ウシュアイア

ヴァイオレット・エヴァーガーデンのウシュアイアのレビュー・感想・評価

3.3
(金曜ロードショーの特別総集編にて鑑賞。スコアは総集編を観てつけたもの。)

田村淳さんや太田光さんが絶賛した作品で世間の評判がよいが、結論から言うと自分にとっては過大評価作と感じた。


架空の欧州風世界で大規模な戦争に従軍した元陸軍女子少年兵ヴァイオレットは、除隊後に元上官の同僚ホッジンズが退役後に始めた郵便会社に就職することになる。驚異的な戦闘力を発揮したヴァイオレットは、過酷極める戦火の中で人間的な感情を理解できなくなっており、郵便会社の仕事の一つの手紙の代筆業での人々との交流を通じて、失われた感情を取り戻そうとする。


あらすじを書き出すとざっとこんなもんである。

本作は暴力によって失われてしまった人間性の回復と魂の救済物語で、テーマとしては普遍性をもっている。最近の作品では『ゴールデンカムイ』や『BANANA FISH』などにも盛り込まれているテーマだ。

普遍性があるだけに、舞台や時代の設定は自由度があるのだが、魔法などの非科学文明が出てくるわけでもないのに、あえて架空の世界にしているのはなぜだろうか?なんだか時代考証が不要なラノベ特有のお手盛り感を感じなくもない。

スタート時のヴァイオレットは『ゴールデンカムイ』の「不死身の杉元」と同じ境遇なのだが、ヴァイオレットの極度に感情を失ったキャラクターはなんだかリアリティがなく、感情移入しにくいのだ。

総集編を見る限り、一つ一つのエピソードは意外性がなくどこかで既視感のあるものが多い。子どもと暮らす病を患った女性が依頼主のエピソードがあるが、先日観た映画やアニメ作でも同じようなエピソードが盛り込まれていて、依頼内容やオチがすぐわかってしまう。とはいえ、ベタなシチュエーションの方が着地がきれいで安定感がある。

あとは作画は好みの問題。映像は美しいが、ゴシックロリータっぽいコスチュームが好きになれない。

少し緩めの時代考証で第一次世界大戦後のヨーロッパを舞台にするなどして、もう少しリアリティ出した方が、もっと共感性を高められたのではないだろうか。

本作を観たくてNetflix加入を真剣に検討したが、総集編でお腹いっぱい。
ウシュアイア

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