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ガンニバルのBlueのレビュー・感想・評価

ガンニバル(2022年製作のドラマ)
4.5
岬の兄妹、さがす、など見始めたら止まらないがトラウマ級に記憶に残るストーリーと残酷な描写が際立っている片山慎三監督の手がけたガンニバル。

色々特徴的な演出が目立つ片山作品だけど、特に食べる描写が印象に残っていて、今回はその食べ事、それも人間を食べるという事をテーマにしてるので正直見るのをためらっていました。
というのもホラー映画やスプラッターものは苦手なので、これモロじゃんって話なので、イヤだよ〜見たくないけど見たいよ〜という気持ちでようやく見た次第ですw。

やっぱり見始めると目が離せなく一気に見てしまい、結果的に本当に面白くてシーズン2が早く見たいというのが感想です。
村社会の中で主人公家族が危機に陥るかと思いきや、主人公自身がその男凶暴につきという名札が貼られているかのような、1話目からこの主人公どこか変だというところが面白い。

ちょうどU-NEXTでエリザベスオルセン主演のlove &deathというドラマも見ていたのですが、あちらはキリスト教の教会の、信仰を軸にした村社会の中で主人公の女性が信仰の中の大罪の一つである不倫をし続け、やがて狂気に陥っていく過程が描かれているドラマですが、こちらも1話目から笑顔の裏側にこの女性どこか変だというところが見え隠れしていて、ちょっと似てるなと思いました。
偶然にもfilmarksの表示は違うけど、ポスターというかガンニバルもlove &deathも主人公が真正面を見据えた画面が表示されます。
2023年になってから見てるドラマは顔をアップで撮られているドラマが多く、実写版ワンピースが1番わかりやすいかなと思うけど、広い海に出て苦しい現実に囚われてる仲間になるであろう人物の状況を粉砕して、好きなように生きるというのが特徴的というか。
主人公がどうすべきか、というシーンでは必ず顔のアップになるのが印象的でした。

村の縛り、信仰の縛り、自分の縛りから解き放つ、あるいはその縛りの権化を断つ。

2020年代の映画やドラマはそちらにどんどん歩き出していると感じます。
一つガンニバルで残念な点があったのは、熊の習性と性質をよくわかっていたのに、猟師/マタギの文化にもう少し理解があったらな、と思いました。動物の勉強をしていたので生態調査に関わったりして色々知りました。

熊は昔から山の主/やまのぬしとか、山の使い手と言われたりします。冬の間は冬眠して、洞穴を棲家にしている。そして動物を襲ったりした後は生きたまま食べます。
他の肉食動物は息の根を止めるか、完全に戦意を無くした時点で食べるのですが、熊はそうではありません。

山の主、冬眠/長い眠りから覚める、洞穴、そして生きたまま食べる。

ドラマに出てくるある人物と重なる部分があります。
ただ1話目で熊を狩るために酒席をもうけますが、猟師は山狩り、熊を狩る前にあんな酒席はしません。酒の臭いがするようでは熊なんかは到底捕まえる事は難しいです。
熊の嗅覚は人間の2000倍以上もあり、マタギ文化/信仰を大事にしてる人ならば、一週間前から肉を控え、水を浴びて生活臭を消す努力をします。
昔は冬の山にマタギが入った時に酷寒の猛吹雪の中で錯乱状態になり、風の音が女性の悲鳴に聞こえて山の神/女神を怒らせてはいけないと、山狩りに入る前は死装束で一週間前から水を浴びたりする地域があったくらいです。
ある意味あれだけ縛りのある村ならば1話目で酒席のシーンよりも死装束で全員で水浴びする姿があれば、かなり見どころは増したのではないかなと思ったりしました。

かつて日本の貴族文化でも栄華を極めた藤原一族。この栄華を願い永遠に続くように藤の花に思いを馳せます。
不老不死=藤の花。その分家として藤川、藤沢、佐藤、伊藤、などもあり、後藤もおそらくそうなのでしょう。

藤の後とは。


最後に山や自然に行く際にはなるべく生活臭をさせないようにして、弁当なども匂いがあまりしないものがいいでしょう。コンビニの弁当などはやめた方がいいです。熊にとっても美味しい上に栄養価も高いので、襲ってくださいと言っているようなものです。
そして小鳥がやけに高く鳴いていたりしたら、それは自分の仲間や自然に見知らぬ者が訪れたぞ、警戒しろという事のために鳴いているのです。ナワバリを大事にする熊などは確認しに来ます。そのように鳥のさえずりを聞いたら、その場に止まって静かにして鳴き止むまで待ち続ける事です。
そうすると山は落ち着きを取り戻して、熊もナワバリを犯すものではないと判断します。 

熊だけではないかも知れません。木々がおおい茂っていて視界は見渡せず、笹のざわめきの中でどこの主/あるじかわからない大男が鎌を持って背後に立っていたならば。

山の奥には、決して行かない事です。


なんつって。はぁ〜シーズン2はなるべくお手柔らかにお願いいたします〜。よく頑張った、俺。
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