ウシュアイア

火の鳥のウシュアイアのレビュー・感想・評価

火の鳥(2004年製作のアニメ)
4.0
漫画の神様手塚治虫のライフワークとも言うべき傑作『火の鳥』の黎明編、復活編、異形編、太陽編、未来編のアニメ化作品。

原作からいくつかの設定、登場人物や細かいエピソードはカットされているが、原作のエッセンスは概ね伝わるようになっていたと思う。黎明編、異形編、太陽編は古代~中世日本を舞台とした歴史ファンタジーで、復活編と未来編は未来SFとなっているが、時代は違えども飽くなき生への執着という人間のもつ普遍性を火の鳥という存在に具現化されている点で一貫性があることがよくわかる。

2004年の作品であるが、アニメーション、作画についてもあまり古さは感じず、キャラデザを中心に子ども向けにデフォルメされていた部分もかっこよく仕上がっていたと思う。

GYAOで短期集中で観たが、本来はじっくりと噛みしめながら鑑賞する作品だと思う。

余談だが、1987年の宇宙編のOVAが自分にとっての火の鳥の原点。ドロドロの人間模様に鬱展開。死刑よりも苦しい罰としての永遠の生という概念は衝撃的だった。この衝撃度は『魔法少女まどか☆マギカ』を超えていた。

正直なところ、宇宙編の濃さに比べると、今回の5つのストーリーは少しインパクトに欠けるが、1話で終わった異形編は宇宙編に近いものを感じ、これぞ『火の鳥』という話に思えた。宇宙編から『火の鳥』に入ると、火の鳥って残酷で本当に恐ろしく思えるのだ。
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