ウシュアイア

うどんの国の金色毛鞠のウシュアイアのレビュー・感想・評価

うどんの国の金色毛鞠(2016年製作のアニメ)
4.2
香川県を舞台にした三十路男子が主人公のハートフルファンタジー。

うどん屋の息子が父の死後実家に帰るという始まりからして、どうせ脱サラうどん屋奮闘記なんだろうと高をくくって観ていたら、東京での仕事に行き詰った様子もなく、主人公はなかなかうどんをつくろうとしない。それはそれは丁寧に主人公の心情と家族や地元の友人たちとの交流を描いたヒューマンドラマだった。

大人の男性の人生の迷いを描いたアニメはそれほど多くない。子どもをもつ父親への共感を訴えた作品で『かくしごと』があるくらいで、あとは男性が主人公のラブロマンスくらいである。大人の男性だって、仕事、家族・郷里、友人との関わりで悩むことだってある。この作品はそんな悩める男子に共感ポイントが多い作品。

また、主人公の後悔や悩みも人並みのもので、心の闇があるわけではないので、観ていて疲れない。一方で、主人公にうどん屋を簡単に継げるようになれるわけではないという意識があることも、地に足がついていてよかった。

登場人物は皆いい人たちばかりのハートフルヒューマンドラマが主軸だが、主人公の属性や堅実さから大ヒット要素はないが、なかなかの良作。

主役は中村悠一さんで、香川県出身とのことでこれ以上にないキャスティング。女性陣も皆口裕子さん、中原麻衣さん、花澤香菜さんと実力者ぞろい。

また、予告編のナレーションは香川出身を前面に出している要潤さんで、香川の観光プロモーション要素も強い。また、ところどころで飯テロもあり。特に骨付鳥やこしの強い讃岐うどんを食べたくなる。


~あらすじ~
香川のうどん屋に生まれ、高校卒業後に上京しウェブデザイナーとなった俵宗太は、父の死後に長期休暇をとって実家の整理をしていたところ、店の釜の中で寝ていた謎の幼い男の子と出会う。この少年は実は化け狸で、宗太は成り行きで「ぽこ」と名前を付け、一緒に暮らすことになり、ぽこを交えた家族や地元の友人、仕事仲間との交流を通じて、自分の人生を見つめ直すことになる。
ウシュアイア

ウシュアイア