ユーライさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

劇場版 ガンダム Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター(2019年製作の映画)

4.0

『閃ハサ』の来場者プレゼントで観る。比べると当たり前だけど結構似てる箇所がある。軍隊の拠点、戦艦が海上に隠されている辺りとか……。相変わらず情報の氾濫が凄まじい、TVシリーズより分かり易いとは言っても>>続きを読む

リズと青い鳥(2018年製作の映画)

5.0

女子校を疑似VRで体感するみたいな映画。クローズアップを多用し、髪の毛一本一本が見える繊細な描線によって尽く過敏な印象。何も起こらないのに何かが起こっているように錯覚させる。見えない感情の機敏を突き詰>>続きを読む

キャラクター(2021年製作の映画)

3.5

本編より劇中劇の方が面白そうってヤバいだろ、映画より漫画が上だと主張するならどうしようもない。劇中画を担当した江野スミの漫画から発する執念、リビドー、おどろおどろしいオーラに拮抗するどころか敗北してい>>続きを読む

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

4.8

断固支持!モンスターバース前三作と比較して一番映画として「まとも」なんじゃないかと思う。怪獣映画に映画としての出来不出来などナンセンスだが、単純に娯楽超大作として良く出来ている。通称ギャレゴジとドハゴ>>続きを読む

ザ・ファブル 殺さない殺し屋(2021年製作の映画)

4.0

前作より改善されているのは順当な進化だが、まだ足りない。本来のポテンシャルが持つ、殺伐さをコメディ要素で中和するのは別に問題無いのだが、製作委員会的な横槍を感じさせる間延びしたテンポと感傷演出によって>>続きを読む

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.0

ドン詰まり死にまくりで暗いとしか言いようが無い、従来らしいヒロイズムを排したリアリティのある画面の中で、登場するキャラクターは誰も彼もがどこか色っぽく声までウィスパーな加減。小野賢章と上田麗奈のASM>>続きを読む

機動戦士ガンダム F91(1991年製作の映画)

4.0

我々の知っている歴史からどうやら時間が経ってしまったらしく、しかし未だに悲劇の連鎖も続いている中、若々しい人々が何とか頑張っている様に励まされる。色々な意味でくたびれていた『逆シャア』と比較すると前向>>続きを読む

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988年製作の映画)

5.0

「ロボットがカッコいいんだよね」と純粋に思うだけで満足していた頃から久しぶりに観たが、初めて分かったような気がする。いや、嘘。富野由悠季の作家性は皆当たり前のように受け入れているけれど、とんでもなく奇>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.5

原作がバズった時から予想はしていたが、提示してくる「映画観」が受け付けない。映画を観て救われましたってそんな単純化されたポジティブなもんじゃないだろう。ポジともネガとも言い難い、複雑怪奇なあえて言えば>>続きを読む

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

4.2

ラストに象徴されるように、全編に渡って夢とも取れるような脈絡の無さ、意味の無さ、空虚さに終始している。それらを味の濃い過剰なサスペンスで色を付けるので観ている間は楽しいけれど終わると何も起こらないとい>>続きを読む

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト(2021年製作の映画)

4.5

TVアニメのみ、『ロンド・ロンド・ロンド』未見。今日において「百合」というのはとっくの昔に商業的な儲け話として見做されていると思われ、オタク界隈のあちらこちらで百合的なものはいくらでも観測可能なのであ>>続きを読む

八月はエロスの匂い(1972年製作の映画)

4.0

どこら辺が八月なんだ。ただ単に『八月の濡れた砂』と関連付けをしたいだけなのは分かっているが……。ファーストショットにおけるデパートの鏡面だらけの様。窃視、サングラスを経て裸眼になる。この時代における障>>続きを読む

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.0

個人的な吉田恵輔作品の印象は、人間に対する悪辣と表現していいような視点が常にあり、二幕の構成との相性の良さから近年はどんどんバイオレンスへと接近しているようだが、今作は打って変わって子供にも見せられる>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.0

ストップモーションアニメを使った情熱が狂気なのは当然として、映画単体として観た時のバランス、初監督作特有の気負いや力み、つまりエゴが感じられないのが美点になっている。「俺が信奉するのはジャンル映画だ」>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.7

まともになっていた。「終わらせろ」とは散々言われたにしても思わず「何もそこまでやらなくてもいいだろう」と阻止したくなるような怒涛の終わらせる意志に唖然とする。何を見せられているんだ感は農業から既に始動>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

4.3

『序』や『破』と比べると格段に面白い。単に焼き直しじゃなくなったから、という理由だけでなく、旧版と同じように監督の何らかの切実さ、情念のようなものが感じとれることの面白さ、そういう意味でエヴァってドキ>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

4.0

まともになっているその2。ただ良かった良かった『破』は……とか言われてるのは聞いていたのでそんなにこれが見たかったのか!?とは思う、だってこれじゃ普通のロボットアニメとそんなに変わんないじゃん。『序』>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

4.0

まともになっている。まず思い出したのが新約『Z』で、もしかしたら一貫してこのコンセプトなのかしらと思った。まだわからんけど。まずミサトさんの第一声からして変えてきてるのではないか。意図的な三石琴乃の演>>続きを読む

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

4.8

こんなカルトアニメが大衆向けな面をして堂々としているのが凄い。TV版弐拾五、六話の再挑戦。「Air」は存外動的な中身で「まごころ」と併せてバランスを取っている。監督の「気分」がそのまま反映されたとすら>>続きを読む

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生(1997年製作の映画)

3.5

数年前に日専で放送されたものを視聴、調べるとどうやら『DEATH (TRUE)2』版らしい、がここだと『DEATH (TRUE)² / Air / まごころを、君に』で統合されているらしいので単体のペ>>続きを読む

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.0

公開から半年くらい経ってるけど、既に「日本でいちばんすごい映画」としてのバイアスから抜け出せない状態で接することしか出来ないのが今作の不幸。つっても売れた映画はそんなもんですが。いつものufoロゴから>>続きを読む

街の灯(1931年製作の映画)

4.0

登場人物がおおよそ全員まともではない。主人公の放浪紳士は常に挙動不審で日常生活に支障をきたしているし、相棒とされる金持ち男も酒や遊びで記憶も判然としない躁鬱持ち、少女は盲目で貧乏。客観的に見れば欠点だ>>続きを読む

ダーティハリー(1971年製作の映画)

3.5

しょっぱなから掛かる音楽の大野雄二感、カメラが捉える街の質感、夜の青さの仙元誠三感といい「遊戯」シリーズ元ネタの一つか。刑事ものとしてデキる後輩とのバディ、犯人inバスで歌を無理くり歌わせる辺りの大元>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.6

カッコ書きの「現実」をフィクションで描こうとすれば概ね「何とかなるでしょう」型と「何ともなりまへんでした」型に大別出来るように思うが、この監督は「何とかなる」を不誠実と見做して、いややっぱ駄目だろうと>>続きを読む

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.6

どっちの意見を閣下が採るのか、はいいとしても三角関係で繰り広げられるバチバチが完全にBでLにしか見えない、というのがある。油断した隙に閣下を取られて不意にされる耳打ちの隠微さときたら。それを見つめる視>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.5

初ゴダール。観終わった後の「なんてクールでカッコいい映画なんだ」という陶酔にやられる。半世紀以上前の感覚が未だに通用している。ラストショットである「最低って?」→伝搬する仕草→去る女の淡泊さがたまらん>>続きを読む

樹海村(2021年製作の映画)

4.3

前作以上にホラーの定石をブチ破って馬鹿馬鹿しいまでの過剰なエクストリーム描写をやり切っていて爆笑。怖いかと言われれば違うけど。常に画面が奥行きのあるレイヤー感を主張してくるのだが、最後のドッキリ的な落>>続きを読む

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.6

断固支持。もはや形骸化した王道プロット「義理と人情を重んじる良いヤクザが仁義なき悪いヤクザにやられる」を丁寧になぞりつつ、藤井道人監督らしいカッコつけたシャープでウェットな悲劇を綾野剛で見せつけられた>>続きを読む

さんかく窓の外側は夜(2021年製作の映画)

4.0

交差点にたむろする人々が全員黒服という大嘘上等の光景を見て「やったー!」。つまりモダンホラーに振る宣言に他ならない。「呪い」の定義が極めて『呪術廻戦』的。新興宗教がモチーフなのもそうだが、単に悪意を持>>続きを読む

バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年製作の映画)

4.0

初見をスクリーンの吹き替えで。いちいち面白いというのもアホらしさがあるが、近年のタイムマシンもので描かれるリアリティに基づいたタイムパラドックスの深刻さに背を向けて「頑張ったから良い未来になったネ」に>>続きを読む

トータル・リコール 4Kデジタルリマスター(1990年製作の映画)

4.0

実存的不安に悩むシュワちゃん、というパブリックイメージ的にどうあっても似合わない姿に90年代の気分を見たかも知れない。バーホーベンのSF的クールさとは無縁のやり過ぎ上等こってりグロ演出も漫画的誇張とす>>続きを読む

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

4.5

前作のウェルメイドなバランスを放棄してポストアポカリプスやりてぇんだを実行した結果、やはりどっちらけになっているこちらを支持したい。問題の愁嘆場だが、むしろ「おお泣いたり叫んだりしてるよ」とか思って見>>続きを読む

燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020年製作の映画)

4.5

「デブゴン」が何なのかすら把握せずに初ドニー・イェン。す、凄過ぎる。本当に同じ人間とは思えない動きっぷりにはもはや笑うしかない。忍者かスパイダーマンばりの屋根伝いにビビる、本当にヒョイっと飛び越えて見>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

4.5

ファーストショットとラストショットの対比が効いている。「これが人間の顔だ!」という感じするよ。同じアジア製ゾンビ映画『アイアムアヒーロー』もそうだったが人間の一挙手一投足がいちいち怖く見えてくる。それ>>続きを読む

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

3.8

やたら記憶に残る。オフビートの暴力、という点でやはり北野武を連想。車をやたら動かしている辺り『その男~』の鈍重路地裏チェイスを思い出したが、あの初期作品群のような殺気立った空気ではなくもっと緩い。より>>続きを読む

初恋(2020年製作の映画)

4.7

優しい映画だ。つっても今までの三池映画だっていくら残酷ショーが行われていようがどこか寄り添うような視点は常にあったのだが。破滅への欲望を捨ててつまらない日常に回帰していく。かつて『日本黒社会』等で描い>>続きを読む