原作ではなく脚本として中上健次がクレジットされているので、先行の映画化と比べても独自色が強く文脈を理解している必要がある。柳町光男作品のカメラは安易な寄りやイメージショットではなく、引きの視点で俗世間>>続きを読む
困難なテーマに挑戦しているが、上手くいっていない。だが、この問題提起は20年経った現在でも通用する。森田芳光らしく、生きている人間でさえもどこかマテリアル的、無機質に映していく感覚は今作においてTV画>>続きを読む
『燃えよ剣』(2021)の前に観ておく予定がズレた。要は男の園に美少年のサークラが入って来てしっちゃかめっちゃかになる俗っぽい、昼メロ丸出しのお話なのだが、陰影を強調した撮影で高尚だか何だかよく分から>>続きを読む
シリーズ未見原作未読、リアリティも整合性もない物語の中で思いつきのおちゃらけ(投げやりではない)が連続していくので眩暈がするが、それこそフジテレビ的なバラエティ番組にはならずにギリギリ映画を保っている>>続きを読む
原作既読。美雪の視点から始まり、最後も愛とのツーショットで終わることで原作より百合要素が強化されて前面化している。忠実と思いきや結構変更点を加えていて、積年の原作を自分のものにする気概を感じる。純文学>>続きを読む
原作既読だけどうろ覚え。その上で文句を垂れると小松菜奈のキャスティングに象徴されるように、原作が持っていた精神性、隠しようがないオタクに向けたポルノを「消臭」して安易なMVに仕立て上げた罪は重い。原作>>続きを読む
TVシリーズ未見。予想以上に正面からスール百合をやっていて驚いた。陳腐化してギャグに見えかねない設定を京アニの繊細な作画力で見せつけられる破壊力。スールもの特有の「同化」プロセスはヴァイオレットちゃん>>続きを読む
劇中作としてあからさまにディズニー的なものを登場させている通り、ひたすらウェルメイドを志向していて良作ではあるのだが、故にまとまり過ぎていて欠点になっている。青春少年少女という類型的な劇場アニメから飛>>続きを読む
賞を獲って絶賛される邦画に対する違和感。やりたい事に成功して意義があるのも理解出来るが、まず語られる物語に対して長過ぎる。しかし退屈はしなかったというジレンマ過多。ラストの長回しに早くしてくれとか思っ>>続きを読む
緩急を欠いて同じテンションのまま全編が流れるから印象に残りづらい弱点が結構露骨に出ている。原作が長編だから圧縮したせいなのか、土方のモノローグをナレーションとして使うことで男一代記としては筋が通ってい>>続きを読む
コネリー版初期四作を履修してから。ぶっちゃけ初めて劇場で例のオープニングとテーマを観て聴けただけで満足したので言う事が無い。あとは観光地巡りのスケール感と単純に量があるアクションに浸るだけ、カッコいい>>続きを読む
1~3作目にあったいかがわしさが突然払拭された。ボンドの倫理的な問題はそのままにしても。これまでは敵の姿がそれほど明確ではなく、ワンマンで事件を解決している印象があったが、今回は味方も敵の全体像もはっ>>続きを読む
『ロシアより愛をこめて』よりもユルい。そのユルさは潜水服の上に鳩→美女を秒殺のアバンからはっきりしている。何で敵を捕らえた癖にさっさと殺さないんだよを筆頭に物語の展開のためにご都合が遠慮なく使われてい>>続きを読む
刑事が猟奇殺人を追う一種俗悪なジャンルに、東日本大震災が根深く絡んでくるドキュメント的な要素が混合されていく味わいが魅力。こういう語り方が可能になったということ。実際に現地で撮ることによって生まれる、>>続きを読む
メチャメチャ厳しい人達が不意に見せた優しさ、もしくは逆(二番)。なんで映画を観るかってこういう現実から逃げるためだというのに、事態から想定されるあらゆる嫌な時間から目を背けずに、抉るように映し出してい>>続きを読む
年が年というのもあるけど、動機付けが名誉欲や物欲なのが恐ろしい。使用人のおっさんとのどこか分かり合っている関係性に萌える。当然のように「トラウマ映画館」で知って観たのだが、確かに映画的な面白さには乏し>>続きを読む
ようやくヒッチコックがどういう映画監督なのかが分かってきたかも知れない。要は徹底して下世話なんである。事故に見舞われた壮年のカメラマンが若い愛人と看護師の婆さんを助手にして、いかに隣人がどのような生活>>続きを読む
過去作の傾向から、冒頭で主人公が発する「相互理解」をてっきり冷笑するのかと思いきや、愚直なまでに「悪人が一人も登場しない」人間賛歌になっていて、その都合の良さを歓迎出来る。映画全体がどこかほっこりとし>>続きを読む
どう見てもBL。殺し屋の男二人が追っていたはずのターゲットである男に知らず知らずのうちに恋をしてしまうお話。殺し愛と言うべきか、一種崇めるような扱いをして「奴の女を抱く姿」を二人で妄想してハシャぐのが>>続きを読む
思っていたより93年『ヌードの夜』の続編だった。事件が直接言及されるし、オープニングも踏襲している。名美はもういなくなっていて、村木(紅次郎)とれんの物語なのだが、相変わらず、というか石井作品の男連中>>続きを読む
何が「嘘つき」なのかと言えば、高畑充希のその場しのぎよりも、映画なんて所詮嘘っぱちでしょ、何の役にも立たないでしょという無用について向けられている。「お米を作っている人」のワードが端的。ご当地映画的な>>続きを読む
大体期待していた通りのものが観られたので満足。もう最初から怪しすぎるだろ。ジャンルがスリラーであることから親和性があるのは分かっていたが、今回は「岸辺露伴は動かない」に登場するような自然現象的な怪異、>>続きを読む
これなら神輿として持ち上げるのもやぶさかではないかも知れない。明らかに良くなっていて、前回が警察小説としてミステリのロジックにこだわった結果、ヤクザ映画としてのダイナミズムに欠けて結局理に落ちる予想の>>続きを読む
そんなに褒められない。問題としてあるのは、原作はたぶんミステリに分類された警察小説のはずでヤクザ小説ではない。暴力刑事もの=ヤクザものは微妙に違う話で、ヤクザ映画を観に来たらミステリを見せられるパッケ>>続きを読む
フィクションにおける「悪人」の匙加減というのは難しくて、彼ら彼女らは普通に殺人を犯しまくっているにも関わらず普通にいい人に見えてしまうのは、事前の期待値とのギャップ以上に物語内の調整如何にあるんだと思>>続きを読む
これもまた三池。各々の俳優と妖怪のキャラクターをいちいち面白がって弄るので映画のリズムが凄まじいことになっている。その悪酔い感はクライマックスの合唱フルコーラスで頂点に達するのだが、今回の仕事において>>続きを読む
『お帰り寅さん』をホラーだと思ったのは間違いではなかった。山田洋次の映画は今作を含めて二本しか見ていない体たらくだが、老境に入った作家特有のヤバさ、危うさが炸裂していて眩暈がした。こうなるとガキには何>>続きを読む
WOWOWが製作に入っているのだけれど、初めに連ドラとして企画が立てられてから一本の映画に移行したのではないかと邪推してしまう程に構成が歪。同時代の痛みを複数の視座で描いていく作劇は得意とするところだ>>続きを読む
今後続編に挑む度に前作までの見返しと用語の確認はマストだと思わせるのがとりあえずの結論。そしてそれらを踏まえた上で観ると今回は驚くほど楽しむことが出来た。あえて舞台を月周辺に絞り意外にミニマルなスケー>>続きを読む
タイトル通りにベルリの成長譚。最初は上がって降りて、バックパックやらを装備してアイーダとの横並び的な関係性を築く筋の通った流れがあるので呑み込みやすいはずはなく、1部より物語が進む道理でいよいよ説明前>>続きを読む
『閃ハサ』の来場者プレゼントで観る。比べると当たり前だけど結構似てる箇所がある。軍隊の拠点、戦艦が海上に隠されている辺りとか……。相変わらず情報の氾濫が凄まじい、TVシリーズより分かり易いとは言っても>>続きを読む
女子校を疑似VRで体感するみたいな映画。クローズアップを多用し、髪の毛一本一本が見える繊細な描線によって尽く過敏な印象。何も起こらないのに何かが起こっているように錯覚させる。見えない感情の機敏を突き詰>>続きを読む
本編より劇中劇の方が面白そうってヤバいだろ、映画より漫画が上だと主張するならどうしようもない。劇中画を担当した江野スミの漫画から発する執念、リビドー、おどろおどろしいオーラに拮抗するどころか敗北してい>>続きを読む
断固支持!モンスターバース前三作と比較して一番映画として「まとも」なんじゃないかと思う。怪獣映画に映画としての出来不出来などナンセンスだが、単純に娯楽超大作として良く出来ている。通称ギャレゴジとドハゴ>>続きを読む
前作より改善されているのは順当な進化だが、まだ足りない。本来のポテンシャルが持つ、殺伐さをコメディ要素で中和するのは別に問題無いのだが、製作委員会的な横槍を感じさせる間延びしたテンポと感傷演出によって>>続きを読む
ドン詰まり死にまくりで暗いとしか言いようが無い、従来らしいヒロイズムを排したリアリティのある画面の中で、登場するキャラクターは誰も彼もがどこか色っぽく声までウィスパーな加減。小野賢章と上田麗奈のASM>>続きを読む