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ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男のBlueのレビュー・感想・評価

4.2
ゴージャスなドラマの一言に尽きます。楽しかった。

ゴッドファーザーが製作される舞台裏のストーリーですが、ゴッドファーザーが好きな人はもちろん、イマイチだった人も見てない人にもオススメのドラマです。
見てない人には前提知識としてまずマフィアとはイタリアの反社会組織の事を言います。それ以外の反社会組織はギャングと言います。

ただ微妙なのは反社会組織と言われ始めたのはそんなに古くない50年から40年くらい前の事かもしれません。
これはアメリカだけでなく日本もヨーロッパも同じで、まだ立法、行政、司法がうまく機能してなかったというか、警察や法曹界がまだ未熟な機関だったために、その土地に住む有力者が地元を仕切っていた時代がありました。

彼らは土地の所有、酒などの違法取引などしつつ、血みどろの抗争をしながらも地元に住む人の結婚相手を探すようなことをしたり、商売をうまくできるように便宜を図ったりしていました。住民もそれなりの恩恵があったんです。

第二次世界大戦後、それぞれの国で経済がうまく回り始め、マフィアやギャングの手を借りずとも自立した生活ができるようになり、警察、法曹界も権力と実行力をもちはじめて、やがてマフィアやギャングはそのチカラを失うようになってきます。
そこに麻薬取引などするマフィア、ギャングが出てくるようになり、世間からより一層ダークなイメージと危険を抱くようになり、反社会組織として認定されるようになります。

日本でも例えばかつては映画を地方なんかで撮影するならまずそこの土地を仕切っているヤクザに許可を得て撮影したり、歌手がコンサートをする際には、あの土地は別の組が仕切っているから、同じ系列の組が仕切っている近くのあそこのホールでコンサートしようとか、そういうのが当たり前だったんですね。

つまり芸能、政治、社会に深く影響を与えていました。立法、司法、行政そして民主主義がうまく回るためには経済がある程度の循環が必要だったけど、それがあまりうまくいってなかった前時代の必要悪的存在だったと言えばいいかな。

それがこの40年50年前の話です。

こういう時代背景を知った上で見ると楽しめるのでないかと思います。
冒頭のゴージャスなドラマと書いたのは、好景気に沸いたハリウッド最前線の人々の姿がリッチなことといったら。

メインテーマはゴッドファーザー製作舞台裏の事なのだけど、結果的に当時の映画人の熱量を描く事が目的になっていて、それが充分に伝わってきました。

正直、一つのハプニングをクリアしたら次のスキャンダルが起こるような、やけに整理されて問題が起きる感があります。物語の運び方がスマートすぎるというかな。
でもそれも当時の情報収集してるとかなりエグい話があったり、かつ実在の人物が出てくるので色々と正直に描くと大変な事になったりするから、こことここは大丈夫そうだからドラマにして、ここは問題になりそうだからドラマに入れないで、と言った具合に精査しながら10話にキッチリ仕上げたのかなと想像します。

だからここはちょっと脚色してるんだろうな、という部分も散見しました。
まぁ描ける部分よりも描けない部分の方が多かったと思います。それでもこのドラマは充分に楽しめました。

ゴッドファーザーのあの俳優は俳優じゃなかったのかよ、とビックリしたり、あの爆破シーンは、、、というのは爆笑しました。
そして彼らのために上映会をするというのは、まったくたいしたもんだなと思いました。

率直にゴッドファーザーは中学の時に見てあまり面白くなかったというのが印象でした。二十代後半に見て面白いかも、と思い30代になってこれがなぜ最高傑作なのかがわかりました。いずれレビューしたいと思います。


このドラマはなによりマフィア相手に予算がない中で、後先考えずに情熱だけで作り上げられた映画なのだというのが良かった。


情熱だけで押し切る。その事を描くのに細かい事は気にしない方がいい。欠点があろうとも夢のあるドラマだと思います。

しかし主人公があのトップガンマーヴェリックに出ていた俳優だとは。気づいたのが2話目でした。彼も含めて俳優の熱演が見ものです。



初めて俳優達が勢揃いして食事をする際にアルパチーノ扮する俳優が、コルオーネ家の事を語る時は自然にガッツポーズが出ました。やっぱりマイケルコルオーネはドラマでもしびれました。
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