ウシュアイア

ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworldのウシュアイアのレビュー・感想・評価

3.9
前作の『ソードアートオンライン アリシゼーション』と一続きの人工知能によってつくられた剣と魔法の世界を舞台としたお話。本作のWar of Underworldだけ観ても何だかよくわからないと思う。そして、前作の「アリシゼーション」で未回収だったUnderworldが作られた理由などが明確にされるので、「アリシゼーション」で止まっている人は是非観てほしい。SAOはMMOVRROGの世界でヒャッホーでは終わらず(って言うかかなりシビアな世界で鬱展開も多い)、本作では人工知能はどのようにして作られるであろうか、人工知能と社会とのかかわりについてのテーマ設定がされており、テーマ性からやっぱり観てよかったと思う。

ただし、前作のアリシゼーション無印とWar of Underworld合わせて4クールあり、人工知能によってつくられる人格がいかに尊いかということを伝えたかったのだろうが、かなり冗長に感じた。相変わらずの自己投影のためのキリトのモテ展開とか美少女アニメ愛好家を狙ったきわどい描写などは求めていない人にとっては苦手に感じる部分だと思う。

以下、ネタバレ。


Underworldはアインクラッドをはじめとする様々なMMORPGの世界のデータが集積されたことによってつくられた世界であったことが明らかにされ、Underworldの人格、魂(フラクトライト)はMMORPGのプレイヤーに由来していることが示唆され、またフラクトライトは生身の人間と同じように赤ん坊から発達段階を経て成長していくという設定は非常に興味深い。ひょっとしたら本当の人間に近い意識をもった人工知能というものは実在のSNSやMMORPGなどのデータから生み出されるのではないかと思ってしまう。

そしてもし人工知能がフラクトライトと同じように人間と同じような発達段階を経て成長するものならば、そしてキリトとユージオやアリスのように人工知能と対話することができるのであれば、やはり人工知能によって生み出される意識というものは尊いものだということがよくわかり、説得力をもっていた気がする。人工知能と心を通わせてしまうと雑に扱うことはできない。よく考えてみればドラえもんやコロ助の意識は人工知能そのものだし、同じことが言えるかもしれない。

※Abemaの無料配信で視聴。GYAOが3月末でサービス終了らしい。今後のAbemaの無料配信に期待したい。GYAO!
には多くの作品と出会えたことに感謝するとともに、こうした絶望の積み重ねが人を大人にするのです。
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