ウシュアイア

鬼滅の刃 遊郭編のウシュアイアのレビュー・感想・評価

鬼滅の刃 遊郭編(2021年製作のアニメ)
4.8
原作を読んでも「遊郭編」はシリーズ通じて面白さのピークじゃないかと思う。

鬼との戦いが本格化して中ボスの十二鬼月との戦いに突入しても、「那田蜘蛛山編」では炭治郎たちでは歯が立たず、富岡義勇がほぼワンパンだし、「無限列車編」は煉獄さんを失うことになり、どちらも炭治郎たちが勝ったとは言い難かったが、「遊郭編」は炭治郎たちがようやく勝ったと言える戦いだった気がする。

また、「遊郭編」より後の戦いになると、強敵と正面からぶつかることになり、敵の罠をかわしながら戦っていく面白さは「遊郭編」までだと思う。

しかも愛憎渦巻く遊郭が舞台ということで、遊郭に生きる人々の生きざまも描かれており、その中で最底辺の境遇に生まれ、遊郭の怨嗟の象徴する妓夫太郎・堕姫兄妹という鬼が敵となっているところも興味深い。

そして、同行する柱・宇随天元は傲岸不遜かと思いきや、生き残ることを最優先に合理的な判断が下せる漢気あふれるリーダーで魅力的だった。

こんなところが「遊郭編」の面白さだと思う。


そして、声優さんの演技も素晴らしい。

「そういうことはね 気づいたところで黙っておくのが“賢い生き方”というものなんだよ 今まで皆そうして生きてきた。」

沢城みゆきさんの蕨姫、堕姫、梅を演じ分けが素晴らしかった。特に、薄暗い部屋で京極屋の女将さんと対峙して、シュッと蠟燭の炎が消えて本性をあらわにする演出も然ることながら、声の演技から怖さが伝わってきた。

そして、低音が持ち味の声優さんがキャスティングされるだろうと予想されていた逢坂良太さん演じる妓夫太郎の声を聞いて、声高っ!と思いきや、予期せぬ形で登場した不気味さと相まって、衝撃的だった。以降の圧巻の演技は言わずもがな。

他にも帯鬼を伊藤静さん、鯉夏花魁を斎藤千和さん、宇随嫁役を東山奈央さん、石上静香さん、種崎敦美さんといった実力派で脇を固められ、豪華な仕上がりだった。


映像は、剣劇アクションは脳内処理が追い付かないほどの映像で、映画館で観たいくらい。作画の美しさも然ることながら、堕姫が本性を現すシーンや伊之助が帯鬼を追いかけるシーンなど臨場感あふれる演出も印象的だった。

ただ、一つ不満を言えば、原作に忠実に丁寧に作っているのは分かるが、原作ではテンポよく進めるため、セリフやナレーションでの説明が多くなっているため、原作のコマの間を映像で埋めているのだから、アニメで不要なセリフなどは大胆にカットしても良く、原作に忠実にし過ぎたことでリアタイで毎週追いかけていると、間延びした感があった。

第4期「刀鍛冶の里編」の制作が決まり、楽しみ。
残りの十二鬼月は誰になるのだろうか。堕姫、童磨は下馬評最有力がキャスティングされたが、いかに?
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