ウシュアイア

獣王星のウシュアイアのレビュー・感想・評価

獣王星(2006年製作のアニメ)
3.2
ノイタミナ初期の少女漫画誌掲載のSF作品。

地球から遠く離れた星系に移民した人類のエリート階層の双子のトールとラーイは突然何者かに両親を殺され極悪犯罪者が送られる囚人星「キマエラ」に送られる。キマエラは人間を喰らう植物が繫栄する過酷な生態系の下で人間同士も生き延びるために殺し合いもする弱肉強食の世界で、短い期間でトールは適応していくものの、ラーイは適応しきれずに死んでしまう。トールはキマエラから脱出し両親とラーイの復讐のため、キマエラの支配者「獣王」になろうとする。


前半はあらすじの通り少年向けのサバイバル漫画のような展開だが、後半はイケメンに成長した主人公をこれでもかと苦悩させたり、主人公をめぐる女性のキャラクターのサバイバルが展開されたりと、少女漫画っぽい展開になる。正直前半と後半のギャップに困惑させられる。初期のノイタミナは「もやしもん」「墓場鬼太郎」以前は基本女性向けだったことを忘れていた。

ちょっとネタバレになるが、『彼方のアストラ』、『翠星のガルガンティア』、吉田秋生の『YASHA 夜叉』(アニメ化されていない)といった作品を連想させられた。

アニメーション制作はボンズで、過酷な惑星描写などはなかなかのもの。

少年時代のトールとラーイ役は高山みなみさん。逞しいトールと軟弱なラーイの演じ分けは悟空、悟飯、悟天を演じ分けた野沢雅子さんを思わせる名演。青年期のトールは堂本光一さん、その仲間のサードは小栗旬さんが声をあてていたが、やっぱり声優中心で活動されている声優さんに比べると違和感を覚える。
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