいにも程がある。石井隆最大の強みは様式性にあると思っているが、今作に至っては緒方拳が引き連れている鳩からも分かる通りほとんどジョン・ウー。あらゆるショット・台詞の虚構性の高さ、つまり劇画としか言>>続きを読む

生きちゃった(2020年製作の映画)

4.7

映画の出来云々以前に個人的に抱えている「気分」に近い。そういうものは理屈じゃなく好きになってしまう。前作『町田くんの世界』もそうだったけど石井裕也監督の映画、説教臭いところも含めて相当好き。主人公の男>>続きを読む

どうにかなる日々(2020年製作の映画)

3.5

個人的な嫉妬で減点。当たり前だ。オムニバス構成の4つのストーリーなのだが、3、4が無理っす。暗黒の青春()をもしかしたら現在進行形で送っている人間にはとっても厳しい。ふざけんなよマジで、あんなに羨まし>>続きを読む

罪の声(2020年製作の映画)

4.0

未解決事件が好き。当然大量殺人とかも好きで理由を聞かれると独特の陰の濃さ、見てはいけないものを見てしまう感触が好きなんだろうと思う。その感触に結構いい感じで迫っていると思うのだ。ハイライトはキツネ目の>>続きを読む

007 ロシアより愛をこめて/007 危機一発(1963年製作の映画)

4.5

アバンからもう激烈にカッチョいい。主人公が絶命する不吉な予感を滾らせつつも組織のスケール感を提示する、スマート。列車の中での静かな死闘。緊張感をビンビンに張り巡らせながらも最後はあっけなく死ぬ。優作の>>続きを読む

007 ドクター・ノオ/007は殺しの番号(1962年製作の映画)

3.5

007初めて観た。こんな映画だったんだな。そりゃシリーズだから幅があるだろうけどもっと都会的で硬派なイメージがあったのだが……果たしてそのイメージはどこから来たんでしょうか。物心ついた時にはダニエル・>>続きを読む

十三人の刺客(1963年製作の映画)

4.5

「統一された戦闘集団」萌え。なんでこんなにカッコいいんでしょうか。各々が雁首揃えて集合したり行動したりの「プロ」っぷりがたまらない。やる気なくしているのを叱ったり、痩身の剣豪の若い弟子が前後関係で戦う>>続きを読む

大殺陣(1964年製作の映画)

4.0

映画のアクションじゃねえ!みたいな感じだ。映画のアクションは、カットで割ったり段取りとかテストを重ねて撮るごまかしが効くものだが、今作のクライマックスは文字通りの「だいさつじん」。泥まみれの中で逃げる>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

4.5

面白いです。黒沢清はシネフィルの衒学めいた言葉か、ジャンル映画じゃんゲラゲラにおいて語ることが有効である感じがあるが、まず最初に来るのは面白れーのはずだ。こと今作においてはフィルモグラフィの中でも相当>>続きを読む

浅田家!(2020年製作の映画)

3.3

この監督の映画は以前から一部で熱烈に嫌われているのを知っていたが、実際に観てみてなんとなく理由が分かったような気がした。現実の瑕疵を無視して(触れない訳ではない)最終的に「良きこと」つまりハッピーエン>>続きを読む

カリスマ(1999年製作の映画)

4.0

役所広司in黒沢清の森林セラピー。いつも以上に寓話性が強調されたお話であり、どこにでもありそうな一本の木を勝手に崇め奉る人々の闘争劇。巨大な一個の前では全体など必要ないと主張する者と調和を主張する者、>>続きを読む

回路(2000年製作の映画)

4.7

黒沢清が00年代然としたフィクションを撮り上げていたことに愕然とする。てかどう見てもブギーポップじゃん。諦観の果てにある希望、の、ようなもの。社会の中抜き感覚(黒沢映画って簡略化されて抽象になった結果>>続きを読む

フレンチ・コネクション2(1975年製作の映画)

3.0

前作とタッチが全然違うので仰天する。良くも悪くも普通の刑事アクションになっていて、ポパイは狂気を帯びた暴走列車ではなく俗っぽいオッちゃん刑事といった体、女っ気がある。異文化コミュニケーションによる最初>>続きを読む

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

4.5

現実味のあるスリラーかと思いきや、後半になると荒唐無稽な安っぽいサイコパスホラーに変容する。有り体にジャンル映画をやっている。よくわからない軽そうなTVをパックの寿司とペットボトルの麦茶でただ見る。自>>続きを読む

CURE キュア(1997年製作の映画)

4.8

げっ!面白い!数年前に観た時はさっぱり意味が分からずただ「不穏」だということのみ理解したけれど、シンプルに楽しめるサイコサスペンスだ。本作が何をもって不穏足らしめているかは数えきれないほどあるが、最も>>続きを読む

フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)

4.7

「刑事が麻薬の売人をひたすらに追いかける」これだけ。ただそれだけのお話が何でこんなに面白くてカッコいいのかということだ。カーチェイスが映画史に残ることは知っていたが、実際観てみるとなかなかに異様なシー>>続きを読む

星の子(2020年製作の映画)

2.5

芦田愛菜主演の感動作、大衆向けの、ご家族揃って、みたいな宣伝のムードに騙されると新興宗教、カルト宗教とか呼ばれる団体の「うっ!」となる様子をかなり大胆に見せていて困惑することになる。大森立嗣監督、『日>>続きを読む

ソワレ(2020年製作の映画)

2.5

いつかの時代より衆人環視が厳しくなった時代でも「行き場のない男女二人の逃避行」は語ることが可能、それは理解出来る。有り得たかも知れない動作の伝搬をラストに持ってくる、それが感動的になる、以前にカット単>>続きを読む

劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel Ⅲ.spring song(2020年製作の映画)

4.0

原作ゲーム未プレイ、DEEN版TVシリーズ&映画のみ履修、加えて一二章未見というアウェー状態で観たけど面白かったっす。キネ旬連載「戯画日誌」曰く「超人同士のサイキックバトルなので初見でも楽しめる」。手>>続きを読む

劇場版 Fate /stay night - UNLIMITED BLADE WORKS(2009年製作の映画)

4.0

原作ゲーム未プレイ、DEEN版TVシリーズのみ鑑賞。その他知識としてはオタク基礎教養レベル。男は背中で語る。とにかく背中が目立つ映画だ。誰のかと言えばもちろんアーチャー=衛宮士郎である。人物が登場する>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.0

凪沙が辿る運命はセクシュアリティと不可分であるが、あくまでもパーソナリティとしての運命であると語る。こういう無茶をするような人は大昔からあらゆるフィクションで数えきれないほど語られてきた。まずバレエを>>続きを読む