ウシュアイア

狼と香辛料のウシュアイアのレビュー・感想・評価

狼と香辛料(2008年製作のアニメ)
3.0
商人が主人公の貨幣経済をテーマにした異世界ファンタジー。

異世界ファンタジーといえば以前は冒険か戦記(魔王打倒も含む)のどちらかだったが、転生・転移あるなしに関係なくここのところよく見かける異世界の日常を描いた作品のハシリといえよう。

商人のパートナーとして狼の化身の少女が出てくるが、時代考証に裏打ちされた中世ヨーロッパでも問題はなかったはずだ。異世界が舞台なのは、経済をテーマにした啓蒙的作品というよりも、作者が単純に中世ヨーロッパ風のファンタジーの世界観が好きということ時代考証不要のお手盛り感ということに尽きるだろう。

よく考えてみると作者が伝えたいテーマが良くても異世界という舞台設定は作品の完成度を損ね一般ウケを遠ざける要因かもしれない。例えば『おおかみこどもの雨と雪』のテーマは子育てだが、異世界ファンタジーだったらということを考えればわかると思う。一気にチープな作品に成り下がり、TVの地上波のゴールデンタイムに放送されるような作品にはなりえなかっただろう。逆に『ヴァイオレットエバーガーデン』も作者が好きな要素をてんこ盛りにした世界ではなく、過去の現実世界を舞台にしていればもっと一般ウケしたのではないかと思っている。

とにかく貨幣経済というテーマは知的で興味深かった。

ただ、強すぎるファンタジー要素とテーマのバランスが悪い気がしたし、半獣の少女のヒロインはターゲットが限定され過ぎている。ホロに萌え要素を感じる人は感じるんだろうし、好きな人は好きなんだろう。そしてセリフ回しもラノベっぽい臭いも強い。

羊飼いの少女役の中原麻衣さんはやっぱりうまい。

GYAOの一挙配信にて。
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