Blue

天空の旅人のBlueのレビュー・感想・評価

天空の旅人(2022年製作のドラマ)
3.7
SFとしての設定が面白い。トンネルの向こう側に見知らぬ世界と宇宙が、、というのが着想として良い。
正直、地味であるがかなり冒険してるというか、Amazonドラマの中では意欲作だ。

アメリカも高齢化社会に突入していて、主人公を老夫婦にすえるあたりに若年層から高齢者まで、幅広い年齢層に見てもらおうという意識が感じられる。
またアメリカのドラマといえばNY、シカゴ、サンフランシスコやLAと都市部に集中しがちだが、実際にはアメリカは田舎国家であり農業大国である点、このドラマも田舎が舞台で、都市部以外の視聴者を意識して作られている。

ただ田舎が舞台だと夜は街灯がないからテレビ画面が暗くて見にくいし、派手なアクションシーンで銃撃戦やカーチェイスをしようにも信号も車も少ないからそういうシーンも盛り込めない。

つまり派手なアクションシーンは難しいし、物語のテンポもゆっくりとなってしまうので、なかなか田舎を舞台にすると自然讃歌のドラマや極端な田舎の閉塞感を露悪的に見せて作られるドラマや映画が多くなる。

都市部よりも田舎の方がストーリーとしてはやれる事が限られる中で、それでも田舎を舞台にしたというのは意欲的だと思うし、このナイトスカイというドラマはとても良くできたドラマだと思う。もちろん、ドラマのテンポはゆったりだから一定レベルで視聴者に忍耐も求められるが。

最初にいきなりSF要素を見せてそこから老夫婦にフォーカスしていくけど、このドラマの見所はやはり老夫婦演じるJ.Kシモンズとシシースベイセクの演技合戦だろう。

シモンズにせよシシースベイセクにせよ徹底的に細部まで突き詰めて演技をしていて、長年培ってきた演技の実力を遺憾なく発揮していて、それだけで見応えがあった。お互い傷つき、それでも家族を守ろうとするシモンズの立ち位置、ポケットに手を入れて構えるような仕草、キチッととした服装や顔の表情、田舎に確かにこういうオッサンいたな~って思わせながら、虚勢をはりつつももろさを演じてるところはさすがだ。

シシースベイセクも自暴自棄になっているが、あるキッカケで人生の意義を取り戻し、あらゆる事に意欲的に取り組んでいくが、その過程を本当に好演している。声質、顔の表情、どのトーンでやるべきか、震える声で唇も震えつつ過去を独白するシーンは特に見ているこちらが唸ってしまった。素晴らしい。先生をやっていた点も生徒をさとす様な語り口で、ここもやはり細部まで徹底的に準備しているのがわかる。本当に見事な好演だ。
悩み苦しんでる息子の演技も素晴らしかった。

欠点を挙げるなら毎回ドラマのオープニングと終わりをもっとここで終わるの?っていう演出がされてないところ。ここはもっと工夫があっても良いし、音楽もごく当たり障りのない使われ方で、アンビエント/ノイズ、ドローン系のサウンドを多用した方が良い気がした。

2022年現在、オビワンケノービやストレンジャーシングス、そしてAmazonのboysシーズン3など人気作が各配信サービスでもズラリと並んでいるが、正直言って演技よりも超能力だとかアクションだとか露骨にえげつなさを売りにする設定が受けてる部分があって、そういう所が気に入らない人も多いと思う。

なにより設定重視ドラマは面白いが見ていて疲れるし、すぐに忘れる。ナイトスカイは先に挙げたドラマと比べると明らかに地味だが、ヒューマンドラマとしてもある一定のレベルは越えてるドラマだと思います。

シーズン2にも大いに期待してます。
あとAmazonの日本支社はもっと宣伝方法を考えるべきですね。他のドラマもそうだけど、力作が沢山あるのに見られてなさすぎです。