ウシュアイア

コードギアス 反逆のルルーシュR2のウシュアイアのレビュー・感想・評価

4.5
本作のラスボスは、ルルーシュの父・皇帝シャルルと思いきや、実のところ異母兄・宰相シュナイゼルで、このシュナイゼルというキャラクターが曲者っぷりが斬新であった。

臣民はおろか皇族内も弱肉強食の神聖ブリタニア帝国において、常に穏やかで人当たりがよく、敵を戦わずして屈服させてしまうほどの知謀の持ち主で、同じく知謀で勝利を収めてきたルルーシュの斜め上を行く指し手でルルーシュを追い込んでいくのである。しかも、行動原理は無執着。シュナイゼルには自分の国がこうであって欲しいといった理想、この人だけは守りたいという大事な人間などがなく、現状で最良であれば、冷徹非情な行動も厭わないのである。敵対しているスザクとの友情に絆されたり、ナナリーという守るものがあるルルーシュがシュナイゼルに敵わないのがよくわかる。

また、シュナイゼルとの対決も然ることながら、シーズン1の話の直後に、ルルーシュは捕えられ、皇帝シャルルのギアスによって記憶を書き換えられ、暗殺者の少年ロロを弟だと思い込まされて、何事もなかったように生活させられるのだが、このロロをめぐるエピソードもなかなか熱い。

そしてスザクについてはルルーシュ側に肩入れした視点から、ルルーシュの真意を理解できずに立ちはだかるスザクはバカと言われたり、ウザクなどと呼ばれたりするが、不器用で直情的だから、物語が熱くなるのだと思う。

一方で、ルルーシュの母マリアンヌと父シャルルにまつわるところで、途中に「ラグナロク接続」という密かにシャルルが目指すエヴァンゲリオンの”人類補完計画”的なエピソードが展開される。これも学園シーンやロボット兵器などと同じそういうのが好きな人向け蛇足だと思う。

シーズン1では日本に限定されていた舞台も、シーズン2では全世界を巻き込む展開となりスケール感も増し、シュナイゼルの指し手により、本筋部分では面白さは増していく。

シュナイゼルとの対決は盛り上がりに欠けたものの、本筋の結末はきちんと辻褄があっており、かつ激熱だった。

本編はシーズン2で完結を見ており、その結末の余韻から、外伝の「亡国のアキト」と続編?後日談の「復活のルルーシュ」には手が伸びない。本編だけで十分と思える完成度だと思う。

主演の福山潤さん、櫻井孝宏さん、そしてシュナイゼル役の井上倫宏さんの熱演も素晴らしかった。
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