Blue

エコーのBlueのレビュー・感想・評価

エコー(2024年製作のドラマ)
3.8
前代未聞の過激作という文言が印象に残る予告動画を見たけど、この売り出し方は完全に間違いかな。
褒めるポイントが多い作品なのに、過激作/暴力描写が多いという事を念頭にしてみるとこのドラマの詩的な演出が、本質がまるで見えなくなる。

冒頭の地底に住む人々が地上で暮らす/閉ざされてきたネイティブアメリカンの歴史に光を当てる、赤ん坊の産声と歴史と少数派の人々の声を、上げる事を表しているであろう演出面は感心させられたし、この時点で主人公もおそらくなんらかの形で生まれ変わるのかなと予測ができました。
キングピンとマヤの関係性も白人がネイティブアメリカンを搾取していた歴史をあらわしていて、とても工夫が見える。
歴史を掘り下げながら丁寧な気遣いがこの時点で見られ好感が持てました。

俺自身、障害の持っている人が主人公という映画やドラマはドキュメンタリーを抜かせば片手で数えるくらいしか見ていないと思います。
正直マーベルのドラマという事よりも聴覚障害と足を欠損してる人間でさらに少数派の原住民が主人公という事で、今までの「当たり前」を打ち破るドラマとして興味を持ちました。

この当たり前でない事実だけでも高評価かなと思います。
主人公も周囲のキャストも好演していたと思います。ただ目を見張るアクションシーンは良かったけど見せ場がなく終わってしまった感があります。

いわば小説でいうなら300ページの物語の50ページくらいで終わってるというか、マーベルのドラマはムーンナイト、シーハルク、ホークアイと見ているけど、結局主人公の持っている能力と周囲の関係性の紹介で終わってしまっているドラマばかりで、このエコーも同じでした。

ヒーローもののドラマや映画は能力に目覚めてヒーローとして意識を持ち、救助や敵を打ち倒すところに感情移入できるのだけど、そこまでいってない状態で終わってしまっている。
せめてそこまで描いて欲しいし、小説でいうならシーズン1は120ページくらいまでやらないと低評価になるのは仕方ないと思います。

昔は海外ドラマは15話くらい作っていましたが、それを8話くらいにしてその分予算を注ぎ込むのが当たり前になってきました。
しかしヒーローもののジャンルはウルトラマンのように1話完結でない限り、せめて12話くらいのボリュームでやらないといけないダメだと思います。

マーベルズの映画を見てこのドラマを見た実感としてはパズルのピースがかなりハマってきた感が個人的にはしました。ようやくつかみ歩き始めた、というべきか、しかし遅くても着実に前進し始めたとこの作品を見て思いました。このように歴史の底に手を伸ばす事を諦めずにやって物語を作った事は大きな事じゃないかな。

エンドゲーム以降、新たな物語が始まる上で困難はつきものだし、この前初めてアイアンマン、マイティソー、ハルクの一作目を見たけど、正直うたた寝しながら見たw。
よくここからエンドゲームまで物語を創ってきたなと感心したし、見ている側もあそこまで壮大になるとは思っていなかったんじゃないかなと想像します。

バイクに乗って暗がりを走るマヤ。明るい方向に向かって、真っ暗な産道を通って生まれる事を示唆する演出は、今後のマーベルにも重なると感じました。
出来としては保留というのが正直な感想ですが、シーズン2に期待です。
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