真田ピロシキ

ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士ですの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.4
Netflixを解約するので期限内に見れそうなのを。最近はペ・ドゥナの月のやつとかセンセーショナルすぎた少年犯罪とか好調だった韓国ドラマも立て続けに外れを引いていたが、本作は当たりかもと思った。父と遺品整理士を営んでいたアスペルガー症候群の息子ハン・グル(タン・ジュンサン)が父の急死に伴い、後見人として指名された腹違いで父を憎む叔父さんサング(イ・ジェフン)と共同で事業と生活を営んでいく話。

サング叔父さんは犯罪組織とも繋がりがあってさぞ悪い人なのだろうと思い、そういう人が裏表のない甥と触れ合う内に改心していく話と予想していたのだが、この叔父さんは元からそんな悪い人じゃない。悪態こそついても気味の悪い遺品整理の仕事は最初からちゃんとやってて回収業者の人とは社交的に接しているし、グルの隣人でサングを敵視しているナム(ホン・スンヒ)に対してもグルを心配して出入りしているのを母親に咎められてた時は機転を効かせて助け舟を出してやる大人の対応。故人を巡って意見が対立した市の女性職員も誤解が解けたら赤面するようなところを見せてとても可愛いオジサン。その故人への憤りも事情を知らないなら至極真っ当な感情で、その上で彼が堕ちるキッカケになった過去のエピソードを知らされると好きになるしかない。チンピラみたいな態度と強い腕っ節を持ちながらも、屋外喫煙を注意されると素直に謝れる時点で悪い人なはずがない。各話で報われなかった人々の想いを掬い取り、それが各人の心に触れてキャラクターを深掘りされるのも上手い構成で、基本1話完結で見易いと同時に重層的。最後にグルが父との別れを済ませられたのはその総決算。面白かった。

ガッカリしたのはナムはグルに対してリスペクトの友情を抱いていると思ってたのに実は恋愛感情だったこと。そういうのいいから。恋愛が見たければ恋愛主軸のドラマで良いでしょう。それ以上に落胆したのはクリフハンガー。うん、あの地下格闘場の女の人が片付いてないから薄々勘づいてたけどあんなあからさまに。韓国ドラマもネトフリ産だと卑しい欧米ドラマみたいなのが増えてきてるね。嫌だ嫌だ。見たいのがある時だけネトフリ復帰する予定なので続きを見るかもしれないけど評価は大きくダウンです。